3 / 34
松川紗希の興味
密かな目撃
しおりを挟む
どのくらい経っただろうか。見慣れないテーブルと床が視界に広がっていた。
そうだ。お隣さんのおうちにお邪魔していたのだ。
ぼんやりとした意識の中、目だけを動かして周囲を確認した。
テーブルの向こう側に、人が座っているのが見える。
(一人は見慣れたズボン。もう一人は、梨奈さん……?)
頭が次第に働き始め、初対面の人間同士とは思えない距離感に戸惑いを覚えた。
どうやら奥さんがうちの夫にもたれかかっているような体勢に見える。
その時点で身を起こし、不貞とも取られかねないその距離感に一喝してやればよかったのだが、
夫がほかの女にどんな風に接しているのか知りたいという好奇心が勝ってしまい、ばれないように寝息を演じながら聞き耳を立てた。
「奥さん、起きないですねえ」
「うちのは弱くって……俺も久しぶりに飲みました」
「あら、お酒、好きじゃないんですか?」
「いえ、好きな方なんですけど、一人で飲んでもしょうがないので……」
「えー? 合わせてあげるなんて、優しいんですね航さん」
さりげなく名前で呼ばれているのにドキッとした。
きっと私が寝ている間にもいろいろとやりとりがあったのだろう。
それにしてもどうしてこんな体勢になっているのか。
目の前では梨奈さんが夫の手の甲に自分の手を重ねていた。
すると突然、ドアの開く音がした。
「いやぁ、ごめんごめん、職場から電話で。明日急遽仕事になっちゃったから、今日はこの辺でお開きにしよう。僕が誘ったのにすまないね。」
どうやら浩介さんは電話で席を外していたらしい。
身を寄せていた2人は戻ってきた浩介さんの声でパッと身体を離した。
「急遽休日出勤かぁ、大変だね。気にしないでくれ。……紗希、起きて。帰るよ。」
航は何食わぬ顔で寝ている私を起こそうと声をかけてきた。寝たフリがばれていないことに安堵しながら、さも、今起きたかのように鈍い反応で身を起こす。
「ん~……なに……?」
「他人様の家でみっともないだろ。早く起きて。」
「あ、そうだった……すみません、気がついたら寝てしまって……」
「良いんですよ。気にしないでください。むしろお酒弱いのに無理させちゃったみたいですね。」
「今度からは遠慮なく言ってくださいね?お酒以外にも色々用意しておきますから。」
望田夫妻は口々に気遣いの声をかけてくれた。
そうだ。お隣さんのおうちにお邪魔していたのだ。
ぼんやりとした意識の中、目だけを動かして周囲を確認した。
テーブルの向こう側に、人が座っているのが見える。
(一人は見慣れたズボン。もう一人は、梨奈さん……?)
頭が次第に働き始め、初対面の人間同士とは思えない距離感に戸惑いを覚えた。
どうやら奥さんがうちの夫にもたれかかっているような体勢に見える。
その時点で身を起こし、不貞とも取られかねないその距離感に一喝してやればよかったのだが、
夫がほかの女にどんな風に接しているのか知りたいという好奇心が勝ってしまい、ばれないように寝息を演じながら聞き耳を立てた。
「奥さん、起きないですねえ」
「うちのは弱くって……俺も久しぶりに飲みました」
「あら、お酒、好きじゃないんですか?」
「いえ、好きな方なんですけど、一人で飲んでもしょうがないので……」
「えー? 合わせてあげるなんて、優しいんですね航さん」
さりげなく名前で呼ばれているのにドキッとした。
きっと私が寝ている間にもいろいろとやりとりがあったのだろう。
それにしてもどうしてこんな体勢になっているのか。
目の前では梨奈さんが夫の手の甲に自分の手を重ねていた。
すると突然、ドアの開く音がした。
「いやぁ、ごめんごめん、職場から電話で。明日急遽仕事になっちゃったから、今日はこの辺でお開きにしよう。僕が誘ったのにすまないね。」
どうやら浩介さんは電話で席を外していたらしい。
身を寄せていた2人は戻ってきた浩介さんの声でパッと身体を離した。
「急遽休日出勤かぁ、大変だね。気にしないでくれ。……紗希、起きて。帰るよ。」
航は何食わぬ顔で寝ている私を起こそうと声をかけてきた。寝たフリがばれていないことに安堵しながら、さも、今起きたかのように鈍い反応で身を起こす。
「ん~……なに……?」
「他人様の家でみっともないだろ。早く起きて。」
「あ、そうだった……すみません、気がついたら寝てしまって……」
「良いんですよ。気にしないでください。むしろお酒弱いのに無理させちゃったみたいですね。」
「今度からは遠慮なく言ってくださいね?お酒以外にも色々用意しておきますから。」
望田夫妻は口々に気遣いの声をかけてくれた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる