15 / 16
第15話 デート!デート!
しおりを挟む翌日、殿下が差し向けてくださった迎えの馬車で王宮に向かった。
2日連続のデートって・・・。
公爵令嬢の順番はどうなっているのかしら?
それに、殿下だって他にも色々と勉強があったりするでしょうに。
王宮につくと、早速、殿下のお部屋に案内された。
殿下の自室に入るのは、これで2度目。相変わらず豪勢で広い部屋。
「ルセル嬢、申し訳ないね。もうすぐ勉強が終わるから、あと少しの時間ここでお茶でも飲んで待っていてくれ」
部屋に入ると殿下は、大きな机に座って、何やら書き物をしていた。
私は、殿下の部屋の本棚が気になって、大人しく座ることができず歩き回っていた。
「うん?ルセル嬢?」
殿下が、座らない私に声を掛けてきた。
「殿下、私、本が好きなんです。だから、ここの本棚を見て待っていても良いですか?こちらには私の家には無い本が沢山あるようです」
「もちろん構いませんよ、ルセル嬢。待たせてしまって申し訳ないですね」
(アルファ、ここの本はすごいね)
私は、アルファに話しかける。
会話は、声に出す必要がないから内緒話も場所を選ばずできる。
【うん。ルセル、ここの本棚にある本は、帝国のどの商人も持っていない貴重な蔵書ばかりだね】
(だよね~、さすが殿下の自室って感じ)
【でも、もうすでにここの本の管理人たちと繋がることができたから、ここの本の知識はすべてルセルのものになるよ。ルセルのことが一目で気に入ったみたいで、管理人達がよろこんで本の知識をくれるって言っている】
(ほんとに?あ~ん、だったら今日は王宮に来た甲斐があったね!)
本当にただの無駄足にならなくてよかった。
(アルファも更に賢くパワーアップだね)
「ルセル嬢、気になる本はなかったのかな?本棚を眺めるだけで、本を手に取ることが無いようだけど」
「あ、いえ、そんなことはないです。いま、その、本を選んでいて・・・」
本の知識はアルファを通して私に流れてくるので、本を手に取りパラパラ読んだりする真似をすることを忘れていた。いけない、いけない。
私はわざとらしく、何冊か本棚から引き出してパラパラと本をめくってみた。
すると、開いた本の間から、本の管理人がお辞儀してくれるので、私も微笑みで返す。
それにしても、殿下はまったく。
勉強中だって言っていた割に、私を盗み見ているという相変わらずの目ざとさだわ。
「よし、終わった。僕もお茶を頂こう」
しばらくして、殿下が言った。
「あ、お疲れ様です。殿下」
私も席に着く。
王宮の侍女が2人分の新しいお茶を出してくれた。
「うん。今日のお茶も美味しいね」
「はい、殿下。とても美味しいお茶ですね」
殿下が、お茶を飲みつつ、目線で合図のようなものを送ってくる。
昨日の話の続きを促しているんだろう。
なんとも、大人びたやり方だ。
「殿下、昨日はありがとうございました。いろいろとご配慮頂き、本当に感謝申し上げております」
「いやなに、当たり前の気遣いに対して、礼は必要ないですよ」
殿下がニコっと笑う。
礼は不要と言いつつも、嬉しがっている様だ。
「さて、では私のやりたいことをお教えいたしますが、ちょっと、長い話になるかもしれませんが、それでもよろしいですか?」
「もちろんです、ルセル嬢」
私は、一口お茶を飲んで、はーっと息を吐いた後話し始めた。
「私、領地運営がしたいんです。そのことを側近(アルファの事だけど側近でごまかしておこう)と計画していて、殿下とお会いしていても、そちらのことが気がかりで・・・すみません」
「領地運営?ルセル嬢が?」
「はい。次の誕生日がきたら、父上に領地内の村を1つ譲り受けたいとおねだりするつもりなんです。けれど、ただ欲しがったところで、父上は厳しい方ですから、領民の生活を子供のおもちゃにできないと突っぱねてくると思います。ですから、父上を納得させるだけの計画を立てなければダメだろうと思いまして」
殿下がびっくりした顔で、また同じことを聞いてきた。
「ルセル嬢が領地運営?君、まだ子供でしょ?」
「はい、でも、バーティ伯爵領は、ゆくゆく私が治めるべき領土です。ですから、領地の一部でもいいので、運営に着手するのは、早ければ早いほど良いと考えています」
殿下が腕組みをした。
私のコト「何を言ってるんだコイツ?」って思っているのかしら。
お互いに無言でお茶を一口。
「ルセル嬢、では、いまのところ計画はどこまで進んでいるのですか?」
