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私の番の話
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「慧は、中村家の長男だ。だけど、βで産まれてきた。私も妻も、祖父母も、慧がβだったからってガッカリしたことはない。それどころか、αじゃなかったことに驚いたくらいだ。」
「それは、そうですね。確かに優秀だと感じました。」
「だが、世間はそうではない。運命の番のαとΩの間に産まれた慧がβだった。祖父母も、弟や妹もαだ。そこにβの慧。劣等感は相当なものだったろうし、慧を知っている者は優秀さも、努力も知っているから、擁護したりしているが、よく知りもしない者からはあることないこと噂される。」
「そうですか・・・」
「それが分かっていたからだろうね。慧は、バース性検査でβだって分かってから、より一層根をつめるようになった。」
私はただ相づちをうつ。
「医学部の医学研究学科が忙しいのは、OBだから知ってるよね?」
「はい。」
「それに加えて週5日、大学の後や、休日に、政治経済の塾へ通っている。」
「っ・・・」
「それに、私の秘書。第二秘書だし、学生だから、そんなに無理しなくていいと言ってるんだが、それでも週3日は講義のない時間や休日には、私についている。」
「それって、つまり・・・?」
私には到底理解が及ばない次元だ・・・どれほど忙しいんだ?
「月曜日~金曜日の大学の講義と、ゼミの研究。火曜日と日曜日以外の日には塾。それに、火曜日、日曜日、他1日は講義や塾以外の時間に私について秘書業務、って感じかな。つまり、休みの日がないんだ。」
「・・・・私も多忙だったと思います。三男とはいえ、須藤グループの子ですから。それに、学生時代に企業していましたから。でも、慧さんほどではなかったです。本当に心配です。睡眠時間はとれているのでしょうか。」
「課題や論文もあるからね。睡眠時間は3~4時間、ヘタしたら2時間ってところだろうね。私も家族も心配しているんだけど、何を言っても聞いてもらえなくてね。」
「そうなんですか・・・」
「根本にはβだって劣等感があるんだ。弟も妹もαで優秀だ。βの私が父の跡を継ぐならば、人一倍努力をしないといけないんだ。だけど、父を継ぐのは自分じゃない方がいいと思うんだって言っているのを聞いたことがあるんだ。」
「そんなっ!慧さんは、どう見ても優秀ですよ!」
「ああ。わたしもそう思っているよ。」
「それは、そうですね。確かに優秀だと感じました。」
「だが、世間はそうではない。運命の番のαとΩの間に産まれた慧がβだった。祖父母も、弟や妹もαだ。そこにβの慧。劣等感は相当なものだったろうし、慧を知っている者は優秀さも、努力も知っているから、擁護したりしているが、よく知りもしない者からはあることないこと噂される。」
「そうですか・・・」
「それが分かっていたからだろうね。慧は、バース性検査でβだって分かってから、より一層根をつめるようになった。」
私はただ相づちをうつ。
「医学部の医学研究学科が忙しいのは、OBだから知ってるよね?」
「はい。」
「それに加えて週5日、大学の後や、休日に、政治経済の塾へ通っている。」
「っ・・・」
「それに、私の秘書。第二秘書だし、学生だから、そんなに無理しなくていいと言ってるんだが、それでも週3日は講義のない時間や休日には、私についている。」
「それって、つまり・・・?」
私には到底理解が及ばない次元だ・・・どれほど忙しいんだ?
「月曜日~金曜日の大学の講義と、ゼミの研究。火曜日と日曜日以外の日には塾。それに、火曜日、日曜日、他1日は講義や塾以外の時間に私について秘書業務、って感じかな。つまり、休みの日がないんだ。」
「・・・・私も多忙だったと思います。三男とはいえ、須藤グループの子ですから。それに、学生時代に企業していましたから。でも、慧さんほどではなかったです。本当に心配です。睡眠時間はとれているのでしょうか。」
「課題や論文もあるからね。睡眠時間は3~4時間、ヘタしたら2時間ってところだろうね。私も家族も心配しているんだけど、何を言っても聞いてもらえなくてね。」
「そうなんですか・・・」
「根本にはβだって劣等感があるんだ。弟も妹もαで優秀だ。βの私が父の跡を継ぐならば、人一倍努力をしないといけないんだ。だけど、父を継ぐのは自分じゃない方がいいと思うんだって言っているのを聞いたことがあるんだ。」
「そんなっ!慧さんは、どう見ても優秀ですよ!」
「ああ。わたしもそう思っているよ。」
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