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心の置き場所、身の置き場所。
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明日が、失業認定の日だったので朝早くから地元のハロワに行かなくてはならなくて
目覚ましをかけて早めに寝ることにした。
ただでさえ、失業してからこっちダラダラした生活をしてしまい、体内時計が
まだ寝る時間ですよと訴えてくる。ズボラ虫がかなり大きく成長しているようだ。
寝なくちゃ、と布団にもぐりこんだときにスマホの着信音が軽快な音を立てて呼ぶ。
誰よこんな時間に。あ、いや、いつもだったら起きてるわ。夜9時だもん。
誰からだろう、と見ると幼馴染のアヤからだ。
「あ、出た!!ちょっとユキ、今どこにいるのよ」
切迫した声だ。あー。なんか、いろんなことがありすぎて友達に連絡って頭から抜けてたわ。
「アヤ、久しぶり。今親戚の家だけどどうしたの?」
「どうしたもこうしたも!!アパート行ったら引っ越してるし!!実家にも居ないっていうから
テルに聞いたら逆に驚いてたよ?!」
あああーー。めんどくさいことを。いや、私のズボラのせいか。
「ごめんごめん。色々あってちょっと親戚の家に来てるのよ」
「あー。テルにおおよそのことは聞いたっつうか口を割らせた。そしてぶん殴った」
ぶん殴るって……。アヤは昔から過激だからなぁ。
「つーか、いいの?!しょうもない女にテル取られて!!泥棒じゃないの」
「…………いいんだよ、子供が出来たんだから私が身を引かなきゃと思ったんだよ」
私のその一言にアヤが絶句してしまった。
「アパートは更新時期だから更新しなかっただけだし、なんか、色々吹っ切れたんだよ」
「…………足腰立たないようにもっとぶん殴っときゃよかった」
血の底から響くような恐ろしい低音でささやくアヤ。
「あーーーやめてやめて、それ傷害事件だから!!警察のご厄介になっちゃうよ」
「ユキはほんと、肝心のところで甘いんだから!!第一そのお腹の子とやらがほんとにテルの子かどうか怪しいじゃない」
アヤはいい子なんだけど、ちょっと一生懸命になると周りが見えない時がある。
すごく怒ってくれるのは嬉しいけど、オーバードライブしちゃうからなぁ。
「大丈夫だよ有難う。逆に結婚前でよかったかなって思う。どんな誘惑されても
靡かないだけの関係性が10年で築けなかった私にも責任はあるって思うことにしたんだよ」
「ユキ……」
アヤの鳴き声が電話口で響く。ああ、私とテルとあいちゃんだけの問題じゃなく、
周りを巻き込んでしまってるのかな。
「アヤは、優しいからね。あ、明日ハロワに行くからそっちに行くんだけどごはん行く?」
「いいねえ!!やけ食いに付き合ってあげるよ、ハロワ終わったら連絡して」
そして電話を切る。
久々にアヤに会える。ちょっと楽しみになったわ。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
朝イチのハロワはかなり混みあっていた。
ああ、私と同じく仕事を失った人がいるんだな、という妙な親近感があった。
結構な時間待たされ、まずはオリエンテーリング、嘘の申請で失業保険はもらえませんよっていうビデオを見させられ、失業者の心得を説明される。
そして顔写真を張った、私が無職ですよと証明する書類を持ち、窓口にて順番が来るのを待っている。
そういえば、私、次はどこで仕事探そうかなぁ。住所変更しないといつまでも
結構な電車賃をかけてここまで来なきゃならなくなるし。
エミさん、いつまで私を置いてくれるかな。
ぼんやり考えている間に、順番が来た。
窓口の人は事務的に淡々と確認作業をしている。ここは思い切って聞いてみよう。
「今、親戚のお世話をしてまして、県外に在住してるんです。住民票は実家にあるんですけど
ここまで来るのも大変なんですが、失業保険の認定はここまで来ないとダメですか?」
「それは、仕事を手伝ってるとか金銭の授受が発生しますか?もし単に家事とかで労働にあたる
収入がないのであれば、その今在宅している居住地の管轄のハローワークに伝えてもらえれば
そちらで求職活動は出来ますよ。ただ失業保険は、住民票のある管轄の、今の場合こちらまで
来ていただかないといけません。ただ、住民票を今いるご親戚の家に移したら、そちらで
引き継がれます。時期については多少のずれがあると思うので、先方のハローワークの担当者に
ご確認頂ければと思います。何かの事情で住民票を移せない時は、現在の住所に自分宛てに来た
郵便物をご持参いただければ手続きができる場合もありますのでご相談ください」
と、説明してくれた。
面倒がないのは住民票をこのままにして今日みたいに通う事。
エミさんがOKしてくれたら住民票を移して手続き。
どっちがいいのかなぁ。
認定手続きも終わり、解放されて、情報コーナーのパソコンで求人情報を色々と見てみる。
つい、前の会社の情報を探してしまうけど、やっぱりあった。若干名募集。
