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五章 一幕:お伽噺と魔王の正体
五章 一幕 6話-6 ※※
しおりを挟む「大丈夫?」
レオンハルトの声を辿るように視線を上げると、彼は身を起こし、唇の端に付いたルヴィウスの体液を親指で拭ったところだった。
その何気ない仕草に、酔うほどの色香が漂っている。この表情を知っているのは、世界でたった一人、自分だけ。その優越感がルヴィウスの欲を満たすものの、満ちた傍から乾き、より大きく深い愛を欲し始める。
「へ、ぃき……、だから……」
―――だから、早く僕の中にきて。
言葉にならず、潤んだ瞳で訴えた。
レオンハルトは際限のない愛を求められていることへの悦びを感じ、口の端を上げる。
こんなにも己の欲求を満たす存在が他にあるだろうか。レオンハルトにとってルヴィウスは、あらゆる面で唯一無二なのだ。
クッションを手に取ったレオンハルトは、それをルヴィウスの腰の下に入れ込んだ。
体液と、紋が溢れさせる蜜で濡れそぼった後口に、レオンハルトの熱杭があたる。期待で体を震わせたルヴィウスに、レオンハルトは口づけた。
「ルゥ、挿れるよ?」
その宣言に、ルヴィウスは二度、頷いた。そして無意識に七色のヴェールを掴み、握りしめる。
「ふっ、ぁっ、ん…っ、んん―――ァアっ!」
ゆっくりと、レオンハルトの熱がルヴィウスの体をこじ開けていく。
レオンハルトはルヴィウスの膝裏に手を置き、足を開かせた。
クッションの分だけ腰の位置が上がったことで、熱杭は奥へ、奥へと入っていく。これまでより深い部分へと向かっていく感触に、ルヴィウスは少し慌てた。
「れっ、れおっ、それ以上は……―――ひっ、あっ、アァッ!」
ゴツっ、と硬くて大きな熱がルヴィウスの最奥を突く。一瞬、息が止まった。
かひゅっ、と乾いた音を立てた喉。目の前が霞み、腰が痙攣する。
「ルゥ、分かる?」
レオンハルトが熱っぽく囁く。そして彼の右手が、ルヴィウスの下腹部を押し付けるように撫でた。
「ゃっ、だめ……―――んぅっ」
腹を押されたことで、胎の中にあるレオンハルトの形が嫌というほどよくわかる。そのうえ、内壁が圧迫され、少し律動されるだけで痺れるような快楽が体を突き抜けてゆく。
「こうすると、俺の形がよくわかるでしょ?」
レオンハルトは熱に浮かされた目で、ルヴィウスを見下ろしながら腰を揺らした。
節のしっかりした指を持つレオンハルトの右手は、ルヴィウスの下腹部を抑えたままだ。
「れぉっ、れ、ぉ……っ、そ、れ……、だっ、め……っ」
いやいや、と首を横に振るルヴィウスに、レオンハルトは腰の動きを速めていく。
「だめじゃないよね、ルゥ」
「や…っ、だめっ、だめっ」
「嘘つき。気持ちいよね?」
「きっ、もち……ぃっ、アァッ」
「うん、もっと気持ちよくしてあげるよ」
「んっ、アァッ……っ、ゃっ、それっ、やぁっ、……ァんっ!」
いつもと違う。ルヴィウスは初めて感じる強すぎる快楽に、無意識に腰を引こうとした。が、腰の下のクッションと、下腹部にレオンハルトの手があることで逃げようにも逃げられない。
今まで、数えきれないくらい抱き合ってきた。快楽の波に飲まれて意識が飛んだことも一度や二度ではない。
だが、今回は今までのどの感覚とも違う。
喘ぐ声が止められない。せり上がって来る衝動に抗えない。胎の中がぎゅうぎゅうと収縮している。再び立ち上がった熱の先端からは白濁が溢れている。
それを塗り込めるように、レオンハルトがルヴィウスの屹立の先端に、ぐりっ、と手のひらを強く擦り付けた。
「やっ! それ……っ、ゃっ、ぃやっ、ぁン…っ!」
二度目の絶頂の予感がする。だが、いつもと違う。これはむしろ……。
「いいよ、ルゥ。我慢しないで」
背中がぞくぞくするほど、雄を感じさせるぎらついた視線で笑うレオンハルトに見下ろされ、ルヴィウスは眦から涙を零した。
これは、わざとだ。この快楽の果てがどうなるか、知っていてやっている。
ルヴィウスは、いやいや、と頭を振った。
「やっ、ぁあ! ァんっ、ゃっ、だっ! だ、め……っ、れぉっ、ゃだっ! これ……っ、ァア……ッ、やっ、ァッ」
「イけ、ルゥ」
