帝国の第一皇女に転生しましたが3日で誘拐されました

山田うちう

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第11話 私だけの魔法属性

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剣の修練は続いた。
けれど、剣術自体の成長はあまり感じられないw(トホホ)
残念だけど、もしかしたら、あまり剣術には才能が無いのかもしれない。
だったら、なおさら考えたいのは、私が伸ばすべき魔法の属性。
私も、側近3人のように突出した属性で魔法を伸ばしたい。
けれど、全属性平均的って言われると選びづらいし、属性も少なすぎる。
選択の余地もない種類じゃない?


それに、ある時、食事の席で父上に魔法適正が全属性だと伝えると、やはり少し顔をしかめた。そして、
「ルセル、全属性に適正があり、どれもこれも平均的というのであれば、一番好きな属性を伸ばしなさい。何度も言うが、すべてに平均的であるよりも、何かに突出して優秀である方がいい」
と言われた。予想通りだ。


私も、器用貧乏になるよりは、特定の属性を決めた方がいい気がする!
父上の言う通り、平均的に力を注いでも凡人レベルしか期待できないと思うし、属性を絞って突出させた方がいい。けれど、本当は、私だけの特性を生かした属性を伸ばしたいところなのだ。
火、水、風、雷、聖、闇、どれもしっくりくる訳でもないし、土魔法は剣技に絡められない。
他に無いのかしら?
剣技と合わせて考えるからいけないのかな?
剣技のことを考えなくて良いのなら、極力、他の人と被らない属性で私に合うものを選択したい。
火、水、風、雷、聖、闇以外の属性がないかどうか探してみても良いかもしれない。
そうだ、父上の書庫に行って何か参考になる本を探してみよう。




*************************************
父上の書庫は、私たちの勉強部屋の隣にある。
私たちの勉強がよく進むようにと、図書室として開放してくれたのだ。
出入りも24時間自由。


私は、図書室に入り、奥のテーブルに着く。
そして、テーブルの左手に設置してあるスクリーンに向かって、
「私、ルセル・バーティに必要な本」
と唱える。
すると、図書室のいくつかの本が光り出だしたので、私は立ち上がって、光っている本の背表紙を一つ一つ読んでいく。
「頼れる部下の育て方」
「1分でわかる領主の仕事」
「最上級のテーブルマナーが身につくたった1つの方法」
「初めての戦争 服装から武器まで」
「貴族と平民 その違いと役割」
「税金を集めよう 最初に取り組む領主の仕事」
「そうだ!戦争を始めよう」


確かに学ぶべき課題だとは思うけれど、今は魔法属性を知りたいのだ。
検索ワードを変えてみよう。
再びテーブルに戻り、スクリーンに向かって言う。
「ルセル・バーティ、最適、最強、属性、魔法」
今度は、図書室の本が一つも光らない。これはどうも、検索ワードが多すぎたようだ。


なら、
「ルセル・バーティ、属性、魔法」
すると、3冊の本が光った。
私は、その本がある本棚に駆け寄り、3冊の本をすべてテーブルの上に並べた。
「学校では教えてくれない無属性魔法 精神を操る」
「影響力の魔法 基礎と応用」
「簡単!サルでもできる洗脳魔法 個人から群衆まで」

すべて精神系魔法の本のようだ。
うん、方向性も大体一致している感じだし、この3冊を学ぼう。
「BOOKオープン」
本をあけると、各本の中から、本の管理者が出てきた。
本の管理者とは、彼らが住まう本の内容を熟知したガイドの事だ。私たちは、彼らから本の内容をレクチャーしてもらう。管理者は、どの本でも大体身長5センチ程度の小人型で、右手に教鞭を持って出でくる。


