放浪者

側溝

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機械世界

第二話 

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...まただ、この閉鎖的な空間は一体なんなんだ?
とりあえず、むやみに行動をおこさずに、あの仲村みたいなやつから情報を得るとしよう。
そう思い立ちあがろうとすると、また頭の割れるような頭痛に襲われた。
「う、また、やめ、」

頭痛が止んだ。

「いつの間にか目を覚ましていたのか?」


「お、やっと起きたのか?」

仲村が部屋に入ってくる。

「休めとは言ったが、少し休みすぎだぞ
起こしても全く起きなかったんだからな」

「あぁ、すまない、よほど疲れていたのかもしれないな」

「もう大丈夫だよ」

何かおかしい。
俺は疲れてるとかそんなのとは何か違う異変が自分の体で起こっている気がしていた。
それに、今は気を失うタイミングが拠点内や近くで倒れてるからいいが、機械共と対面した時にいきなり気を失ったりしてしまったら洒落にならない。
しかし、原因を突き止めようにもまったくもって心当たりがない。

「どうしようか...」

しばらく考え込んだが、悩んでいても解決の糸口は今は掴めないだろうし、まずは今の自分にできることをやることにしよう。

俺は食堂に向かって軽食を済ませると、仲村のところに向かった。

「仲村、何か手伝うことはあるか?」

「うーん、そうだな」
「今から外への偵察に行ってくるが、最近のお前の体調は正直言ってほっといておけない」
「お前は拠点内での仕事を手伝ってくれ」

「いや、もう大丈夫だよ、外での仕事をできる奴は限られてるんだから、俺が欠けるわけにはいかないさ」

「大丈夫だ、今日の偵察は俺ともう一人いれば事足りるからな」

「ほんとに遠慮しなくていいんだ」

「無理しないで休め!」

急に中村の口調が少し強くなる。

「万が一に機会共の前でお前が気絶しちまったらな、俺たちは大切な仲間のお前を見殺しにしなければいけないかもしれないんだ、俺たちの気持ちも考えてくれ」

俺は普段温厚な仲村の強い口調に呆気に取られていた。

「キツイ言い方してごめんな」

そう言って、怒鳴ったことを謝ると仲村は偵察の準備のために武器庫の方へと歩いて行った。

俺は謝られたことに対して反応する余裕もなく気づいた頃には仲村の後ろ姿は遠くなっていた。

俺はあいつなりに気遣ってくれたのだろうと思い、後で謝ることにして拠点内での仕事を手伝いに行った。

一時間ほどした所で、仲村が帰ってきた。

俺はそのタイミングで食堂に向かい、仲村に謝罪をした。

「別にいいよ謝らなくたって、こっちもそんなつもりじゃなかったんだ」

「だけど、体には気をつけろよ?」

その後は軽い談笑を楽しんで、二人で寝室に戻った。

「そういえば、最近のお前を見て昔を思い出したよ」

「どうしてだ?」

「こんな世界になっちまった時にさ、持ったこともない銃担いで動き回っていっつもヘトヘトだったなって」

「俺が衰えてるってことかよ」

「そういう事じゃねえよ」
「でもさ、それと同時に思ったんだ」
「今俺たちが恨んでる機械共だって、元はといえば人間が作り出した奴らだし、俺らは研究者の産んだ業を肩代わりしてるにすぎないってな」

「確かにな、でも俺たちが生きるためには決して分かり合えない相手でも戦わなきゃいけないんだ」

「そうだよな、こんなこと深く考えててもしょうがないな」

「明日も頑張ろう」

「そうだな、おやすみ」

「おう、おやすみ」
「でもその前に一ついいか?」

「おう、どうした?」

「もしかしてお前、この世界とは違う世界に行ってるんじゃないのか?」

「ん、何を言って」

何を言っているのか理解が追いつかないが、仲村は俺の返答を遮って話を続ける。

「おそらく俺は、この世界の仲村じゃないんだ」
「こことは確実に違うどこかの世界で事故にあった俺は、そのまま気を失うとこの世界に辿り着いたんだ」
「何を言ってるか全くわからんと思うが、俺には確実にこの世界の記憶とは違うもう一つの世界の記憶がある」
「目覚めた瞬間は気づかなかったさ、だけどこの世界は俺の知ってる世界に比べて明らかに技術が進んでいる」
「それに呆気を取られていたが、そのまま世界は大混乱に陥ってそれどころじゃなくなった」
「俺もなんでこんなことが起こってるのかわからないし、お前にこんなことを聞いてるのはあくまで推論でしかない」
「事故による脳のショックで記憶に何か影響が出てるのかもしれないが、俺はまだ本当の世界で自分が昏睡中だと考えている」
「そして、最近お前に頻発する気絶」
「あまりにも長い睡眠時間」
「この二つからお前も違う世界から来たと考えているんだ、違うか?」
 
正直何を言っているのか全くわからない。
目の前で熱弁している仲村が仲村に見えなくなってきてしまうほど俺は混乱した。
そして同時に、ここ最近の異変と関わりがあるのかもしれない仲村の推論にヒントがあるのではと希望も抱いていた。

「いきなりそんなことを言われて噛み砕けるわけもないが、今俺に起きている異変に何か関係するものがあるのなら俺はそれに期待をしたい」
「しかし、今の時点では正直お前の言っていることが全く理解できる立場ではないということだけはわかってくれ」

「そうか、わからない、か」
「これから過ごしていくうちに何かわかるといいな」
「寝る前にこんな話をしてすまない、引き留めた側が言うのもなんだが、今日はもう休もう」
「だが最後に」

そう言うと仲村は俺の腕に忘れるなと文字を書き、その後は何事もなかったかのように寝る支度を始めた。

「もしも違う世界と俺に繋がりがあるのなら、この文字が伝わるといいが」

「あぁ、俺もそう祈ってるよ」

仲村はそう言うと部屋の電気を消した。

「おやすみ、期待して次の朝を待つよ」

「おやすみ、あんまり期待はするな」










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