虫けら転生録

焦げ焦げみたらし団子

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18話 勇者パーティ結成秘話★

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久しぶり、勇者だよ。
私ももう13歳になって、勇者としての活動を許可される年になった。
基本的には冒険者的な感じらしいが、国が選んだ依頼クエストだから基本的には騙し依頼も殆ど無いそうだが、念のために、パーティメンバーが付く。
普段なら経験豊富な壮年の人物が付くらしいが、今丁度高い実力を持つ私と同年代の四人のパーティがあるらしい。その名を『異界の風』というそうで。

...うん。
もうほぼ確定だよね?これ。
パーティ名も、同じ年代ってとこも。
多分、このパーティ、転生者達だ。
もしかすると、クラスメイト達かも知れない。
という訳なので、父上...まぁ王様や、宰相さんに頼み込んで、このパーティと組む事になった。
え?彼等の意思?
こっちが王城から出しても貰えんかった時に楽しく冒険していた罰じゃ。
悪いね。私も混ぜてもらうよ。わーい。


数日後、謁見的な感じで『異界の風』との初お目見えの日がやって来た。
このときだけは、勇者としてではなく王子として謁見して、謁見が終わったら合流、という形になるそうだ。面倒くさい。
そんなこんなで謁見の間にちょこんと座って待機する。
なんか無駄にデカい椅子で、ちょこんという擬音語がよく似合っただろうなぁ。
で、少し待っていると、扉の向こうから元気な声が漏れてくる。
...浅野くんかな。
浅野くんが静かにして居る所を見たことがないし。


ギイィ、と、謁見の間の重厚なドアが開く。
「ひゃー。コレまた金かかってそうな部屋!やっべぇ。」
「あ、アンタねぇ...王子様いるよ、ほら畏まりなさい」
銀に輝く鎧を来た赤髪の男の子の頭をぺしん、と叩きながら、小声で注意する、黒ローブの女の子。
うん。浅野くんと祐実ちゃんだね。
13年経っても仲良しだね。
それで後ろの忍者っぽい格好のは里橋くんかな。まだ厨二病抜けて無いのかな。
それで、祐実ちゃんの後ろで隠れてるのが黎ちゃんかな。いつまでも祐実ちゃんの後ろが定位置だね。

うん、多分クラスメイトですありがとうございます。
偶然とは思えないけどまぁ、転生者同士、良いスキルを持っていたから有名になっていった、という側面もあるんだろうな。
まぁ私は血縁的に既に有名人なのに勇者っていうオマケ付きで少々情報過多な気もするけどね。

おっと、取り敢えず先ずは謁見を終わらせないと。
とはいえ、謁見する側は鷹揚に頷いてるくらいしかやることが無い。

「こ、この度は?えー...なんて読むんだコレ」
「えっけん、私が読もうか?」
「パーティのリーダーが読み上げるのが習わしでございます」
「謁見の機会を...たま...賜り...」

...寝ない様に気をつけないと。


なんとか睡魔に負けずに謁見を乗り切って、城の慣れ親しんだ自室で、用意された服を身に纏う。国宝に指定されるような代物だと聞いてビビったけど、性能は凄い。
幻影無効から、各種耐性から、何から何まで揃っているなんかやばい鎧だってのはわかった。白金貨1000枚、つまり何億円はするんだって。やばいね。
剣は聖剣。説明する必要もないね。
鉄塊が人参みたいに切れる...うん。
...取り敢えず四人の所行こう。


「王子サマかー...なんか生意気そうなガキンチョだったなー!それにずっと無言で真面目そうなヤツだったし...めんどくせー!」
ピキ。
「不敬だって処刑されても知らないわよ...?...まぁ、わかるけど...」
ピキピキ。
「然り。拙者は壬生の狼...王子に傅くのは屈辱でござる」
ピキピキピキピキ。
「権力者...嫌い。小説でも、偉そうな人ばっかだし...」
ぷっちーん。

四人が待つ一室の前の戸の前に立ち聞こえてきた会話がコレである。
お、お前らなぁ...
よしわかった。ここは一つビビらせてくれようジャマイカ。

「あんなヒョロガキ俺の敵じゃ......」
「誰がヒョロガキじゃ?」
バターン、とドアを蹴破ると、火属性魔法の上位スキルである炎属性魔法の『炎鬼イフリート』を発動させる。炎の鬼を背後に権限させる魔法だ。MP消費は大きいが、私なら連発しようがなんの問題もない。
この部屋は広いから燃える危険性も少ないし、何よりこの魔法は炎鬼への指示を睨むだけにしておけば相手を傷つける事なく、尚且つ威圧感が大きい。

「ぴゃっ...」
この可愛い声は里橋くんのものだった。女子より早くへたり込んでどうするの。
まぁ私も元とはいえ女子なんだけど...
「よくまあ好き勝手言ってくれた事よな?覚悟は出来てるのだろうな?浅野...」
「ひぃい!!ごめんなさ...え?なんで...名前…?」
あ。しまった。まぁいいか...浅野くん顔真っ青だし...
あ、祐実ちゃんが黎ちゃんに泣きついてる。

「えっと...ごめんね?」


落ち着かせるのに十分くらいかかった。
ほんと...ごめんね...やりすぎた...
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