ひと際、深く、強く、奥へと熱をぶつけられ、屹立の先端を、ぐりっ、と回し撫でられた。
瞬間、ルヴィウスの視界が明滅し、硬く膨れた先端からは透明な体液が、ぷしゅっ、と噴き出し、体が硬直する。
「んっ、ルゥ……っ、はっ、ぁっ」
ほぼ同時に、胎の中が強く収縮し、レオンハルトの熱杭を強く締め付けた。
小さく息を飲んだレオンハルトは、眉根を寄せ、ぶるり、と腰を震わす。そして、ルヴィウスの胎の中で熱が弾けた。
最後の一滴まで搾り取るように収縮するルヴィウスの胎と、奥へ奥へと種付けするように腰を、ぐっ、ぐっ、と押し付けるレオンハルトの動きは、同じ高みへと一緒に昇りつめた証だ。
レオンハルトは荒く息を上げ、覆いかぶさるようにしてルヴィウスを抱きしめた。耳元に、そして汗ばんだ首筋に口づける。胸が重なり合って、互いの脈打つ鼓動が体に響く。
しばらく息を整えることに時間を使ったレオンハルトは、少し体を起こし、ルヴィウスの頬にキスをした。
そして額に張り付いていた髪を除け、唇を寄せる。そのあと目尻にキスをして、鼻先に触れ、最後に唇を重ねた。
そうしながら、器用に―――いや、呼吸をするのと同じくらい造作もなく、魔法で体を清め、ルヴィウスの中に吐き出した自分の体液を処理する。
いつもなら余韻に浸るところだが、ルヴィウスに何かあってはいけない。今回ばかりは、雰囲気がどうとか言っている場合ではない。
「平気? なんともない?」
そう聞きながら、レオンハルトは指先を、ぱちん、と鳴らし、この別邸の寝室にあるブランケットを呼び寄せた。
自分が起き上がるついでにルヴィウスも抱き起こし、膝の上に向かい合わせに座らせる。そして呼び寄せたブランケットを広げ、ルヴィウスの肩に掛けた。
微かにルヴィウスの肩が震えている。胎の中に精を吐き出してしまった影響で、どこかに異変が出たのだろうか。そう思い、回復魔法を掛けた。
「ルゥ、体に異変は―――」
「レオのばかぁっ」
ぽこぽこぽこ、とルヴィウスがレオンハルトの肩を叩いてくる。どうやら魔力の影響は受けていないようだ。
レオンハルトは、ほっと胸を撫で下ろした。が、ルヴィウスにしてみれば、それどころではない。
「あっ、あんな……っ、あんなことするなんてっ! いくらレオしか見ないからって、人前でっ、も……っ、粗相させるなんてっ!」
「あぁ」レオンハルトはルヴィウスの反応に合点がいった。「初めてなのに上手く出来たな」
「なにがっ?」
聞き捨てならない! とでも言いたげに、ルヴィウスが涙目で睨んでくる。
「潮吹くくらい気持ちよくしてやれたんだなって、嬉しくて」
悪戯っぽく笑いかけてやると、ルヴィウスの表情から色が抜け落ちる。しばらくすると、すぐに真っ赤になって怒りだした。
「そんなの知らないっ! レオのばかっ! 癖になったらどうするんだよっ」
「でも気持ちよかっただろう? 癖になるかもしれないくらい」
「ぐ……っ、そ、れは……」恐ろしいほど気持ちよかったが………、しかし。「変なこと覚えさせないでっ」
「ルゥの体は優等生だからな。すぐ気持ちいいことを覚えてくれて俺は嬉しい」
「ばかばかばかぁっ、レオの―――んぁっ」
文句を言うルヴィウスの口の中に、レオンハルトの親指が入り込む。
その指はルヴィウスの上あごを、ざらり、と撫でた。たったそれだけで、ルヴィウスの背中を快楽の波が駆け上がっていく。
「ここが気持ちいいってこと、すぐに覚えたルゥのこと、今でも思い出すと可愛くてたまらないよ」
「ん、ぅ……」
あれは婚約して間もない頃のことだ。魔力交換のために口づけたレオンハルトがやや暴走し、精通もきていないルヴィウスを達かせてしまったことがある。レオンハルトにとってはいい思い出だ。
「ルゥはいつも可愛いな」
ルヴィウスの口から指を離したレオンハルトは、唾液に塗れたその親指を、見せつけるかのように、べろり、と舐めた。
ルヴィウスは「もぉ~っ」と言って、レオンハルトの肩を叩く。大胆に誘うくせに、レオンハルトがこうして余裕を見せると、急に恥ずかしがる。そんなところが可愛くてたまらない。
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