帝国の第一皇女に転生しましたが3日で誘拐されました

山田うちう

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第14話 デート!

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こんなことしていたくないのに!
私は、父上の準備してくれた馬車に乗り、王宮に出向いていた。
お約束のデートの日である。
父上を介して、やんわりと「デートは不要です。公爵令嬢の方を大事にされてください」と伝えて頂いたのに、結果は全く効果なし。
で、私は馬車に揺られて王宮を往復する羽目に。


大体、8才かそこらの男子とお茶を飲んで何が楽しいのか?
前世の記憶から言えば、8才なら小学校2年生。
そのころの男子と言えば、虫の死骸を宝物にするヤツ、学校の教室で机に乗っかり裸踊りするヤツ、授業中にトイレと言い出せず○○コ漏らすヤツ。
そんなことしか記憶に浮かんでこない年齢なのだ。
そんな年齢の男子とお茶って・・・・。

はー。
「どうかしましたか?ルセル嬢?」
おっと、無意識にため息が出ていたのね。

「いえ、殿下、なんでもありません」
そう言うと、殿下は少し笑って、
「退屈なのでしょう?」
と首をかしげて私を見た。
わかっているんでしょ!殿下(怒)と思いつつ、顔に出せない貴族社会。
「いえ、殿下、そんなことはありません」
「ふふふっ、わかっているんですよ、ルセル嬢。あなた、王宮にくるのも乗り気じゃ無いですよね?」
「え?」
ドキっとした。
そんなに態度に出ていたかしら?
「いえ、殿下。この広いお庭が立派で眼を奪われていただけですわ」
「ほう。ルセル嬢は庭に興味があるのですね?」
「うっ」
しまった。まったく興味がない。
「いえ、この庭くらい広い部屋が欲しいなと考えただけです(嘘です)特に庭に興味がある訳じゃなくて」
「ハハハ。ルセル嬢は嘘が下手だな」
(いや、8才男子でこんなに落ち着いているあなたの方が変なんですよ、殿下)


「ルセル嬢、やりたいことがあったら言ってください。僕たち、もしかしたら一生を共にする間柄になるかもしれませんから」
「ご冗談を、殿下。伯爵家と公爵家では、もちろん公爵家の方が殿下のお相手としてはよりふさわしい地位でいらっしゃいますから。私になど気を遣われず、どうぞ殿下のお気持ちのままに侯爵家のご令嬢を・・・」
王宮の中庭でとりどりに咲く花を見るでもなく、8才の子供とこんな心理戦を展開しているなんて。
「私は家に帰って、秘密の領地作戦を練りたいのよー」と本心を言えたらどんなに良いか。


「ルセル嬢、僕、実は天邪鬼なんですよ。フフフ」
殿下が、眼を細めた。
え?急に何?怖いじゃない。
「もちろん公爵家の方が僕の相手としてはより良い地位でしょう。けれど、伯爵令嬢であるルセル嬢を婚約者として指名することも僕にはメリットがありますよ?わかっているでしょう?」


確かに。
真名の継承者が少ないとは言え、今までの前例でみれば、現王家は真名を与えられた公爵家か侯爵家の令嬢を王妃となる婚約者として選んできていると聞いた。しかし、今回、殿下が公爵家より地位の低い伯爵家の娘を婚約者に選んだ場合、伯爵家以下の貴族に対して「王族は公爵家、侯爵家以下の貴族も重要視している」という印象を与えることができるし、公爵家と侯爵家に対しても、その地位が王妃を選ぶ前提ではないという釘刺しにもなる。
単純に考えれば一石二鳥。
けれど、それは、そんな前例のないことを皇帝陛下がお認めになれば、の話。貴族社会は、前例が大事。例外を好まないって殿下もわかっているだろうに。


「あれ?ルセル嬢、もしかして前例がないのに何を言ってるのって思ってます?ハハハ。陛下の治世のすばらしさはルセル嬢も知るところだと思いますが、子供の教育に関しても、陛下は、“僕の代の帝国は僕のモノ”という信念を持っていらっしゃる珍しい方なんですよ。だから、今回は、あ・り・え・ま・す・よ!」
「な、なにがありえるのですか?」
焦って、馬鹿な質問をした。
「いや、あなたと私が生涯を共にするってことですよ」
「・・・・・」
「だから、やりたいこと、言いたいことは最初から言っておかないと。後からは言い出せなくなりますよ」


(この人・・・脅しだけだろうか?それとも・・・)


【ルセル、別にまだ子供なんだし、領地の中でも1つの村の計画だから、本当にやりたいこと話しちゃえば?そしてら、こんなお茶会やめられるかもよ】


急にアルファが意識を繋げてきた。
私とアルファは魔力を流し合っているから、いつでも意識を繋げることが出来る。最初の日は気絶しちゃったけれど、今はもう慣れて普通に生活できるようになっていた。アルファ曰く、私の魔力量が急激に増えたんだって。
ま、気絶ばかりしていたら生命の危機だからね、身体が順応しようと頑張ったんだろうな。偉いな、私。


それに、実はアルファと一緒に我が伯爵家領地で計画していることがある。
その計画を練るのが楽しくて楽しくて、ここで無駄にお茶を飲んでいるのが悲しくなるほどなのだ。
もう、今直ぐでも家に帰ってアルファと計画を練りたいのに。


って、そんなことより、どうしよう・・・。
言うか、言わないか?
確かに、言わなければ、この退屈なお茶会がしばらく続く。
それにもし本当に婚約者に選ばれたら・・・。
よし。少し、泣き落とし系でやってみるか・・・。


「殿下、私はバーティ伯爵家の一人娘で唯一の跡取りです。父上と母上は、私が婚約者に選ばれるのは大変名誉だと考えていますが、本当は私が後継者になることを望んでいます。正直、父上と母上を泣かせたくないんです。だから、私は婚約者に選ばれるわけにはいきません。ですから、もし、殿下が私を婚約者として選ばないと誓ってくださるなら、私も私の本当の気持ちを伝えて過ごさせて頂きます」


午後になり、少し陰って寒くなった中庭で、私と殿下が見つめ合っていた。
「ルセル嬢、今はその約束は出来かねます。ですが、最大限考慮するとお約束します。ですから、それを私の誠意として受け取ってはくれませんか?」
「そうですよね。即答は出来ないですね」
少し落胆したが、仕方ないという気持ちが勝った。


「わかりました、殿下。私もやりたいことを言うようにします。とりあえず、もう寒くなってきましたから、今日はこの辺で」
「わかりました。ルセル嬢。でも気になるから、明日も王宮に来てもらえますか?」


(え、明日も?)
驚いて声がでるところだった。が、こらえきれた。
「かしこまりました、殿下。では、また明日」
「はい。ルセル嬢。明日は王宮の馬車を迎えにやりましょう。午前中には着くでしょうから仕度をお願いします」
殿下がエスコートしてくれ、私は帰宅の途についた。
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