前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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第21話 ティナは先生向き?

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 「う~ん……よく寝た!」

 マサキは大きく伸びをして、ふと時計を見ると5時30分であった。
(もう7時頃かと思ったんだけど、まだ5時か……陽が上がるの早いな。)

 この辺は標高が高いのか、辺り一面霞がかっていて視界は約10m前後である。

 ティナは偶に「く~っ……く~っ……」と規則的な音を立てており、未だテントの奥で眠っていたのだった。

 昨晩は、あのちっさい三角柱の様なテントに無理矢理2人で寝たのであった。
 その三角柱のテントだが、どこかで見覚えあると思ったら、前世のポーランド軍のポンチョテントにそっくりであった。
 (てか、これ一人用だろ?)

 え?当然、お互い疲れていたのもあり、何もしないまま就寝しました。
 (疲れてなくても何も無いが(白目)
 と言うか、テントのセンターポールが邪魔だわ!(怒)

 そして、ティナが寝る前に
「このポールからコッチ半分は来ないでね(笑威圧)」
 と釘を刺されたのである。

 それを見てマサキは
 「ハイ……(震え声)」
 しか言えなかった。

 この時、テント内には某巨人から街を守る様な、見えない城壁が構築されたのであった。

 最近、変態紳士の出番が無くて少々寂しい気分なのだが、何より、ティナタソがスカートを余り履かない事が、俺的には「こんちくしょう!」である。

 いや、この旅に向けて色々準備とかメンテナンスとか、汚れたり怪我しそうな作業が多かったからなんだけどね。

 頭では理解しているつもりではあるのだが「こんちくしょう」である。


 昨晩の回想もひと段落し
 (気を取り直してティナが起きる前に【エアカット】の練習をするとしよう。)

 そう思い、うるさくならないようにマサキは少しテントから離れたのであった。


 ティナ曰く
 「自分の周りに球の空間をイメージする感じ!」
 と言っていたのである。

 (解るよ!言いたいことは。球のイメージは出来るけどそこじゃぁねぇ!球の発生の仕方がわからん!)

 「どうやれば良いんだ?これ。」

 何遍も球体のイメージして出そうとしているのだが、一向に魔法が発動する気配はないのであった。

 (てか、出てるのか出てないのかもわからない(笑)

 「イメージしてエアカット。」
 「イメージしてエアカット。」
 「イメージしてエアカット!」

 何回か練習をしてて、はたと気付いたのである。

 (あれ?ファイヤの時ってどうだったっけ?確か……出したい場所に火が存在しているのを前提にイメージして、ファイヤと口に出すのは魔法発動のトリガーの役割だから!って言ってたっけ?
 なら、エアカットも同じ要領なのかな?)

 今までは【エアカット】と言われる球のイメージで丸い空間を出そうとしていたんだが、【ファイヤ】の様に、自分の周りに球がある前提のイメージでエアカットを無詠唱でしてみたのである。
 (口に出すのが発動トリガーの役割なら、意識すれば、口に出さなくても魔法発動トリガーになるんじゃね?)

 「…………(エアカット)」

 突然、自分が膜で覆われた感じになる。
 手で自分を扇いでみるが、全く風を感じないのである。

 「おお!成功?……なんだよな?」

 止まってると効果も余り感じられない為、マサキはエアカットの魔法が発動しているのか自信が無かったのである。

 「後でティナにちゃんと出来てるのか聞いてみるとするか。」

 周りに人がいない前提で独り言を思わず言ったら

 「ちゃんと出来てるわよ!」

 背後から急に急に声が掛かり
「うわっお!」とマサキはびっくりして変な声を上げてしまったのであった。

 (集中している時、視界外から声を掛けられるとびっくりするからマジ辞めて欲しい…)

 マサキは振り返ると、いつの間にか旅支度を整えたティナが立っていたのであった。

 「ごめ~ん!驚かせちゃって、そしておはよ!」

 「おはよ!つかビビったわ!」

 「だからごめんて(笑)」

 「良いけど、エアカットアレで良いの?」

 「うん。出来てたでしょ?」

 「それを貴方に聞いてるんだが……」

 「うん。出来てたよ!」

 「マジで?」

 「うん!マジで!」

 「…………」

 「………………」
 (何この間。)

 「もう練習は良いんでしょ?朝ご飯にしよ?」

 「おお」
 (たま~に有るんだよな?あの変な間って……ああ言うのってなんなんだろ?)


