砂糖な彼氏と塩な彼女の異世界冒険記!

星の書庫

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最後の死闘……です!

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《伊織side》
「【エクスプロージョン】!!」
    僕は自分の中で禁じていた、攻撃魔法を使った。【エクスプロージョン】は、チカの【エクスプロード】を遥かに超える威力で、闘技場を包み込んだ。
「許さない……。僕の師匠を侮辱したお前は、絶対に許さない!」
「……へぇ?僕に楯突くんだぁ?」
「元から僕は、お前が嫌いだよ」
「そうなのかぁ……。じゃぁ仕方ないなぁ。……死んでもらうしかないみたいだね」
またしても口調が変わって、威圧感が増したチカは、僕に向けて右手を伸ばした。
「仕方ないねぇ。僕に楯突く奴は……殺さないと。【天を穿つ一撃ヘブンズディザスター】」
「【絶対防御イージス】!」
    目の前に迫る光の槍が僕の脳天を貫こうとした瞬間、咄嗟に浮かんだイメージのままに魔法を放った。
「っ……!これは……⁉︎」
それは、僕が大好きな感覚。さえちゃんとは違う、もう一つの大好きなもの。
「マーリンさんの、魔法……」
人を傷つけることを良しとしない、暖かい魔法だった。
「へぇ。なかなかやるじゃぁないか。でも、そんな魔法じゃぁ……。僕はいつまでたっても倒せないんだよ!この魔法にひれ伏せ!【最後の一撃ラスター】!!」
感じた事のない悪寒が、僕の全身を襲った。つい数分前までのものとは違う、明らかな殺気のこもった一撃。一瞬で、僕は悟った。これが、大賢者の……。チカの本気。僕も、僕の知る最大の防御。一番強い感覚でチカの魔法を受け止めた。
    「【最後の砦イージスデイザイアー】!!」
《梓side》
「【最後の砦イージスデイザイアー】!!」
    闘技場内で二人が何を話しているのかは、上手く聞き取れない。ここから分かるのは、二つだけ。
一つは、伊織が攻撃魔法を使ったこと。
もう一つは……。
 攻撃魔法を使わざるそうせざるを得ない程に、いおりが怒っているという事。
「いおり……」
心配を他所に、いおりは魔法を受けて満身創痍になっていく。防ぎきれない魔法はないが、チカはいおりが反撃する隙を与えてくれない。
 次々と生成される光と闇の槍。それをいおりは、防ぎ続けている。文字通り「最後の砦」となる魔法で。
 いおりが使う魔法には、あのいけ好かない正賢者の暖かさが漂っていた。いおりは負けないという確信の正体は、おそらくそれだろう。
「いおり……。あいつのためにも、勝ってよ!いおり!」
 不意に、チカの動きが止まり、いおりがこちらを向いた。笑っている。
 勝利を確信したその笑顔に、なぜか私もつられて笑ってしまっていた……。
 「「いっけぇぇぇぇぇぇ!!時よ永遠に止まれ!【タイムストップ】!!」」
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