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1章

15 父side

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私の家系は代々、エルフの街の長をしている。
次男の私は、兄上の補佐をしている。


兄上の妻、クロエさんは、私の妻と友人だ。
そのクロエさんが、ありえない期間で第二子を授かったと聞いたときは、本当に驚いた。
だって、まだ前回の出産から7年だ。


その事実が分かってから、優秀な医者を2人も用意し、過去の文献も当ってみたが、過去にそんなことは一度もないそうだ。
これも神のおもしめしなのか・・・


もしもそれで、クロエさんが亡くなってしまったら、兄上は覇気を無くしてしまうだろう。
きっと、長の仕事もできなくなってしまうだろう。



ここ最近は、もうすぐ産まれる時期なので、私が兄上の仕事もなるべく引き受け、いつお産が始まってもいいように自宅で出来る仕事のみをしてもらっている。
仕事は膨大な量だから大変だが、それもこれも兄上のためだ。


そんな生活を始めて1か月たったころ、その知らせが来た。
クロエさんのお産が始まったようだ。
だけど、次の日になっても産まれたという報告がない。


やはり難産なのだろうか。
大丈夫なのだろうか。
私の妻が子供たちも連れて、本家に行っているはずだ。


マリアも不安な時間を過ごしているのだろう。
すぐに駆けつけて、抱きしめてあげたいのに、できない自分がもどかしい。



モンモンとしながらも、仕事を進めていると、本家からの早馬が来たと言うので、すぐに通した。
”無事生まれた”か”残念ながら・・・”か、どちらかの話しを予想をしていた私は、伝令の者が一瞬何を言っているのか分からなかった。


「は?なんと?」


「クロエ様の出産は難産でしたが、母子ともに無事です!ですが、マリア様がお倒れになられ、本家に医者を呼んでいます!奥様からの伝言で、すぐに来てほしいそうです!」


「なんで!マリアが倒れるのだ!!」


つい伝令の者につかみかかってしまったが、それはすぐに私の側近に止められた。


「カスト様!伝令が悪いわけではない!すぐ向かって!ハドラーすぐに馬の準備を!カスト様、あなたがしっかりしなさい!!奥様は不安の中戦っています!仕事はお任せ下さい。」

私の側近は、友人でもあるので、容赦がないな。
しかし、その言葉でようやく目が覚めたよ。ありがとう。

「君、すまなかった。」


「いえ、急ぎましょう。」
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