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愛のカタチ(3)
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愛を誓う場面が終わり、セットを変更するために舞台袖に下がった。
水をもらって休憩していると、輝樹が俺の所に駆け寄ってきた。
「おう、純。上手くやれてるみたいだな」
「覚えた台詞を言うのがやっとだよ」
やれやれと言って肩をすくめると、輝樹に背中を叩かれた。
「せっかくお前に役を譲ったんだから、しっかりしてくれよ」
「……うん。昨日は急にごめんな」
「後でジュース奢れよ?」
「分かってるよ」
しばらくして、物語は次の場面に移った。
ロミオが神父の元へ行き、二人の結婚が認められた日の夕方。それは起こった。
ジュリエットの幼馴染であるティボルトが殺された。
犯人はロミオだが、それには理由があった。ティボルトがロミオの大切な友人を殺したのだ。
逆上したロミオはティボルトを殺害し、その場から逃げ去った。
剣で斬り合うシーンは中々の迫力で、観客たちの感嘆の声が聞こえてくる。
ロミオは街外れの小さな村へと追放された。
ジュリエットは追放されたロミオを想い、一人嘆く。
ステージ上での青山さんの迫真の演技は、観客をさらに物語に引き込む。
「ロミオ……。どうしてあんな事をしてしまったの……。貴方がいない今、私はどうしろと言うのですか……」
そこに、輝樹の演じるロミオの親友が姿を表す。
「ジュリエット様、私に良い考えがあります」
「貴方は誰ですか?」
「私はベンヴォーリオ。ロミオの行方を知る、数少ない人物です。どうか私の話を聞いてくださいませんか?」
ベンヴォーリオは、ジュリエットにある提案をした。
一ヶ月後。ロミオに一通の手紙が届いた。手紙には、ジュリエットが毒薬を飲んで亡くなったこと、街の霊園にて埋葬されることが書かれていた。
ロミオはすぐに身支度を済ませ、霊園まで馬を走らせる。二日間の間、一度も休む事なく移動し、辿り着いたのは手紙が届いて三日目の夜だった。
誰もいない深夜の霊園で、ジュリエットの眠る棺を見つけたロミオ。彼は徐に棺を開け、愛する彼女の顔に触れる。
「あぁ、ジュリエット……。すっかり冷たくなってしまって……」
自分のせいで彼女を死に追いやってしまったと、ロミオの胸には後悔と罪悪感が渦巻いていた。
「君がこの世にいないのなら、私も後を追おう。どうか、せめて最期に、君の唇に触れることを許してくれ……」
冷たくなってしまったジュリエットを抱き上げ、ロミオは彼女の唇にキスをした。
何十分そのままジュリエットを抱きしめていただろうか。ロミオはようやく死ぬ覚悟を決めて、彼女を降ろそうと動いた。その瞬間、ジュリエットの体に熱が戻って来るのを感じた。驚いて彼女を見ると、ジュリエットはゆっくりと目を開いた。
「……あぁ、ロミオ様。私は信じていましたわ」
「ジュリエット……?本当に君なのか……?」
「えぇ。貴方の愛するジュリエットですよ」
「君は、亡くなったはずでは……?先程も、確かに冷たくなっていたはずだ」
「貴方の親友の、ベンヴォーリオ様が特別な毒薬を下さったのですよ。それは、四日間人を仮死状態にできる薬。私はそれを飲みました。貴方がもう少し来るのが遅れていたら、私は生き埋めになっていました」
「じゃあ、死んだという手紙は……」
「あれは本物です。皆私が亡くなったと信じているはずです。貴方のように、ね?」
ジュリエットは、イタズラが成功した子供のように笑う。ロミオは放心して、しばらくジュリエットを見つめたままだった。
「さあ、もうすぐ夜明けです。私の棺を埋めに来る方々が来る前に、ここを離れましょう!」
どうやら、彼女はロミオと共に逃げるつもりらしい。
「そんな事して、君は良いのかい?」
ロミオは逃げる準備をする彼女に問いかける。
「もう私は死んだことになっているのですよ。何をしても、もう誰にも邪魔はされません。だったら、最愛の人と共に生きたいじゃないですか」
ジュリエットは、真夜中だというのに眩しいくらいの笑顔で笑う。ロミオも、そんな彼女につられて笑った。
「……そうだった。君はもう、死んでいるんだったな。じゃあ、私の家に着くまで、君の新しい名前でも考えようか」
ロミオは馬に跨り、ジュリエットに手を差し伸べる。
「はい、喜んで!」
彼女は嬉々としてその手を取り、ロミオと共に霊園を後にした。