 マサキは、朝飯のお茶を入れるのに火を起こし、お湯を沸かす準備をするのであった。
 (なんて言うか、たったこれだけなのに既に仕事な気分だわ。お茶を飲むだけでこの労力……
 俺の感覚だと、労力と報酬のバランスが合って無い感じだな。)

 お茶の支度をしてるティナに呼び掛ける。

 「ティナ~。」

 「ん?」

 「このお湯沸かしたりするのさ、」

 「うん。」

 「火の代わりにさ、魔石とかでバーっと熱したり、
 水も魔法で「ピューっ」て出したり出来ないの?

 「出来ない事は無いよ!なんで?」

 「いや、なんかさ~労力と結果のバランスと言うか……」

 「ん~……めんどくさい?」

 「まぁ、正直面倒だな……ってのも大きいけど、せっかく手軽に出来る手段があるのに、それを使わないのは勿体無い気がしてね。」

 「あ~!そう云う事ね!ん~……どう説明したら良いのかなぁ……」

 (この娘ったら、は明後日の方を向いたり、コロコロ表情が変わってきゃわゆいですぞティナタソ!あとスカート履いてくれ……)

 「そうだ!マサキは今走れるでしょ?」

 ティナは何の脈絡も無く、そんな事を言い出したのである。

 「走るて、脚で?走るの?」

 「そう。」

 「勿論走れるよ。」

 「でもね、命が無くなる直前まで、ずっと同じ様に走れる訳じゃ無いでしょ?」

 「うん。」
 (話が壮大過ぎて意味がわからん。つか、極論だよな……)

 「だからだよ!(ニヤリ)」

 「……え?」
 (今の説明?え?何がどう繋がるのか全く理解できない……(ガクブル)

 「え?それだからだってば!」

 「ごめ……ちょ……全く解らん!言葉が少な過ぎて何が繋がるのか!どう云う思考なのか……」
 (この人アホなのか?俺がアホなのか?)

 「ん~……」

 (俺氏ポカン……(白目)

 「じゃ例えば、旅は魔法を使って手軽な感じにするって前提で出発してさ、旅の途中で魔物に襲われたとするでしょ?」

 「うん」
 (嫌な例えだけど、有り得るわな……)

 「それで魔法を使って、取り敢えず勝ったにしろ逃げたにしろやり過ごせたとしてさ……」

 「うん」

 「魔法使える人の魔力がもう僅かしか無くて、例えば魔法使えなかったらどうなる?」

 「何も出来ない……かな?」

 「そう。何も出来なくなるの。
 だから最低限、特に旅の時、戦闘以外の事はどんな人でもできる方法を確立してないと生き残れないんだよ!」

 「あ~……何となく解ったわ!常に最悪の状況を考慮して準備しておかないと帰れなくなっちゃうのね!」
 (手軽さを取って命落とすかもって、まだ俺は平和ボケしてるんだな……)

 「いつも魔法が使える訳じゃ無いからね!……と、凄く極端な話したけど、大抵のパーティーは魔力切れの対応策を取ってるし、そうそうはこんな状況になるってことは無いよぉ~(笑)」

 「だろうなぁ(笑)」

 「とは言え、今回の私達みたいに少ない人数で魔法に頼って旅すると何かあった時、死んじゃうからね。
 基本的に旅する時は戦闘以外、魔法を使わないで出来ないと後々苦労するよ~!」

 「アイ!マン!
 いゃ~……今回の旅の事、ティナも色々考えてたんだな……ありがとう!
ただ遠くに竹を取りに行くだけの旅とか思ってた俺が甘かったわ………」

 「まぁ、最初っから勉強です!とか訓練ですっ!って言われるより、色々経験して行って、いつの間にかそれが普通になってるのが自然に覚えれるかな?って思ったからね!
 でも、マサキの言いたいことも解るよ!魔法や魔石とか使えば荷物も時間も減るし、何より楽だもん!(笑)」

 「ですよね………
 つーか、ティナさんマジパネェっす!恐れ入りました!(平伏)」

 「あはは!魔法使った楽な旅の仕方は、またおいおいね!(笑)」

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