【本編完結】瓦解

星の書庫

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聖なる夜に(2)

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 小さな青い宝石が埋め込まれた指輪は、玲と俺の右手に指にはめられている。先ほど購入したばかりのその指輪は、小さいながらも、二人の間を間に幸せをもたらすには充分過ぎるものだった。
「綺麗だね……」
玲は、指輪をいとおしそうに眺めている。俺はそんな玲のことを見て、彼女と同じ気持ちを味わうことができている。
「そうだね。指輪も……指輪をはめた玲も。すごくきれいだ」
「私じゃなくて、指輪が綺麗なの。私はまだ全然だよ」
玲はそう言って悲しそうな顔をする。
「私なんか、いつも純くんに頼ってばかりで……本当は、純くんに私は釣り合わないんじゃないかって、ずっと思ってるんだ」
玲はペアリングを買ってもらったことに後ろめたさを感じたのか、申し訳なさそうに歩き始めた。
今の彼女は、自分で自分を責めているようで、少し息苦しく感じる。
「でも、玲はいつも俺を助けてくれるでしょ?それと同じことなんだから、気にしなくてもいいんだよ」
「でも……」
それでもまだ、彼女は自分が許せないらしい。
自分の行動が枷になりがちな玲の姿が、少しだけ茉莉と重なってしまった。
「あまり自分を追い詰めすぎると、楽しめるものも楽しめなくなっちゃうよ。もっと楽観的に生きていこう?」
俺は、無理やり話を終わらせる方向へともっていく。今は、目の前の彼女にだけ集中していたい。
「……そう、かな」
少しずつ、玲の顔に笑みが戻り始める。まだ完全ではないが、自分のことを許し始めたのが分かった。
「そうだよ。だから、今はこの瞬間を楽しもう?」
玲にも自分にも向けてはなったその言葉は、玲を安心させ、逆に自分の心に靄をかけていった。
「うん、そうだね」
玲はまた、嬉しそうに指輪を眺め始めた。

 二十時を過ぎた頃、俺たちは今夜泊まるホテルにチェックインした。
部屋は九階。クリスマスの夜景を眺めるのには、丁度良い高さだった。
「凄い……街の明かりが全部見えそうだよ」
玲は初めて見る景色に興奮を隠せずにいるようで、窓に額を張り付けて、夜景を堪能している。夜景を眺める彼女は童心に返ったみたいで、とても微笑ましく思った。
かくいう俺も、夜空の星のような街の明かりを見て、玲と同じような気持ちになった。
「確かにきれいだけど……」
俺は徐に口を開く。
「だけど?」
俺は、不思議そうに首を傾げる玲の手をとって、その甲に軽くキスをした。
「……玲の方が綺麗だよ」
「もう、照れるじゃん……バカ」
 頬を朱に染めた玲と抱き合い、キスをした。お互いの愛を確かめ合うようにゆっくりと、長い長い口づけを交わす。

 俺たちは一つになって、イヴの寒い夜を過ごした。
おそらくこの日は、地球上にいるどんな人よりも、満たされた夜だった。
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