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0-0とある宵闇の戦い
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薄雲が流れ、三日月は笑うような姿で世界に見せた。そして、緑の絨毯と俺達に光を落とす。
やっと照らされた草原をさらうように風が吹いて、俺達の間を流れた。
犬の様なそれに変じた耳は、その風の音に混じる微かな音をしっかりと聞き取る。
その軋む音様なの元は、眼前にそびえる巨大な岩の塊だ。
人の形をした、巨大な岩。通称ゴーレムと言われる、硬く強大な敵。
巨岩は見上げるほど大きく、腕一つで俺達を潰せるくらい重厚で、その口で家を丸飲み出来そうだった。
今からそれが、俺達を殺しに来る。全霊をもって、徹底的に。
「怖いか?」
不意に隣の少女がニヤリと笑った。銀の神から覗く笑みは、あの三日月の様に鋭く不敵だ。夜更かしが好きな少し悪い子供は、今日も調子がいいらしい。
分厚い外套からその幼い手をゆっくり出して、ひらめかす。
と、その手を内に小さく赤い刃が生まれ、くるくると回転して始めた。
成程。調子がいい上にやる気満々らしい。どんな事をしようとも、やり遂げるらしい。
その推測を証明する様に、此方を見上げる目が赤くギラギラと光っていた。
その意気に、思わず笑ってしまった。
「そこまで気負うなよ。やることは単純だ」
俺も準備をしよう。足に力を込める。
ビキリという音が鳴り、骨が捻じれ、肉が膨れ上がる。皮は厚く、毛は硬く密になる。
あれが彼女の力なら、これが俺の力だった。
大地を削るほどの脚力で、何十キロと走り続ける、神格化すらしてしまう獣の足。
狼人間の特権である、部分獣化は、俺の足を狼へと変じさせた。
「行くぜ。相棒」
「ご主人様だ。犬」
最早迷いはない。俺達は、一斉に走り始めた。
やっと照らされた草原をさらうように風が吹いて、俺達の間を流れた。
犬の様なそれに変じた耳は、その風の音に混じる微かな音をしっかりと聞き取る。
その軋む音様なの元は、眼前にそびえる巨大な岩の塊だ。
人の形をした、巨大な岩。通称ゴーレムと言われる、硬く強大な敵。
巨岩は見上げるほど大きく、腕一つで俺達を潰せるくらい重厚で、その口で家を丸飲み出来そうだった。
今からそれが、俺達を殺しに来る。全霊をもって、徹底的に。
「怖いか?」
不意に隣の少女がニヤリと笑った。銀の神から覗く笑みは、あの三日月の様に鋭く不敵だ。夜更かしが好きな少し悪い子供は、今日も調子がいいらしい。
分厚い外套からその幼い手をゆっくり出して、ひらめかす。
と、その手を内に小さく赤い刃が生まれ、くるくると回転して始めた。
成程。調子がいい上にやる気満々らしい。どんな事をしようとも、やり遂げるらしい。
その推測を証明する様に、此方を見上げる目が赤くギラギラと光っていた。
その意気に、思わず笑ってしまった。
「そこまで気負うなよ。やることは単純だ」
俺も準備をしよう。足に力を込める。
ビキリという音が鳴り、骨が捻じれ、肉が膨れ上がる。皮は厚く、毛は硬く密になる。
あれが彼女の力なら、これが俺の力だった。
大地を削るほどの脚力で、何十キロと走り続ける、神格化すらしてしまう獣の足。
狼人間の特権である、部分獣化は、俺の足を狼へと変じさせた。
「行くぜ。相棒」
「ご主人様だ。犬」
最早迷いはない。俺達は、一斉に走り始めた。
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