【完結】神様が紡ぐ恋物語と千年の約束

NOX

文字の大きさ
132 / 177
五章 一幕:お伽噺と魔王の正体

五章 一幕 6話-6 ※※

しおりを挟む
 
「大丈夫?」

 レオンハルトの声を辿るように視線を上げると、彼は身を起こし、唇の端に付いたルヴィウスの体液を親指で拭ったところだった。
 その何気ない仕草に、酔うほどの色香が漂っている。この表情を知っているのは、世界でたった一人、自分だけ。その優越感がルヴィウスの欲を満たすものの、満ちた傍から乾き、より大きく深い愛を欲し始める。

「へ、ぃき……、だから……」

 ―――だから、早く僕の中にきて。

 言葉にならず、潤んだ瞳で訴えた。
 レオンハルトは際限のない愛を求められていることへの悦びを感じ、口の端を上げる。
 こんなにも己の欲求を満たす存在が他にあるだろうか。レオンハルトにとってルヴィウスは、あらゆる面で唯一無二なのだ。

 クッションを手に取ったレオンハルトは、それをルヴィウスの腰の下に入れ込んだ。
 体液と、紋が溢れさせる蜜で濡れそぼった後口に、レオンハルトの熱杭があたる。期待で体を震わせたルヴィウスに、レオンハルトは口づけた。

「ルゥ、挿れるよ?」

 その宣言に、ルヴィウスは二度、頷いた。そして無意識に七色のヴェールを掴み、握りしめる。

「ふっ、ぁっ、ん…っ、んん―――ァアっ!」

 ゆっくりと、レオンハルトの熱がルヴィウスの体をこじ開けていく。
 レオンハルトはルヴィウスの膝裏に手を置き、足を開かせた。
 クッションの分だけ腰の位置が上がったことで、熱杭は奥へ、奥へと入っていく。これまでより深い部分へと向かっていく感触に、ルヴィウスは少し慌てた。

「れっ、れおっ、それ以上は……―――ひっ、あっ、アァッ!」

 ゴツっ、と硬くて大きな熱がルヴィウスの最奥を突く。一瞬、息が止まった。
 かひゅっ、と乾いた音を立てた喉。目の前が霞み、腰が痙攣する。

「ルゥ、分かる?」

 レオンハルトが熱っぽく囁く。そして彼の右手が、ルヴィウスの下腹部を押し付けるように撫でた。

「ゃっ、だめ……―――んぅっ」

 腹を押されたことで、胎の中にあるレオンハルトの形が嫌というほどよくわかる。そのうえ、内壁が圧迫され、少し律動されるだけで痺れるような快楽が体を突き抜けてゆく。

「こうすると、俺の形がよくわかるでしょ?」

 レオンハルトは熱に浮かされた目で、ルヴィウスを見下ろしながら腰を揺らした。
 節のしっかりした指を持つレオンハルトの右手は、ルヴィウスの下腹部を抑えたままだ。

「れぉっ、れ、ぉ……っ、そ、れ……、だっ、め……っ」

 いやいや、と首を横に振るルヴィウスに、レオンハルトは腰の動きを速めていく。

「だめじゃないよね、ルゥ」
「や…っ、だめっ、だめっ」
「嘘つき。気持ちいよね?」
「きっ、もち……ぃっ、アァッ」
「うん、もっと気持ちよくしてあげるよ」
「んっ、アァッ……っ、ゃっ、それっ、やぁっ、……ァんっ!」

 いつもと違う。ルヴィウスは初めて感じる強すぎる快楽に、無意識に腰を引こうとした。が、腰の下のクッションと、下腹部にレオンハルトの手があることで逃げようにも逃げられない。

 今まで、数えきれないくらい抱き合ってきた。快楽の波に飲まれて意識が飛んだことも一度や二度ではない。
 だが、今回は今までのどの感覚とも違う。
 喘ぐ声が止められない。せり上がって来る衝動に抗えない。胎の中がぎゅうぎゅうと収縮している。再び立ち上がった熱の先端からは白濁が溢れている。
 それを塗り込めるように、レオンハルトがルヴィウスの屹立の先端に、ぐりっ、と手のひらを強く擦り付けた。

