【本編完結】瓦解

星の書庫

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挫折(2)

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 玲は部屋に入ると、徐に俺の体に腕を回して抱き着いてきた。
「……玲?」
「ごめん、こんなことしか思いつかないや……」
玲は、俺を抱きしめる腕に力を込める。
「私は行きたいところに合格したから、純くんの気持ちが分かるなんて言えない。ごめんね」
玲はそう言って泣き始めた。泣きたいのは俺なのに。
「……分かってもらおうとは思ってないよ」
「でも……」
玲が何を言いたいのかは分かる。でも、二度も同じ挫折を味わった俺にとって、その言葉は無意味だった。
彼女もそれを分かっているから、何も言えないのだろう。
「このまま、学校には来ないの……?」
「行きたくない」
「……そっか」
悲しそうに頷く玲に、俺は何も言えなかった。
 外に出る気のない俺に、玲は一つ提案をする。
「じゃあ、学校が終わったらここに来ても良い?」

 二月も半ば。俺は相変わらず、学校には行っていない。
玲は、用事がある日以外は毎日、俺の家に来るようになった。
「純くん、入るね」
今日も玲は俺の部屋のドアをたたく。こんな俺のために、よく飽きもせずに来るなと感心する。そんな彼女を止めない俺も大概だな。そう思いながら、散らかった部屋を掃除する玲を眺める。
「そんなにジロジロ見て、私の顔に何かついてる?」
「ううん。よく飽きないなって思ってただけだよ」
「こんな形でも、毎日純くんに会えるからね。本当は純くんが外に出れるといいんだけど……」
「……そうだね」
お互いに喋らないまま、沈黙だけが過ぎていく。地獄のような空気だ。
「ねえ、純くん」
沈黙を破ったのは玲だった。彼女は申し訳なさそうに口を開いた。
「大学生になったら、純くんも外に出てみない?」
「……なんで?」
「ほら、私たち違う道に進むでしょ?忙しくなるし……あまり会えなくなるかもしれないから……」
「……考えておく」
「そっか……」
そしてまた、会話のない時間が続く。
「私、帰るね……また明日」
「うん」
部屋を出る玲は泣いていて、俺はその姿を見て自分が情けなくなった。
衝動的に、裏拳で壁を殴った。何もできない自分が悔しくて、腹が立つ。玲には、迷惑をかけてばかりだ。
「……何してんだろ、俺」
暗い空に、俺は力なく嘆いた。

 三月一日。卒業式の日。俺は、久しぶりに外に出た。
今まで真面目に通っていたので、出席日数が足りずに卒業できないなんてことはなく、無事に卒業できるとのこと。
最後の式典くらいはと母さんに喝を入れられ、俺は渋々式に出席した。
玲は学校に来た俺を見て驚いていたし、来てくれてうれしいと言って泣いていた。

 そして四月。
大学生になった俺は、一人暮らしを始めた。
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