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いせかいへ
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暑い。
今日は日曜日。
外に出る予定はない。
タクマはベッドで横になり、前に友達が言っていた話しを思い出す。
「学校のF棟の屋上から飛び降りると異世界へ行ける…………か」
(くだらないなぁ………)
今、学校中がその噂でもちきりだが実際に信じている人なんて誰もいない。
事実、実行した人もいない。
(誰が流した噂だよ……)
横にあった携帯を手に取り、Twitterを開く。
タイムラインもその話題ばかりだ。
他校の生徒もその話に食いついている。
(つまんな。そんなに興味あるなら誰か試してみろよ。まったく)
(……………………………)
「異世界ねぇ………」
無心でTwitterの最終更新をスクロールし続ける。
何か思いついたように画面を見つめる。
Twitterを閉じ、検索可能なアプリを開く。
「異世界………異世界………」
異世界【検索】
ポチッ
《異世界は現実世界にいないモンスターが!》
《異世界に行けば王子様になれる!》
《異世界では魔法を使い放題!》
《Re:ゼロから始める異世界生活》
《異世界では女の子と遊び放題!》
………………
……………
…………
………
永遠とスクロールできそうなほどの記事が出てくる。
「へぇ異世界ねぇ………」
これまでの人生、普通に勉強し、普通に食事をして、普通に友達と学校生活を送ってきたタクマからすれば、なんとも面白く魅了させられるものばかりだ。
スクロールしていると、あるサイトが目に入る。
《異世界へ行けるスポット》
興味が湧き、タップしてみる。
するとそこには自分の通っている高校、J高校の記事があった。
噂されている内容と全く同じだ。
「まったく、このサイトの管理人がJ高校の噂の発信源かよ」
管理人のプロフィールからブログへ飛ぶURLがある。
文句をつけたくなったのでブログのサイトを開く。
画像が多いのかサイトが開くのが遅い。
苛立ちながらも8分待った。
どうしても文句を言ってやりたかったのだろう。
すると急にサイトが軽くなり画像が見れるようになっていく。
そこには現実では見たことない景色が広がっていた。
血の色をした無限に広がる海。
黄金に輝く山々。
マグマの風呂を浴びる人々。
背中に翼を生やし空を飛ぶ者。
タクマは必死に目を凝らし画像をみる。
どれもこれもコラージュされた画像には見えない。
その時タクマは、この世界へ行きたい。、と思ってしまった。
一時間後、私服に着替え、必要になりそうな物を揃え、リュックに入れ家の玄関を出る。
何を思ったか友達にこのことは伝えない。
今思えば独り占めしたかったのかもしれない。
日曜日なので学校には教師はほとんどいない。いても職員室にいる。
バレないように校舎に入る。
素早く廊下を駆け、今までにないくらい急いで階段を上る。
(きた………ここが異世界へ行ける場所…………)
申し訳程度に立ち入り禁止の紙が貼られている。
そんなこと知ったことではない。
ドアを開け、外へ出る。
雲ひとつなくとても暑いはずなのに、あまりストレスも感じない。
「確かここが飛び降りるポイント…………」
日照りを浴びた熱された手すりを持ち、下を覗く。
思っていたよりもずっと高い。
花壇はあるが落ちてしまえば無事ではないだろう。
足がすくむ。
「こえぇ……でも……」
あと一歩で落ちてしまうところに立つ。
携帯を開きもう一度画像を見る。
「よし!」
決心を決めた。
ふぅーーー!!