「やっ! それ……っ、ゃっ、ぃやっ、ぁン…っ!」

 二度目の絶頂の予感がする。だが、いつもと違う。これはむしろ……。

「いいよ、ルゥ。我慢しないで」

 背中がぞくぞくするほど、雄を感じさせるぎらついた視線で笑うレオンハルトに見下ろされ、ルヴィウスは眦から涙を零した。
 これは、わざとだ。この快楽の果てがどうなるか、知っていてやっている。
 ルヴィウスは、いやいや、と頭を振った。

「やっ、ぁあ! ァんっ、ゃっ、だっ! だ、め……っ、れぉっ、ゃだっ! これ……っ、ァア……ッ、やっ、ァッ」

「イけ、ルゥ」

 ひと際、深く、強く、奥へと熱をぶつけられ、屹立の先端を、ぐりっ、と回し撫でられた。
 瞬間、ルヴィウスの視界が明滅し、硬く膨れた先端からは透明な体液が、ぷしゅっ、と噴き出し、体が硬直する。

「んっ、ルゥ……っ、はっ、ぁっ」

 ほぼ同時に、胎の中が強く収縮し、レオンハルトの熱杭を強く締め付けた。
 小さく息を飲んだレオンハルトは、眉根を寄せ、ぶるり、と腰を震わす。そして、ルヴィウスの胎の中で熱が弾けた。
 最後の一滴まで搾り取るように収縮するルヴィウスの胎と、奥へ奥へと種付けするように腰を、ぐっ、ぐっ、と押し付けるレオンハルトの動きは、同じ高みへと一緒に昇りつめた証だ。

 レオンハルトは荒く息を上げ、覆いかぶさるようにしてルヴィウスを抱きしめた。耳元に、そして汗ばんだ首筋に口づける。胸が重なり合って、互いの脈打つ鼓動が体に響く。

 しばらく息を整えることに時間を使ったレオンハルトは、少し体を起こし、ルヴィウスの頬にキスをした。
 そして額に張り付いていた髪を除け、唇を寄せる。そのあと目尻にキスをして、鼻先に触れ、最後に唇を重ねた。
 そうしながら、器用に―――いや、呼吸をするのと同じくらい造作もなく、魔法で体を清め、ルヴィウスの中に吐き出した自分の体液を処理する。

 いつもなら余韻に浸るところだが、ルヴィウスに何かあってはいけない。今回ばかりは、雰囲気がどうとか言っている場合ではない。

「平気? なんともない?」

 そう聞きながら、レオンハルトは指先を、ぱちん、と鳴らし、この別邸の寝室にあるブランケットを呼び寄せた。
 自分が起き上がるついでにルヴィウスも抱き起こし、膝の上に向かい合わせに座らせる。そして呼び寄せたブランケットを広げ、ルヴィウスの肩に掛けた。

 微かにルヴィウスの肩が震えている。胎の中に精を吐き出してしまった影響で、どこかに異変が出たのだろうか。そう思い、回復魔法を掛けた。

「ルゥ、体に異変は―――」
「レオのばかぁっ」

 ぽこぽこぽこ、とルヴィウスがレオンハルトの肩を叩いてくる。どうやら魔力の影響は受けていないようだ。
 レオンハルトは、ほっと胸を撫で下ろした。が、ルヴィウスにしてみれば、それどころではない。

「あっ、あんな……っ、あんなことするなんてっ! いくらレオしか見ないからって、人前でっ、も……っ、粗相させるなんてっ!」
「あぁ」レオンハルトはルヴィウスの反応に合点がいった。「初めてなのに上手く出来たな」
「なにがっ?」

 聞き捨てならない! とでも言いたげに、ルヴィウスが涙目で睨んでくる。

「潮吹くくらい気持ちよくしてやれたんだなって、嬉しくて」

 悪戯っぽく笑いかけてやると、ルヴィウスの表情から色が抜け落ちる。しばらくすると、すぐに真っ赤になって怒りだした。

「そんなの知らないっ! レオのばかっ! 癖になったらどうするんだよっ」
「でも気持ちよかっただろう? 癖になるかもしれないくらい」
「ぐ……っ、そ、れは……」恐ろしいほど気持ちよかったが………、しかし。「変なこと覚えさせないでっ」
「ルゥの体は優等生だからな。すぐ気持ちいいことを覚えてくれて俺は嬉しい」
「ばかばかばかぁっ、レオの―――んぁっ」