ここで劇は幕を閉じた。
元々のバッドエンドを大きく改変した斬新な物語は、観客の心を突き動かしたらしく、割れんばかりの歓声が体育館を包んだ。
水をもらって休憩していると、輝樹が俺の所に駆け寄ってきた。
「おう、純。上手くやれてるみたいだな」
「覚えた台詞を言うのがやっとだよ」
やれやれと言って肩をすくめると、輝樹に背中を叩かれた。
「せっかくお前に役を譲ったんだから、しっかりしてくれよ」
「……うん。昨日は急にごめんな」
「後でジュース奢れよ?」
「分かってるよ」
しばらくして、物語は次の場面に移った。
ロミオが神父の元へ行き、二人の結婚が認められた日の夕方。それは起こった。
ジュリエットの幼馴染であるティボルトが殺された。
犯人はロミオだが、それには理由があった。ティボルトがロミオの大切な友人を殺したのだ。
逆上したロミオはティボルトを殺害し、その場から逃げ去った。
剣で斬り合うシーンは中々の迫力で、観客たちの感嘆の声が聞こえてくる。
ロミオは街外れの小さな村へと追放された。
ジュリエットは追放されたロミオを想い、一人嘆く。
ステージ上での青山さんの迫真の演技は、観客をさらに物語に引き込む。
「ロミオ……。どうしてあんな事をしてしまったの……。貴方がいない今、私はどうしろと言うのですか……」
そこに、輝樹の演じるロミオの親友が姿を表す。
「ジュリエット様、私に良い考えがあります」
「貴方は誰ですか?」
「私はベンヴォーリオ。ロミオの行方を知る、数少ない人物です。どうか私の話を聞いてくださいませんか?」
ベンヴォーリオは、ジュリエットにある提案をした。
一ヶ月後。ロミオに一通の手紙が届いた。手紙には、ジュリエットが毒薬を飲んで亡くなったこと、街の霊園にて埋葬されることが書かれていた。
ロミオはすぐに身支度を済ませ、霊園まで馬を走らせる。二日間の間、一度も休む事なく移動し、辿り着いたのは手紙が届いて三日目の夜だった。
誰もいない深夜の霊園で、ジュリエットの眠る棺を見つけたロミオ。彼は徐に棺を開け、愛する彼女の顔に触れる。
「あぁ、ジュリエット……。すっかり冷たくなってしまって……」
自分のせいで彼女を死に追いやってしまったと、ロミオの胸には後悔と罪悪感が渦巻いていた。
「君がこの世にいないのなら、私も後を追おう。どうか、せめて最期に、君の唇に触れることを許してくれ……」
冷たくなってしまったジュリエットを抱き上げ、ロミオは彼女の唇にキスをした。
何十分そのままジュリエットを抱きしめていただろうか。ロミオはようやく死ぬ覚悟を決めて、彼女を降ろそうと動いた。その瞬間、ジュリエットの体に熱が戻って来るのを感じた。驚いて彼女を見ると、ジュリエットはゆっくりと目を開いた。
「……あぁ、ロミオ様。私は信じていましたわ」
「ジュリエット……?本当に君なのか……?」
「えぇ。貴方の愛するジュリエットですよ」
「君は、亡くなったはずでは……?先程も、確かに冷たくなっていたはずだ」
「貴方の親友の、ベンヴォーリオ様が特別な毒薬を下さったのですよ。それは、四日間人を仮死状態にできる薬。私はそれを飲みました。貴方がもう少し来るのが遅れていたら、私は生き埋めになっていました」
「じゃあ、死んだという手紙は……」
「あれは本物です。皆私が亡くなったと信じているはずです。貴方のように、ね?」
ジュリエットは、イタズラが成功した子供のように笑う。ロミオは放心して、しばらくジュリエットを見つめたままだった。
「さあ、もうすぐ夜明けです。私の棺を埋めに来る方々が来る前に、ここを離れましょう!」
どうやら、彼女はロミオと共に逃げるつもりらしい。
「そんな事して、君は良いのかい?」
ロミオは逃げる準備をする彼女に問いかける。
「もう私は死んだことになっているのですよ。何をしても、もう誰にも邪魔はされません。だったら、最愛の人と共に生きたいじゃないですか」
ジュリエットは、真夜中だというのに眩しいくらいの笑顔で笑う。ロミオも、そんな彼女につられて笑った。
「……そうだった。君はもう、死んでいるんだったな。じゃあ、私の家に着くまで、君の新しい名前でも考えようか」
ロミオは馬に跨り、ジュリエットに手を差し伸べる。
「はい、喜んで!」
彼女は嬉々としてその手を取り、ロミオと共に霊園を後にした。
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