勇者様とリトの赤魔法ー結ばれた契約ー

ユ性ペン

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リトの赤魔法

混ざり合う力

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 昨日少し早く寝てしまっていた二人は、翌日まだ日も昇らないうちに目が覚めた。フォトスで済ませたかった用事はあらかた済ませたので、今日からまた吸血鬼討伐に向けて旅を再開することにした。ミラがアレクからもらった地図を指し示しながら進路を共有する。

「吸血鬼が潜伏しているとされている場所は、ちょうど王都を挟んで向かい側の方角だ。王都周辺の町で狂暴化が起きていないか確認しながら目的地へ向かおう。」

先の予定について話しながら準備をしているうちに夜が明けた。準備を済ませた二人は、ミラの両親に出発の挨拶をするために母屋へ向かう。


「あら、ミラ。体調大丈夫?昨日は早く切り上げて一人で帰っちゃったから、心配してたのよ?」
「ごめん、急用を思い出してさ。体調は問題ないよ。」
「ならいいんだけど……」
「ミラ、もう行くのか。」
「ああ。実は、王族に依頼されている事案があって……」
「ほう。何しに行くんだ?」
「吸血鬼の討伐だよ。」
「吸血鬼? まだ生き残りが居たんだな……」
「吸血鬼の話、知ってるんだ?」
「ああ、まあ、話くらいはな。……必ず、生きて帰ってくるんだぞ。」

 二人は両親に礼を述べ、次の町へと旅路を再開した。目的の拠点までは二週間ほどで到着する予定だ。

「そういえば、ヴィタニアに泊まった日、ストーンが無いのに襲われた村があったよな?」
「あったね。あれ、多分吸血鬼が直接狂暴化を引き起こしてたんだろう」
「だとしたら、本当に吸血鬼直々に歩き回ってるってことだな」
「そうだな……僕たちがたどり着いたときに、ちゃんと居てくれればいいけど」

そうして始まった討伐の旅だが、図書館に到着するまでと打って変わって、結晶が複数配置されていた。幸いどの結晶も設置されてから日が浅いらしく、近隣の町に目立った被害は出ていないようだった。

「日が浅いってことは、近くに居そうだな……」
「拠点に帰りながら、結晶を置いているのか?」
「状況だけ見ればそう見えるな……、もしかして、僕たちが動いていることを知って力を蓄えているのかも……」
「どこからそんな情報を仕入れるんだよ?」
「盗み聞いたか、誰かが情報を流しているか……どちらにしろ、警戒した方がいいな。」

王都周辺の町は、町同士の距離がそこまで離れていないこともあり、人の行き来が盛んだ。小さな村に比べ、人の出入りに無頓着であった。そのため、いちいち勇者ご一行と騒がれずに過ごすことができていた。おそらくそれゆえに、吸血鬼自身も紛れ込みやすい懸念があったが、特に大きな問題も起こらず旅は続いた。



一週間ほど経った頃だろうか。いつものように結晶の破壊を終え宿で過ごしていると、風呂上がりのミラが髪を拭きながら話し始めた。

「そういえば最近、リトの魔法の威力が上がってるよね……?」

戦闘中の身体強化や就寝前の治癒で赤魔法の力を享受しているミラは、その効果が日に日に上がっていることを実感していたのだ。

「そうなのか?自分じゃ全然わからないんだが……」
「特に意識して強化しようとしているわけでもないんだよね?」

ベッドに腰かけてくつろいでいたリトは、実感がなさそうに答える。でも確かに言われてみれば、リト自身も敵を倒すのが早くなっているような気はしていた。

「特に何も……単純に俺の身体の調子が良いのだとばかり思ってた」
「あはは、それもあるかも」

真顔で答えるリトの無自覚にミラが笑って答える。しかしミラはどうやら別の理由があるのではないかと考えているようだ。

「でもさ、ここ一週間で毎日少しずつ増してる感じがするんだよ。波が無いんだ。それって、リトの調子がいいとかじゃ説明がつかないと思うんだよね」
「だから、俺の魔法の威力そのものが上がっている、と」
「うん。リト、赤魔法使いの力を強くする方法を覚えてる?」
「確か、『取り込んだ血の量が多くなると力が向上していく』んじゃなかったか?でも、あれから血を取り込んだりしてないぞ?」

不思議そうに考えるリトにミラが自身の考えを示す。

「向上させる方法、あそこに書かれているだけじゃないと思うんだよね。編纂者に言いにくいような、公にしにくい方法があったんじゃないかと思うんだよ。」
「なんだよ、それ」
「つまり、『血液』以外にも取り込む対象があって、しかもそれは『経口摂取』に限らないってこと。……リトが毎晩取り込んでるのがあるでしょ」
「…………っ!? 吸収してるのか、アレを……」

実は旅を再開したあの日から、二人は毎晩欠かさず肌を重ねていた。毎晩の営みの最後の瞬間を思い出し、リトが微かに頬を染める。

「てことで、僕たちがもっと強くなるために、重要な行為ってことになったね。」

髪を拭き終わったミラが、こちらに近づいてくる。いつもハーフアップにしている髪は結ばれておらず、まだ乾ききっていない質感がその色気を増幅させていた。

「ま、まだそうと決まったわけじゃないだろ?」

リトはこの行為にまだ気恥ずかしさを感じていたため、ミラに迫られるたびにそれとなく抵抗していた。身体の内側を暴かれ、これまで感じたことのない感覚を与えられ、普段の自分と違う淫らな面がとめどなく溢れてきてしまう。一方のミラは、色香は増すものの大きく乱れる様子は無いように見えた。それがより一層リトの淫らさを際立たせているような気がして、気乗りしないのだ。

「まあそうだけど……しないメリットないでしょ?……したら、お互い気持ちよくなれて、しかも強くなれるかもしれないんだ」

ミラはリトの耳元に口を寄せ、欲情を孕んだ甘く掠れた声で囁く。そうしながら、リトの脚をベッドの上に上げ、身体を横たえさせる。

「ん……っ、ちょ、早いって……」
「リトは、強くなりたくないの?」
「なりたい、けど……っ」
「じゃあ僕の、いっぱい吸収して?」

そういった瞬間にリトの口はミラにふさがれてしまう。甘い感触に舌も思考も絡めとられてしまい、恥ずかしさより快楽への期待が勝ってしまう。こうして今日も、ミラの思い通りになってしまうのだった。

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