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マッドサイエンティスト
研究者
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「はっ……!!」
白衣の幼女は勢いよく飛び起きた。
「僕は……。僕はなんで寝てしまったんだ……!寝る暇があったら、研究しなきゃいけないのに……」
白衣の幼女、エモ・シュタイン。通称マスター・エモ。ロクやシーフの時詠みを無効化する程の魔道具を作る天才だ。だが、筋力は壊滅的に弱く、シーフに気絶させられていたのだった。
「おう、起きたかよ。マッドサイエンティストさんよ」
「随分長く眠っていたじゃない。あなた、どれだけ寝ていなかったの?」
ロクがそう言うと、エモから信じられない言葉が返ってきた。
「いつから寝ていないのか分からないです。僕は研究の間はずっと、魔道具で睡眠欲を限りなくゼロにしていますから」
「まじかよ……」
「えぇ。それよりも、僕の研究の時間を奪った報いはどうするのです……?」
エモの目には、少し怒気が含まれていた。
「貴重な研究の時間が失われたじゃないですか!これじゃあ僕の研究は終わる……!!何もかも君達のせいだ!」
エモは次第に激怒していく。
「まずいわ……。こうなると誰もエモを止められないわよ」
「これはまずい……です」
「エモっちが怒ったの久しぶりに見たなー」
二人がエモの怒気を感じ、危機感を覚える中で一人、アインだけは笑っていた。
「シーフ。あなた、やられる覚悟は出来ているわね?」
不意に、ロクがそんな事を言ってきた。
「え?それってどういう──」
次の瞬間、シーフの時間は止まった。ロクが止めたのだ。
「ヘンリエッタ、シーフを贄にするわよ。手伝ってちょうだい」
「分かった……です」
二人はシーフを担ぎ、エモの前に差し出す。
「エモ、あなたが私達の仲間になるなら、シーフを研究し放題よ。研究時間を研究密度で取り戻すのよ、エモ」
そう言うと、エモの目の色が変わった。
「……なんですと?僕が、シーフ君を研究志し放題ですか……?夢のようじゃないですか……!!」
途端にエモは目を輝かせ始める。そして、じりじりとシーフに歩み寄ってくる。シーフは時を止められているため、抵抗ができない。「解体まではできないか……。だとしたら、シーフ君から発せられる因子を抽出して……」
シーフへと歩み寄りながら、考察を始めたエモは、周囲を気にする素振りを見せない。マッドサイエンティストと呼ぶのに相応しい程の者だ。
「エモ。あなたがシーフと共に魔道具を作れば、並の魔獣は愚か、フローリアでさえも倒せるかもしれないわよ?」
「それは魅力的ですね……。フローリアを倒した英雄と謳われ、莫大な資産を手に入れ、研究に没頭する。……良い夢が見れそうですね!!」
「えぇ、私達はフローリアを倒せて、エモはあなたの目標を達成できる。win-winの関係を築くのよ!!」
ロクはエモに向かって殺し文句を放つ。
「えぇ、そうですね!!僕とあなた達とで良い関係をもう一度作りましょう!!」
シーフ達四人に、かつての仲間であった、エモ・シュタインが加わった……。
白衣の幼女は勢いよく飛び起きた。
「僕は……。僕はなんで寝てしまったんだ……!寝る暇があったら、研究しなきゃいけないのに……」
白衣の幼女、エモ・シュタイン。通称マスター・エモ。ロクやシーフの時詠みを無効化する程の魔道具を作る天才だ。だが、筋力は壊滅的に弱く、シーフに気絶させられていたのだった。
「おう、起きたかよ。マッドサイエンティストさんよ」
「随分長く眠っていたじゃない。あなた、どれだけ寝ていなかったの?」
ロクがそう言うと、エモから信じられない言葉が返ってきた。
「いつから寝ていないのか分からないです。僕は研究の間はずっと、魔道具で睡眠欲を限りなくゼロにしていますから」
「まじかよ……」
「えぇ。それよりも、僕の研究の時間を奪った報いはどうするのです……?」
エモの目には、少し怒気が含まれていた。
「貴重な研究の時間が失われたじゃないですか!これじゃあ僕の研究は終わる……!!何もかも君達のせいだ!」
エモは次第に激怒していく。
「まずいわ……。こうなると誰もエモを止められないわよ」
「これはまずい……です」
「エモっちが怒ったの久しぶりに見たなー」
二人がエモの怒気を感じ、危機感を覚える中で一人、アインだけは笑っていた。
「シーフ。あなた、やられる覚悟は出来ているわね?」
不意に、ロクがそんな事を言ってきた。
「え?それってどういう──」
次の瞬間、シーフの時間は止まった。ロクが止めたのだ。
「ヘンリエッタ、シーフを贄にするわよ。手伝ってちょうだい」
「分かった……です」
二人はシーフを担ぎ、エモの前に差し出す。
「エモ、あなたが私達の仲間になるなら、シーフを研究し放題よ。研究時間を研究密度で取り戻すのよ、エモ」
そう言うと、エモの目の色が変わった。
「……なんですと?僕が、シーフ君を研究志し放題ですか……?夢のようじゃないですか……!!」
途端にエモは目を輝かせ始める。そして、じりじりとシーフに歩み寄ってくる。シーフは時を止められているため、抵抗ができない。「解体まではできないか……。だとしたら、シーフ君から発せられる因子を抽出して……」
シーフへと歩み寄りながら、考察を始めたエモは、周囲を気にする素振りを見せない。マッドサイエンティストと呼ぶのに相応しい程の者だ。
「エモ。あなたがシーフと共に魔道具を作れば、並の魔獣は愚か、フローリアでさえも倒せるかもしれないわよ?」
「それは魅力的ですね……。フローリアを倒した英雄と謳われ、莫大な資産を手に入れ、研究に没頭する。……良い夢が見れそうですね!!」
「えぇ、私達はフローリアを倒せて、エモはあなたの目標を達成できる。win-winの関係を築くのよ!!」
ロクはエモに向かって殺し文句を放つ。
「えぇ、そうですね!!僕とあなた達とで良い関係をもう一度作りましょう!!」
シーフ達四人に、かつての仲間であった、エモ・シュタインが加わった……。
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