【本編完結】瓦解

星の書庫

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挫折

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 十二月。俺は大学受験を直前に控えているので、今年のクリスマスは玲と二人で過ごさないことになった。
玲は推薦で看護学校に合格していたが、俺に支障が出ないよう配慮してくれた結果だろう。これで、合格しなければならない理由が一つ増えた気がする。

 塾には常に人がいて誰かに見られている感覚があるので、集中して勉強するには最適な場所だった。能海も俺の邪魔をしてくることはなくなり、自分のことで手一杯といった様子だ。
共通テスト前最後の模試では、今までで一番良い判定を出せた。このままいけば、第一志望の大学に合格できるかもしれない。

 年が明けて、共通テスト当日がやってきた。ここで良い点を取れば、後の入試でも有利になるはずだ。
俺は気合を入れてテストに臨んだ。

 自己採点の結果では、危なかったが合格ラインに到達していた。このまま一般入試を受けても大丈夫そうだ。
最後の追い込みに入った。

 待ちに待った入試の日。過去問を何度も解いてきた俺なら絶対に大丈夫なはずだ。そう自分に言い聞かせて、俺は会場に入っていった。
出来ることは全てやった。あとは神頼みだ。

 合格発表の日。大学の前に張り出された合格者の欄に、俺の名前はなかった。
不合格だと分かった瞬間、それまで忙しく過ぎていた時間が止まるのを感じた。周りの声は聞こえるはずもなく、隣で合格したと喜ぶ能海の声すらも、何もかも耳には入ってこなかった。

合否が分かって一週間が経った。滑り止めとして受けた大学には受かっていたが、そんな事で喜べる精神状態ではない。
二度目の挫折。俺は外にも出ず、自分の部屋で一日を終えることが多くなった。誰かが俺の部屋に入ってくることも拒絶して、俺は完全に外の世界との関りを絶った。

 今日も何もせずに一日が終わる。そんなことを考えていると、部屋のドアがノックされる音が聞こえた。控えめで優しいノック音。誰だろうか。でも、母さん意外にこの家に入る人はいないはずだ。
俺は母さんの乱暴なノックオンではない事に違和感を覚えながらも、ドアの向かい側に向かって話しかける。
「母さん、入ってこないでくれって何度言ったら……」
そこまで言いかけて、やめた。ドアの向こうから聞こえてきたのが、久しく聞いてない玲の声だったからだ。
「純くん……突然ごめんね。どうしても会って話したくて……」
声の主は、部屋に入ってこようとはしない。俺のことを思ってだろうか。
「……何しに来たの」
ぶっきらぼうに答えると、玲は消え入りそうな声でごめんと謝る。
「はぁ……入ってきていいよ」
わざわざ来てもらったのにこのまま追い返すわけにもいかないと思い、俺は玲を部屋に招き入れた。
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