「はい、まずは父上から譲り受ける村の場所を選定しています。そこがゆくゆくわが領地の首都となる可能性もありますので、慎重に選定しています」
「領地の首都?」
「はい。私が運営する限り、その土地を繁栄させたく考えておりますので」
「な、なるほど・・・」
眼をむく殿下。
「では、領地内の村の状況はもう調べられたのですか?」
「まだ父上の許可なく自由に外に出られないので、知識としては調べ終わっていますが、現地確認はこれからです」
「譲り受ける村の目星は?」
「もう、大体ついています」
「運営方法はどう考えて?」
「それも、検討の土台にのせる原案は出来ています」
また殿下が目をむく。そして考え込む。
「いや、確かに領地の運営方法や運営主体の選択などは、すべて領主に任されている権限になります。ですから、バーティ伯爵が認めさえすれば、その一部でも全部でもルセル嬢が運営することに何の支障もありません。が・・・」
(が・・・、なによ?)
「いや、すごいことを考えますね。ルセル嬢。年下の女の子とは思えませんよ」
「い、いえ、恐れ入ります。殿下」
再び、お茶を一口。
「ハハハハハハハハ、ハハハハハハハ」
突如、殿下が大声で笑い出した。
私は殿下の笑い声にびっくりして、頬が引きつった。
ひとしきり笑い続けた殿下が、私の眼を覗き込んできた。
まっすぐに私を見ている。
「ルセル嬢、良いですね、君はなんて楽しくて素敵な方なんだ。いや、本当に良いです。ハハハハ」
「はは、恐縮です。殿下」
殿下の大声とは裏腹に私の返事は消え入りそうなほど弱弱しくなる。
既に腰が浮き始めていた。家に帰りたい。
(アルファ、帰りたいわ。何か助けになってくれない?)
【ルセル、帰りたいなら立ち上がって帰るだけでいい。何も言わずに出てしまえばいいのさ】
ダメだ、アルファは役に立たない。
「いや、言わなくてもわかっていると思いますが、もちろん僕も参加しますよ、その計画。そうだな、表立って皇子の立場で何かする訳にはいきませんから、僕は裏で参加するとして、表立って動いてくれる僕の代理を立てましょうか?あ!そうだな、それなら大人に代理してもらった方が後々君の役にも立つでしょう?うーん、そうだ!ちょうど良いのが1人おりますよ。その者に頼むとしましょう。ハハハハハ。いやー、ワクワクしますね!ルセル嬢。僕もゆくゆくこの帝国を治める王となる身。村の1つぐらい繁栄させられなければ、僕の王としての資質が疑われるでしょう。いやー、任せてください、全力で協力しますよ。この際、君の子分第一号になっても良いくらいです!そりゃ、こんな計画があったら楽しくて呑気にお茶なんて飲んで時間を無駄にできないと思いますよ。そうか、そうか。うんうん、確かにわかります、ルセル嬢のお気持ちが。いや、本当に話してくれてよかった・・・。じゃ、明日から一緒に頑張りましょうね。明日も僕がお迎えの馬車を出しましょう。フフフ、出来れば午前中早い時間から来ていただきたいな。あ!それに荷物が多いと大変でしょうから、誰か下働きの者を同行させましょう。荷物があったら、その者に持たせればいい!うんうん。いやー、忙しくなりそうですね、ね?ルセル嬢!聞いていますか?ルセル嬢?ルセル嬢?」
殿下がどんどん喋る。
独り言炸裂。
前世の記憶にある、やばいハイテンションの人のよう。
そして、話す内容もどんどん危険になってゆく。
子分なんて言い出すのはやめてよ・・・。
それにまた明日って?
公爵令嬢はどうなってるのよ?
0
あなたにおすすめの小説
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
底無しポーターは端倪すべからざる
さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。
ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。
攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。
そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。
※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。
※ごくまれに残酷描写を含みます。
※【小説家になろう】様にも掲載しています。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる