トラウマ持ちΩが幸せになる話

腐女子

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幸せの訪れ

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_____数時間後
霄「夕食の時間だ...」
気づいたら日は沈みきっていて、部屋は暗がりに覆われていた。
霄「ご飯作ろう」
この家に使用人はいない。
式を挙げる予定が決まっているので、同棲に慣れておくため初めからいないのだ。
陽向は洗濯をしてくれる。
陽向は仕事が忙しいので、洗濯以外の家事は僕がやることになっている。
それは僕自身が望んだことだ。
霄「今日は何作ろう....。」
毎日違うメニューを考えるのは簡単なことじゃない。
だけど陽向がいつも美味しそうに食べてくれるので張り切って作ってしまう。
陽向はハンバーグが好きだ。
初めの頃は子供っぽくて少し笑ってしまったが、陽向らしくて良いなと思う。
霄「.......ハンバーグ作ろう。今からだったら20時半には間に合うかな。」
手際よく材料を混ぜ、こね始める。
形作ったハンバーグを2つフライパンにのせ、火をつける。
こんがり焼ける音と匂いを感じながらお皿の準備をする。
お皿の端にサラダを盛り付け、トマトとパセリをのせる。
ハンバーグをひっくり返し、テーブルへと向かう
テーブルクロスを広げ、飲み物とお箸を用意する。
キッチンに戻り、ハンバーグの様子を見ながら、時間通りに炊けたご飯をお茶碗によそう。
ご飯は毎朝陽向が予約炊きしてくれるので炊きたてで食べることができる。
お味噌汁の入った鍋に火をつけ、温める。
ハンバーグに火が通ったことを確認し、お皿にのせる。
テーブルに皿とお茶碗をおき、ドレッシングも隣におく。
温まった味噌汁をお椀につぎ、テーブルへ運ぶ。
ご飯の置かれたテーブルをみて、椅子に座る。
ご飯、味噌汁、ハンバーグとサラダののったお皿。
テーブルにのっているのはすべて1つづつだ。
霄「食欲が湧かない。」
どうしてだろう。
前まではこんなことはなかった。
発情期でもお腹はすいたし、終わったあとの食欲は驚く程にあった。
霄「あ.....薬...飲まなきゃ..」
.......ドサッ.....パリン.........................

_____夕暮れ時
陽向「そろそろ帰るか.....」
霄は落ち着いただろうか。
いつも笑顔で明るい霄とは違う雰囲気がして怖く感じた。
夕飯の時間だ。
霄はどうしてるだろうか。
発情期開けだからさすがに何も作っていないだろう。
コンビニでおにぎりとプリンを買う。
プリンは2つ買った。
陽向「帰って霄と食べよう。」
そう思いながら家へと足を急がせた。
........ガチャッ......パタン...
陽向「ただいま。」
返事はない。寝ているのだろうか。
部屋の電気がうっすらとついている。
それとも、家を出ていったことを怒っているのだろうか。
そうだとしたら謝ろう。
リビングへの扉を開ける。
陽向「..霄......?」
割れた花瓶の傍に霄が倒れている。
陽向「霄...?霄.......!!!」
呼びかけるが反応はない。
急いで呼吸の確認をして、脈をはかる。
息はしてる。脈もある。
寝ているだけだろうか。
いや、寝ているだけだったらそろそろ起きるはずだ。
でも寝ている時とは違う呼吸の仕方。
浅く、不規則だ。
急いでスマホを手に取り、画面を開く。
『119』
電話をかける。
📞『こちら119。火事ですか?救急ですか?』
陽向「救急です。同居人が倒れていて...呼吸が浅いです....!!」
📞『ありがとうございます。住所を教えてください』
陽向「○○市××区△△-△???マンション907です。」
📞『ありがとうございます。倒れている方のご年齢とお名前を教えてください。』
陽向「暮原霄、21歳です。」
📞『ありがとうございます。ではそちらの状況を教えてください。意識はありますか?質問に応答したり、なにかに反応したりしていますか?』
陽向「意識は......ない....です。呼びかけにも反応しません。」
📞『胸は上下していますか?普段通りの呼吸ですか?』
陽向「していません。浅くて、不規則です。苦しそうに...呼吸しています。」
📞『ありがとうございます。現在、救急車向かっています。玄関を開けて、保険証の準備をお願いします。何かまたありましたら電話をお願いします。』
陽向「....わかりました。ありがとう...ございます....。」

____数分後
サイレンとともに救急車が来た。
救急隊員の人達は担架に霄を乗せ、下まで運んで行った。
救急車に一緒に乗り込み、病院へと向かった。
何が起こったのか、何が起こっているのか把握しきれず、混乱していた。
病院での診察で、重めの貧血だと言われた。
意識が戻らないのは抑制剤の飲みすぎだと。
死んでしまうのではないかと、失ってしまうのではないかと怖かった。
やっと、傍に居てくれる人を見つけたのに失うのは嫌だ。

____翌日
霄「................ど............こ......?」
陽向「霄..!!!!」
目覚めると知らない天井があり、言葉を発すると陽向が勢いよく飛びついてきた。
陽向「良かった...目が覚めた.......。」
陽向は胸をなでおろし、涙を拭う。
陽向「家で倒れてたんだよ......重めの貧血だってさ。すごい心配したんだよ....」
霄「助け....て....くれた......の.......?」
陽向「当たり前だろ!逆になんで助けないんだよ..!」
陽向の中での普通が僕にとっては特別嬉しい事で子供のように泣いてしまった。
その後陽向に全てを打ち明けた。
陽向はまるで自分が体験したかのように、号泣し、話終わったあとには抱きついて離してくれなかった。
こんな自分にもこんなに優しい婚約者ができたんだと改めて思うと幸せな気持ちになった。
阿澄家に嫁がなければ一生経験できなかったかもしれないこの幸せを僕はこの先もずっと握りしめて生きていくだろう。

霄「.......大好き。」
陽向「愛してる。」

____数ヶ月後式を挙げた。
大勢の人が来てくれたが、僕の家族は誰一人として来なかった。
だけど、家族がいなくても僕は幸せになれる。
これからの僕の人生は、自分で掴み取っていくものだ。
陽向と一緒に。
神父「誓いのキスを!!」
甘い口付けをする。
霄「.....ふふっ....愛してる。」
陽向「俺も愛してる。」

僕は今人生で1番幸せだ。
そして、この世界で1番幸せ者だ。
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