 文句を言うルヴィウスの口の中に、レオンハルトの親指が入り込む。
 その指はルヴィウスの上あごを、ざらり、と撫でた。たったそれだけで、ルヴィウスの背中を快楽の波が駆け上がっていく。

「ここが気持ちいいってこと、すぐに覚えたルゥのこと、今でも思い出すと可愛くてたまらないよ」

「ん、ぅ……」

 あれは婚約して間もない頃のことだ。魔力交換のために口づけたレオンハルトがやや暴走し、精通もきていないルヴィウスをかせてしまったことがある。レオンハルトにとってはいい思い出だ。

「ルゥはいつも可愛いな」

 ルヴィウスの口から指を離したレオンハルトは、唾液に塗れたその親指を、見せつけるかのように、べろり、と舐めた。
 ルヴィウスは「もぉ~っ」と言って、レオンハルトの肩を叩く。大胆に誘うくせに、レオンハルトがこうして余裕を見せると、急に恥ずかしがる。そんなところが可愛くてたまらない。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

脳筋剣士と鈍感薬師 ~騎士様、こいつです~

季エス
BL
「ルカーシュは、駄目よ」  その時胸に到来した思いは安堵であり、寂しさでもあった。  ルカーシュは薬師だ。幼馴染と共に、魔王を倒すために村を出た。彼は剣士だった。薬師のルカーシュは足手纏いだった。途中で仲間が増えたが、それでも足手纏いである事に変わりはなかった。そうしてついに、追い出される日が来たのだ。  ルカーシュはそっと、瞼を伏せた。  明日、明日になったら、笑おう。そして、礼と別れを言うのだ。  だから、今だけは、泣いてもいいかな。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

【完結】塩対応の同室騎士は言葉が足らない

ゆうきぼし/優輝星
BL
騎士団養成の寄宿学校に通うアルベルトは幼いころのトラウマで閉所恐怖症の発作を抱えていた。やっと広い二人部屋に移動になるが同室のサミュエルは塩対応だった。実はサミュエルは継承争いで義母から命を狙われていたのだ。サミュエルは無口で無表情だがアルベルトの優しさにふれ少しづつ二人に変化が訪れる。 元のあらすじは塩彼氏アンソロ(2022年8月)寄稿作品です。公開終了後、大幅改稿+書き下ろし。 無口俺様攻め×美形世話好き *マークがついた回には性的描写が含まれます。表紙はpome村さま 他サイトも転載してます。

吸血鬼公爵の籠の鳥

江多之折(エタノール)
BL
両親を早くに失い、身内に食い潰されるように支配され続けた半生。何度も死にかけ、何度も自尊心は踏みにじられた。こんな人生なら、もういらない。そう思って最後に「悪い子」になってみようと母に何度も言い聞かされた「夜に外を出歩いてはいけない」約束を破ってみることにしたレナードは、吸血鬼と遭遇する。 血を吸い殺されるところだったが、レナードには特殊な事情があり殺されることはなく…気が付けば熱心に看病され、囲われていた。 吸血鬼公爵×薄幸侯爵の溺愛もの。小説家になろうから改行を増やしまくって掲載し直したもの。

亡国の王弟は女好きの騎士に溺愛される

コムギ
BL
アラバンド国の王弟ルカーシュは、騎士のシモンによって地下牢から救い出された。 その時、肌に触れたシモンに、やけどのような怪我を負わせてしまう。 ルカーシュは北の魔女の末裔であり、魔力を持っていた。 魔力を持たない者に触れると、怪我をさせてしまうという。 騎士団長からの命令で、シモンはルカーシュの護衛につくことになった。 ※他サイトにも掲載しています。

祖国に棄てられた少年は賢者に愛される

結衣可
BL
 祖国に棄てられた少年――ユリアン。  彼は王家の反逆を疑われ、追放された身だと信じていた。  その真実は、前王の庶子。王位継承権を持ち、権力争いの渦中で邪魔者として葬られようとしていたのだった。  絶望の中、彼を救ったのは、森に隠棲する冷徹な賢者ヴァルター。  誰も寄せつけない彼が、なぜかユリアンを庇護し、結界に守られた森の家で共に過ごすことになるが、王都の陰謀は止まらず、幾度も追っ手が迫る。   棄てられた少年と、孤独な賢者。  陰謀に覆われた王国の中で二人が選ぶ道は――。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

処理中です...