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介護保険拒否編
在宅介護、介護保険拒否編 2話
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当時、俺も原付にのっていた。
母一人で買い物に行くのが心配でついていくことにする。母は道路のど真ん中を時速20 km ぐらいで走ってる。のんびり何て言うもんじゃない。見るからにふらついていた。ふらついているから後ろの車は抜きたくても抜けない。みるみる後続車が増えていく。
速度も上がったり下がったり。どれだけ後ろから「危ないから左によれ」と言っても聞き分けてはくれない。むしろ怒り始める。
「お前とはもう二度と買い物に行かん」
実家は田舎なので電車やバスは発達していなかった。止めても乗り続ける。認知症には良くある症状だが理性のブレーキが壊れていく。外から止めようとしても激しく抵抗して嫌がるのだ。やめろやめろと言われても本人は絶対にやめない。そうなると監視するしかなくなる。
監視するにも一人では限界がある。父も入院していた。
色々試してみた。鍵を隠してみたらバイク屋に電話しようとする。一番効果があったように思うのはバッテリーを抜いておくことだった。これも構造に詳しい人に対してはさほど有効な手段にはならないだろう。
ちょうど俺も車を買ったころだった。父が「俺の年金で保険払えよ」と言ってくれた。ありがたかった。なので俺がいる間はタクシー代わりに母を送り迎えした。
でも俺はずっと家にいるわけにはいかなかった。買い物にも行く。そして収入が欲しかった。仕事にも行ってみた。これは何度も失敗した。1ヶ月続かない。帰ってきたら母が買い物をしている。一枚5000円の座布団を20枚「法事があるから」そんなものはない。
使うんだ使うんだ絶対使うんだ、と言うがそもそも葬儀会社の会員になっている。必要になればレンタルすることもできる。後で調べてみたのだが、二階の押し入れにも同じような商品が20枚あった。
トータル20万円、必要だから「絶対に返品しない」と言う。
電話も使えた。テレビの CM で流れるお試し試供品を何度も申し込む。当然個人情報は流出する。家に電話がかかってくる時は怪しげな営業ばかりだ。母はすでに判断能力などない。病院にも行かない。フルタイムで働くことはできなかった。短期アルバイトが多くなる。早く帰らないと何をしでかしてるのかわからない。それでも問題は起こる。
ちょうど尿失禁が始まった頃だった。タンスの奥からカビだらけのパンツや股引が見つかる。紙パンツは履こうとしなかった。「私はそんな歳よりじゃない」2013年まで紙パンツは拒否した 。
尿失禁は初期の頃から少しずつ酷くなっていった。2008年から大便も漏らす。2013年までどんどん酷くなっていった。特に2010年前後から「大便が出ていない」という妄想に取り憑かれ下剤を大量に飲む日々が続いた。最初は足が痛んで早く歩けずトイレに間に合わなくて漏らしていたが、どんどん漏らしたことに気づかなくなる。漏らしても本人に自覚はない状態になった。
母一人で買い物に行くのが心配でついていくことにする。母は道路のど真ん中を時速20 km ぐらいで走ってる。のんびり何て言うもんじゃない。見るからにふらついていた。ふらついているから後ろの車は抜きたくても抜けない。みるみる後続車が増えていく。
速度も上がったり下がったり。どれだけ後ろから「危ないから左によれ」と言っても聞き分けてはくれない。むしろ怒り始める。
「お前とはもう二度と買い物に行かん」
実家は田舎なので電車やバスは発達していなかった。止めても乗り続ける。認知症には良くある症状だが理性のブレーキが壊れていく。外から止めようとしても激しく抵抗して嫌がるのだ。やめろやめろと言われても本人は絶対にやめない。そうなると監視するしかなくなる。
監視するにも一人では限界がある。父も入院していた。
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ちょうど俺も車を買ったころだった。父が「俺の年金で保険払えよ」と言ってくれた。ありがたかった。なので俺がいる間はタクシー代わりに母を送り迎えした。
でも俺はずっと家にいるわけにはいかなかった。買い物にも行く。そして収入が欲しかった。仕事にも行ってみた。これは何度も失敗した。1ヶ月続かない。帰ってきたら母が買い物をしている。一枚5000円の座布団を20枚「法事があるから」そんなものはない。
使うんだ使うんだ絶対使うんだ、と言うがそもそも葬儀会社の会員になっている。必要になればレンタルすることもできる。後で調べてみたのだが、二階の押し入れにも同じような商品が20枚あった。
トータル20万円、必要だから「絶対に返品しない」と言う。
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