帝国の第一皇女に転生しましたが3日で誘拐されました

山田うちう

文字の大きさ
12 / 16

第12話 王宮のお茶会

しおりを挟む

今日は侍女や執事を中心に朝から家中がバタバタしている。
私の部屋でも、母上と数人の侍女が揃って私をせっつく。
「今日のドレスはこのブルーにしましょう。ネックレスは、ブルートパーズを」
母上が私の服装を決め侍女に指示を出す。
ブルートパーズのネックレスは私のお気に入りだ。
普段なら、母上が私の服装まで決めることはない。私と侍女に任せてくれる。
けれど、今日は気合が入っているのだろう。
何せ、王宮に行く日だから。


そう、婚約者候補として、とうとう第一皇子と顔合わせだ。
第一皇子より年下で真名を授かった令嬢は、私を入れて2人しかいないそうだ。
今日は、その令嬢も来る。
聞くところによると公爵家の子らしい。
まあ、上手いことその子が婚約者に選ばれてくれれば、当家としては万々歳だ。
それは、父上も母上も、私も同じ考え。


けれど、また別の話もある。
母上としては、娘が第一皇子の婚約者に選ばれて欲しくない。けれど、他家の令嬢と比べられる前提の顔合わせの席で、服装やアクセサリーで公爵家の子に引けを取って欲しくもないのだ。
普通に考えたら、伯爵家である当家よりも公爵家の方が、爵位が高い。
公爵家の家柄を見せつけるように娘を着飾らせるだろう。
貴族間の挨拶なんて、要はマウント合戦。
お互いの格付けの為のものなのだから。


ブルートパーズのネックレスに、同じブルートパーズの髪飾りをつけて、
私は母の決めたブルーのグラデーションが美しいドレスを着た。
あとは馬車で乗り付けるだけ。
さてさて、第一皇子とやらは、どんな方だろうか。

*************************************
父上と母上と共に王宮につくと、直ぐに広間へと案内された。
広間は、大理石で造られ、金銀で飾られていた。
そして、既に公爵家が王と皇后にあいさつを済ませていた。


当家も、広間をまっすぐに進み、玉座に座るプイッサ陛下とパイス皇后にご挨拶する。
「陛下、本日はお招きいただきありがとうございます。ルボン・バーティでございます」
「陛下、ご無沙汰しており申し訳ありません。ケインリーが両陛下にご挨拶申し上げます」
「うむ。伯爵、よく来た。ケインリーも久しいな」
「ありがとうございます、陛下。さっそくですが、娘を紹介させて頂きます。私の隣におりますのが、ひとり娘のルセル・バーティでございます。さ、ルセル、陛下にご挨拶を」
父上に促され、私も陛下にあいさつする。
「陛下、本日はお招きありがとうございます。ルセル・バーティでございます」
「ルセルか。生まれた時に伯爵が王宮に連れてきた以来だが、賢そうな子だ。私もさっそく第一皇子のアポートルを紹介しよう」
陛下が私に声をかけ、第一皇子を私たちの前に立たせた。


「殿下、本日はお招きありがとうございます。ルセル・バーティでございます」
「ルセル嬢、第一皇子のアポートルです。今日はゆっくりしていってください。いま、別室にお茶の用意をさせていますから」
第一皇子がにこやかに案内をしてくれる。
黒髪の美男子だ。


お茶は殿下の書斎に準備され、ここからは大人とは別行動になった。
公爵家の令嬢、私、殿下の3名でテーブルを囲む。
公爵家の令嬢は、名前をベティ・グラフトンと名乗った。金髪がきれいな令嬢だ。
私は赤髪なので、内心、金髪がうらやましい。
ベティは、私のブルーのドレスとは対照的にピンクのドレスを着ている。


「ベティ嬢はどんな真名をもらったの?」
お茶の席、殿下が質問する
「私の真名はフローです。花という意味があります」
「花か、いいですね。かわいらしい。ルセル嬢は?」
と殿下。
「シュチピュリです。意味はないようです」
「え?真名ってすべて意味があるのでしょう?僕はそう聞いているけど」
「私の真名が、意味のないという意味なんです」
「か、変わっていますね」
殿下が困惑気味だw


「そうそう、話は変わりますが、来月、僕の誕生日なので、王宮で祝賀会があります。お2人を招待しますから、いらしてくださいね」
殿下が話題を変えた。
8才とはいえ、さすが皇子。場の空気をバッチリ読めるようだ。
殿下もベティの口元に現れた一瞬の笑みが見えたのかな?
あの子、私の真名を笑ったよね?


静かに、ふつふつと怒りがこみ上げた。
ベティ。
ピンクのドレスもあざとく見えてくる。
友達になれるとかポジティブな期待はしてはいなかったけど、人の真名を笑う子とはね。意地が悪いのか、高飛車な性格なのか、または婚約者候補として敵認定されているのか?まあ、帝国貴族の序列は公爵家が第1位だから、爵位から言えば私の方が格下ではあるけど、私も馬鹿にされたまま黙ってる性格はしていない。まあ、今直ぐどうこうするわけじゃないけど。


「じゃ、殿下に次にお会いするのは来月ですか?」
「いいえ、もっと会いますよ、ベティ嬢」
「いつも3人で会うんですか?」
「いいえ、違いますよ、ベティ嬢。次からはそれぞれ別に会います」
ベティは積極的だ。
私はもう家に帰りたくなっているというのに、ベティは殿下に質問を続ける。
はー、帰りたい。帰って図書室に行くか、剣術の修練をするかしたい。
けれど、話は続く。
「ルセル嬢、君は普段家では何をして遊んでるの?」
「殿下は何をして遊んでいるのですか?」
質問には質問で返す。
「僕は弟と遊んでいます。ルセル嬢は、もうリビとも会いましたか?」
「いえ、リビ殿下とはお会いしていません」
「まだでしたか。では次はリビも一緒にお茶を飲みましょう」




*************************************
お腹がタポタポになって家に帰った。
私は、家に戻ると直ぐさま図書室に入った。
今日のお茶会で、ぜひとも調べたい魔法が出来たからだ。
私は、テーブルに座って検索ワードを言う
「ガイドの魔法、諜報の魔法」
すると、それぞれ1冊本が光った。
「あなたを導くガイドを生む魔法の書」
「秘密の諜報魔法」


それに、今日のお茶の席で、殿下と話してわかったこと。
殿下の性格は、礼儀正しく温厚。
外見は、黒髪の美男子。
私たちは、殿下の誕生日までの間、週に1、2回会うらしい。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

底無しポーターは端倪すべからざる

さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。 ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。 攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。 そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。 ※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。 ※ごくまれに残酷描写を含みます。 ※【小説家になろう】様にも掲載しています。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

処理中です...