そっか。少なくとも2人は辞めるもんね。幅がある書き方だ。
今日はこんなところにしとくか。アヤに連絡して、ご飯食べよう。
目覚ましをかけて早めに寝ることにした。
ただでさえ、失業してからこっちダラダラした生活をしてしまい、体内時計が
まだ寝る時間ですよと訴えてくる。ズボラ虫がかなり大きく成長しているようだ。
寝なくちゃ、と布団にもぐりこんだときにスマホの着信音が軽快な音を立てて呼ぶ。
誰よこんな時間に。あ、いや、いつもだったら起きてるわ。夜9時だもん。
誰からだろう、と見ると幼馴染のアヤからだ。
「あ、出た!!ちょっとユキ、今どこにいるのよ」
切迫した声だ。あー。なんか、いろんなことがありすぎて友達に連絡って頭から抜けてたわ。
「アヤ、久しぶり。今親戚の家だけどどうしたの?」
「どうしたもこうしたも!!アパート行ったら引っ越してるし!!実家にも居ないっていうから
テルに聞いたら逆に驚いてたよ?!」
あああーー。めんどくさいことを。いや、私のズボラのせいか。
「ごめんごめん。色々あってちょっと親戚の家に来てるのよ」
「あー。テルにおおよそのことは聞いたっつうか口を割らせた。そしてぶん殴った」
ぶん殴るって……。アヤは昔から過激だからなぁ。
「つーか、いいの?!しょうもない女にテル取られて!!泥棒じゃないの」
「…………いいんだよ、子供が出来たんだから私が身を引かなきゃと思ったんだよ」
私のその一言にアヤが絶句してしまった。
「アパートは更新時期だから更新しなかっただけだし、なんか、色々吹っ切れたんだよ」
「…………足腰立たないようにもっとぶん殴っときゃよかった」
血の底から響くような恐ろしい低音でささやくアヤ。
「あーーーやめてやめて、それ傷害事件だから!!警察のご厄介になっちゃうよ」
「ユキはほんと、肝心のところで甘いんだから!!第一そのお腹の子とやらがほんとにテルの子かどうか怪しいじゃない」
アヤはいい子なんだけど、ちょっと一生懸命になると周りが見えない時がある。
すごく怒ってくれるのは嬉しいけど、オーバードライブしちゃうからなぁ。
「大丈夫だよ有難う。逆に結婚前でよかったかなって思う。どんな誘惑されても
靡かないだけの関係性が10年で築けなかった私にも責任はあるって思うことにしたんだよ」
「ユキ……」
アヤの鳴き声が電話口で響く。ああ、私とテルとあいちゃんだけの問題じゃなく、
周りを巻き込んでしまってるのかな。
「アヤは、優しいからね。あ、明日ハロワに行くからそっちに行くんだけどごはん行く?」
「いいねえ!!やけ食いに付き合ってあげるよ、ハロワ終わったら連絡して」
そして電話を切る。
久々にアヤに会える。ちょっと楽しみになったわ。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
朝イチのハロワはかなり混みあっていた。
ああ、私と同じく仕事を失った人がいるんだな、という妙な親近感があった。
結構な時間待たされ、まずはオリエンテーリング、嘘の申請で失業保険はもらえませんよっていうビデオを見させられ、失業者の心得を説明される。
そして顔写真を張った、私が無職ですよと証明する書類を持ち、窓口にて順番が来るのを待っている。
そういえば、私、次はどこで仕事探そうかなぁ。住所変更しないといつまでも
結構な電車賃をかけてここまで来なきゃならなくなるし。
エミさん、いつまで私を置いてくれるかな。
ぼんやり考えている間に、順番が来た。
窓口の人は事務的に淡々と確認作業をしている。ここは思い切って聞いてみよう。
「今、親戚のお世話をしてまして、県外に在住してるんです。住民票は実家にあるんですけど
ここまで来るのも大変なんですが、失業保険の認定はここまで来ないとダメですか?」
「それは、仕事を手伝ってるとか金銭の授受が発生しますか?もし単に家事とかで労働にあたる
収入がないのであれば、その今在宅している居住地の管轄のハローワークに伝えてもらえれば
そちらで求職活動は出来ますよ。ただ失業保険は、住民票のある管轄の、今の場合こちらまで
来ていただかないといけません。ただ、住民票を今いるご親戚の家に移したら、そちらで
引き継がれます。時期については多少のずれがあると思うので、先方のハローワークの担当者に
ご確認頂ければと思います。何かの事情で住民票を移せない時は、現在の住所に自分宛てに来た
郵便物をご持参いただければ手続きができる場合もありますのでご相談ください」
と、説明してくれた。
面倒がないのは住民票をこのままにして今日みたいに通う事。
エミさんがOKしてくれたら住民票を移して手続き。
どっちがいいのかなぁ。
認定手続きも終わり、解放されて、情報コーナーのパソコンで求人情報を色々と見てみる。
つい、前の会社の情報を探してしまうけど、やっぱりあった。若干名募集。
そっか。少なくとも2人は辞めるもんね。幅がある書き方だ。
今日はこんなところにしとくか。アヤに連絡して、ご飯食べよう。
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