大きく息を飲む。
「J高校!2年3組!斧坂タクマ!絶対に異世界へ行く!」
大声で叫ぶ。部活動中の生徒に見られたかもしれない。
「頼むぞ俺!頼むぞ俺!」
スッと前のめりになる。
さっきよりも下がよく見える。
花壇が近づいてくる。
もう目の前だ。
あぁ、これ、ダメなやつじゃん。
怖くなり目を閉じた。
グチャッ
すごく痛い。
身体の節々が痛い。
お腹がすごく熱い。
血が出ているのだろう。
目を開くとそこは花壇。
いつも見ている学校の花壇。
立ち上がることができない。
異世界になんて行けていない。
さっきまで見ていた携帯が横に転がっている。
画像より下にまだスクロールできていたみたいだ。
画像に熱中して気づかなかったのか。
朦朧としながら画面を覗き見る。
『異世界なんてものは存在しません。』
『これは僕が頑張って作ったコラ画像です。』
『異世界にいけるだなんて考えないでくださいね』
「なんだよ………くだらないなぁ」
僕は死んだ。
終わり
今日は日曜日。
外に出る予定はない。
タクマはベッドで横になり、前に友達が言っていた話しを思い出す。
「学校のF棟の屋上から飛び降りると異世界へ行ける…………か」
(くだらないなぁ………)
今、学校中がその噂でもちきりだが実際に信じている人なんて誰もいない。
事実、実行した人もいない。
(誰が流した噂だよ……)
横にあった携帯を手に取り、Twitterを開く。
タイムラインもその話題ばかりだ。
他校の生徒もその話に食いついている。
(つまんな。そんなに興味あるなら誰か試してみろよ。まったく)
(……………………………)
「異世界ねぇ………」
無心でTwitterの最終更新をスクロールし続ける。
何か思いついたように画面を見つめる。
Twitterを閉じ、検索可能なアプリを開く。
「異世界………異世界………」
異世界【検索】
ポチッ
《異世界は現実世界にいないモンスターが!》
《異世界に行けば王子様になれる!》
《異世界では魔法を使い放題!》
《Re:ゼロから始める異世界生活》
《異世界では女の子と遊び放題!》
………………
……………
…………
………
永遠とスクロールできそうなほどの記事が出てくる。
「へぇ異世界ねぇ………」
これまでの人生、普通に勉強し、普通に食事をして、普通に友達と学校生活を送ってきたタクマからすれば、なんとも面白く魅了させられるものばかりだ。
スクロールしていると、あるサイトが目に入る。
《異世界へ行けるスポット》
興味が湧き、タップしてみる。
するとそこには自分の通っている高校、J高校の記事があった。
噂されている内容と全く同じだ。
「まったく、このサイトの管理人がJ高校の噂の発信源かよ」
管理人のプロフィールからブログへ飛ぶURLがある。
文句をつけたくなったのでブログのサイトを開く。
画像が多いのかサイトが開くのが遅い。
苛立ちながらも8分待った。
どうしても文句を言ってやりたかったのだろう。
すると急にサイトが軽くなり画像が見れるようになっていく。
そこには現実では見たことない景色が広がっていた。
血の色をした無限に広がる海。
黄金に輝く山々。
マグマの風呂を浴びる人々。
背中に翼を生やし空を飛ぶ者。
タクマは必死に目を凝らし画像をみる。
どれもこれもコラージュされた画像には見えない。
その時タクマは、この世界へ行きたい。、と思ってしまった。
一時間後、私服に着替え、必要になりそうな物を揃え、リュックに入れ家の玄関を出る。
何を思ったか友達にこのことは伝えない。
今思えば独り占めしたかったのかもしれない。
日曜日なので学校には教師はほとんどいない。いても職員室にいる。
バレないように校舎に入る。
素早く廊下を駆け、今までにないくらい急いで階段を上る。
(きた………ここが異世界へ行ける場所…………)
申し訳程度に立ち入り禁止の紙が貼られている。
そんなこと知ったことではない。
ドアを開け、外へ出る。
雲ひとつなくとても暑いはずなのに、あまりストレスも感じない。
「確かここが飛び降りるポイント…………」
日照りを浴びた熱された手すりを持ち、下を覗く。
思っていたよりもずっと高い。
花壇はあるが落ちてしまえば無事ではないだろう。
足がすくむ。
「こえぇ……でも……」
あと一歩で落ちてしまうところに立つ。
携帯を開きもう一度画像を見る。
「よし!」
決心を決めた。
ふぅーーー!!
大きく息を飲む。
「J高校!2年3組!斧坂タクマ!絶対に異世界へ行く!」
大声で叫ぶ。部活動中の生徒に見られたかもしれない。
「頼むぞ俺!頼むぞ俺!」
スッと前のめりになる。
さっきよりも下がよく見える。
花壇が近づいてくる。
もう目の前だ。
あぁ、これ、ダメなやつじゃん。
怖くなり目を閉じた。
グチャッ
すごく痛い。
身体の節々が痛い。
お腹がすごく熱い。
血が出ているのだろう。
目を開くとそこは花壇。
いつも見ている学校の花壇。
立ち上がることができない。
異世界になんて行けていない。
さっきまで見ていた携帯が横に転がっている。
画像より下にまだスクロールできていたみたいだ。
画像に熱中して気づかなかったのか。
朦朧としながら画面を覗き見る。
『異世界なんてものは存在しません。』
『これは僕が頑張って作ったコラ画像です。』
『異世界にいけるだなんて考えないでくださいね』
「なんだよ………くだらないなぁ」
僕は死んだ。
終わり
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