悪逆皇帝は来世で幸せになります!

CazuSa

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第4章

132.久しぶりの祖父母

「久しぶりだねエスティ。元気にしていたかい?」

「はいおじい様。お会いできて光栄です」

大広間に祖父母と向かい合うように私とお兄様は座った。
最後に会ったのは確か私が7歳ぐらいだっただろうか。
昔あったときより、だいぶ歳を取ったようではあるけれどまだまだ二人は元気なように見えた。

しかしさすがは美しい母の両親であり、容姿は2人とも一級品だ。
とても大きな孫がいるとは思えないような若さだった。

その反面、話し方はすでに老人のそれなので、違和感がものすごくある。
だけど優しげな眼差しは昔と全く変わっていないようで安心した。

「ふふ、それにしてもエスティったら。本当にきれいになりましたねぇ」

私を見てしみじみ言うおばあ様は嬉しそうに微笑んだ。
おじい様もつられて笑顔になる。

なんとも穏やかで優し気な空間がそこに広がっていて、とても心地が良かった。

それからしばらく、会えなかった時を埋めるようにたくさんの話をした。
主に私とおばあ様が会話をして、おじい様とお兄様はただ黙って聞いているだけだった。

「ねぇお兄様。お兄様も何かお話したら?」

合間にそう問いかけたがお兄様はクビを振って拒んだ。

「おじい様もおばあ様も、お前の話を聞きたいんだよ。だから今回は目一杯、2人にお前の話を聞かせてくれたらいい」

お兄様は穏やかな顔でそう言って、また黙り込んでしたまった。
当のおじい様もおばあ様もその言葉に賛成したように、ゆっくりと頷くだけだった。

なんだか3人の反応に違和感を覚えながらも、促されるまま私は話を続けた。
友人の事、勉強の事、家族の事。
たくさんの話をしたが、得に2人が興味を示したのは、なんといってもヴァリタスの話だった。

第2王子とは言え、一国の王子様の事に興味がないわけがない。
特に年配の人たちはその傾向が強いのだ。

大して話すことも無かったのだが、2人の興味津々な瞳を見ているとどんな話でもしてあげたくて、どうにか記憶を絞りだして話し続けた。

そんなことをしていると、いつの間にか当たりは橙色に染まっていた。
一体どれほど話続けていたのだろうか。

「いけない、もうこんな時間になってしまいましたね。ごめんなさいエスティ。ずっと話続けさせてしまって」

「そんなことないわ。私もおばあ様と話しができて嬉しかったんですから」

「まぁ嬉しい」

おばあ様が笑った時、ふと昔の記憶が蘇った。
それはおばあ様ではなく、私にまだ興味があった頃のお母さまの笑顔に似ていたから。

急になつかしさがこみ上げ、目じりが熱くなる。
いけない、こんな事で泣いてしまいそうになるなんて。
必死に涙を引っ込め平静を保った。
こんなことで泣いてしまっては、おじい様やおばあ様に泣き虫だって思われてしまう。

そんなの恥ずかしいし、この2人に心配なんて掛けたくなかった。


それから、おばあ様が飽きるまで2人で会話を続けていたけれど、それも2日目になるとどうしても話題というのは尽きるもので。
それならば外へ出てピクニックでもしようとおばあ様が提案してくれた。

「ピクニック! 私ほとんどしたことがないのです。すごく楽しみですわ」

「とてもきれいなお花畑があるんですよ。今日はそこへ行きましょう」

近くだと言っていたから油断していたが、目的地へ辿りつくにはゆうに1時間は掛かった。
しかも緩いとはいえ、上り坂が続いているものだから途中で休憩に入らなければならないほどきつい道のりだった。

前世ほど体が弱くないとはいえ、ほとんど屋敷に籠り切りの私にはきついものだった。

そんな私とは裏腹に、おばあ様は息も上げずに上っていくものだから、少し恐ろしくなった。
それでもなんとか歩き続け、辿りついた先の光景は思わず疲れが吹っ飛ぶほどの代物だった。

「うわぁ、すごい! 一面お花畑!!」

黄色やピンク、白色の色とりどりの花が地面一杯に広がっている。
1つ1つが小さな花なのに、それが一面中広がっているのは壮観である。

思わず感動の声が出て、辺りを見渡す私をおばあ様は嬉しそうに見つめていた。

「ここで風呂敷を敷いてお茶でもしましょうか」

「はい!」

持ってきた大きな風呂敷を一緒に広げ、そこに2人で座る。
バスケットに入れてきた軽食と、大きな筒をおばあ様は手に取った。

その見かけない筒が気になっておばあ様に問いかける。

「? おばあ様、それなぁに?」

「ああ、これはね、どこでも熱いお茶が飲める魔法の筒なの」

「ええ⁈ 本当ですか?」

どこか面白そうに私を見やりながら、筒の上にしてあった蓋を取ると一緒に持ってきていたカップに中身を注いだ。
中から出てきた紅茶は、ポットから出てくる紅茶と同じく、小さな湯気を上げていた。

「ほ、本当に、本当に熱いお茶が出てきましたよ、おばあ様! すごい。一体どうやって?」

「ふふ、言ったでしょう。魔法だって」

魔法にはこんなこともできるのか。
すごい、の言葉しか出てこない。

そういえば、市井見学会の時、魔法道具店なるものに入ったっけ。
私の求めるものがなかったからそうそうに出てきてしまったけれど、こんな優れものがあるのならもっとじっくり見ておけばよかった。
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