「我が本にようこそ、ルセル・バーティ。私はこの本「学校では教えてくれない無属性魔法 精神を操る」の案内人。名前はX。この本をルセルが身につけるには80時間のセッションが必要だ。途中で一時休憩することはできるが、一度スタートしたら、最後までセッションを受けなくてはならない。もし、途中でやめてしまったまま1ヶ月以上経過すると、この本は2度と開くことが出来ない。また、一つの本を習得すると、さらに上のレベルの本が紹介される場合がある。だから、1つの本を習得する度に同じワードで本を探すようにすることが知識を深めるコツだ。注意事項は以上だが理解したか?ルセル・バーティ。そして、この本をスタートするか?」


もちろん、私はイエスと答える。
2冊目の「影響力の魔法 基礎と応用」の管理者だと名乗ったYにも、3冊目の「簡単!サルでもできる洗脳魔法 個人から群衆まで」の管理者だと名乗ったZにも。


こうしていっぺんに複数冊の本の管理者から学ぶことにはメリットがある。
それは、各本で重複している箇所を重ねて学ばなくていいという事だ。よく似たような題材の本を読むと、同じことを説明している個所があったりするけれど、そういう時、管理者たちは、誰か1名に代表させてその箇所を説明してくれるので、効率良く本を学ぶことができる。


Xが続ける。
「ルセル・バーティ、この魔法は、自分の発する言葉に魔法を展開して言霊化させることが基礎となる。肝心なのは、身体に魔力を流して喉で展開させるルート作りだ。剣の修練をしていれば知っていることだが、剣士の場合は、心臓から利き腕に魔力を流し、最後に剣にまとわせる。それと同じように、この魔法の場合は、心臓から喉に魔力の流れをつくる」


今度は、私が質問する。
「心臓から喉ならルートが短くて済むから簡単なんじゃないかしら?」


すると、今度はYが説明してくれる。
「ルセル・バーティ、心臓から喉に直接魔力のルートを作ってはよくない。魔力は、全身に流し最後に喉に持ってくるんだ。その全身に流した魔力がノンバーバルの魔法を展開する。ノンバーバルというのは、非言語のコトだ。つまり、ルセル・バーティの目線やしぐさ、態度にも魔法が展開される。これは広義の意味ではその人が持つ雰囲気のようなもので、狭義の意味では、その人の眼力だったり、威厳とか威圧とかのことだ。わかるか?」


「じゃ、心臓から左周りに左肩、左腕、腹、腰、左足、右足、腰、腹、右腕、右肩、頭、喉という順番で魔力を流せるようになればいいかしら?ノンバーバルの魔法は、魔力を身体全体に流すことによって自然と展開するの?」
私がYにそう言うと、今度はZが話始める。


「そうだ、ルセル・バーティ。魔力の流し方はそれで良い。そして、ノンバーバルの魔法は、魔力を身体に流すことで自然と展開する。全身から魔力が滲み出すイメージだ」
とZ。
するとXとYが、
「実践してみろ」
という。


Zが説明を続ける。
「ルセル・バーティ、われら3冊の基礎は一緒だ。だから、言われた通り実践してみろ。まず椅子に深く座わりなおせ。そしたら、静かに呼吸をして魔力を感じろ。魔力が感じられたら、さっきの順番で魔力を身体に流せ。そして、最後に喉で魔力を放出してみろ」
するとXとYも
「してみろ」
という。

私は、言われた通り、椅子に深く座って、静かに呼吸した。
意識を集中して、身体の中の魔力を探るとちょうど胸の真ん中辺りで魔力が渦巻いている感覚が掴めた。そして、その魔力を左回りに流す。
最初の1周目は慣れないせいでずいぶん時間が掛かった。
次の1周は少し流れが良くなった。
続けて20周も流した時には、大体、身体に魔力を流すコツがつかめた。


「ルセル・バーティ、最初にしては良い出来だ。」とX
「ルセル・バーティ、毎日、魔力を流せ」とY
「ルセル・バーティ、毎日、本を開け」とZ


「わかったわ。じゃ、また明日」
気づくと3時間以上も経っていた。
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