夢現アリス

Marnie

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エピローグ

夢現アリス

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「アリス、アリス!一体どこまで走るんだ!?」
「ずっと、ずぅーーーっと遠くまで!!」
「遠くまで行って、一体何をするんだ?」
「とっても、とぉーーーっても強い敵と戦うの!!」
「なんで、強い敵と戦うんだ?」
「だって…私はアリス。アリスになって、いーーーっぱい冒険するの!」

「アリス、アリス!一体いつまで戦うんだ?」
「今よりずっと、ずぅーーーっと強くなるまで!」
「強くなって、また戦うのか?」
「うん!今度は、もっと、もぉーーーっと強い敵と戦うの!!」
「なんで、そんなに強い敵と戦うんだ?」
「だって…私はアリス。今までよりも、もっと沢山の冒険をするの!!」

「アリス、アリス!今度はどこまで行くんだ?」
「とっても、とーっても広い所で、とっても、とーっても、景色が綺麗な所。」
「とても広くて、とても景色が綺麗な所に行って、何をしたいんだ?」
「そこに、とっても、とーーっても豪華なお城を建てるの。」
「豪華なお城を建てて、どうするんだ?」
「それは…私は王女、お兄ちゃんは王子。私の王国を創るの!」

「アリス、アリス。いつまで紅茶を飲んでいるんだ?」
「だって、凄くおいしいんだもの!」
「お菓子まで、そんなに食べるのか?」
「だって…やっぱり、凄くおいしいんだもの!」
「時間を忘れてお茶会だね?」
「そうなの。お兄ちゃんも一緒にいかが?」

「アリス、アリス。いつまでお茶会をするんだ?」
「私がアリスである限り、いつまでも。」
「他には何かしないのか?」
「お散歩したり、動物とお話ししたり、色々するよ!」
「アリス……お前は今、幸せ?」
「とっても、とぉーーーっても、幸せ。大好きなお兄ちゃんもいるし、楽しい仲間もいるし、毎日ティータイムも出来る。最高じゃない!」

「ローラ、ちゃんと夢見てる?」
「プリシラ…」
「ローラが授業中に寝るなんて、珍しいじゃん!」
「ディアナ…」
「考え込むのは程々にね。」
「ストレス発散しなきゃでしょ!?」
 2人の笑顔が目に浮かぶ…元気が良すぎて疲れるけど、大切な友達。
「本当は気付いてたんだね、プリシラ…?」

「早く起きろ、ローラ。」
 あの時は、気付いていなかった…
「大事な授業中に、ワンダーランドへ来てどうする!」
 夢現が逆転している事なんて…

「目を覚ませ、ローラ!!」
 本当は、この世界が現実であって欲しいと、心から思っていた…
「……明晰夢。お前が、自由に創り出した世界だ。」
 切なる願いは届かない。しかし、そんな状況を創り出したのも私自身…この時、ようやく私の心は、本当の私に帰って来た。

「そこまでして、このワンダーランドに居座りたいのか?」
 ただ、受け入れがたい現実から、逃れたかっただけ…
「…言っただろ、ずっと見てた…って。」
 ただ、ワンダーランドという夢の世界が、心地好かっただけ…

──だけど…

 夢に溺れるのも、そろそろおしまいにしよう。
 いつまでも、ワンダーランドで浮かれてばかりじゃいられない。幼い頃の私の願いを叶え、大きくなった私の心に、明るさを与えてくれたワンダーランド。
 そして、幼い頃の私の寂しさを紛らわし、大きくなった私に、頃合いを見て目覚めさせてくれたお兄ちゃん。
「私の夢の世界、何よりも大好きだった…」

 私の自由に創り上げ、成長や好みの変化に合わせて創り変え続けた、素敵で不思議なワンダーランド。
 夢の中の世界だとは言え、私が過ごしてきたもう1つの物語。夢現を彷徨った、甘くて苦い私の10年間を「夢現日記」に綴ろう。

「ありがとう、何があっても、いつも寄り添ってくれたお兄ちゃん…ありがとう、私のもう1つの物語を紡いだワンダーランド…ありがとう…泣いてばっかりのアリス…」
 最後のページを書き終え、忙しく動かしていたペンを置いた。
「さあ、行って…!上から、いつまでも見守っててね…」
 ゆっくりと目を閉じ、ワンダーランドの思い出を頭に巡らせる。
 私の瞳から、1粒の涙が溢れ落ち、「夢現日記」の最後の文字を滲ませた。
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