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お留守番中のポン酢炒め
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エミさんは近所の人から頼りにされているし、いろんな人を気にもしている。
そんなエミさんが、久々に友達のところへお出かけするという。
「夕方には帰ってくるから、留守番お願いね。荷物が届くことになってるのよ」
そういって、うきうきと出かけて行った。
久々に誰もいない空間にポツンと取り残された感のある時間だった。
庭の雑草取りでもしようかな、と用意していた時玄関が慌ただしくなった。
「エミさーーん、ちょっといいですか?」
誰だろう、と玄関に向かうと、お向かいのトメさんところの娘さんだった。
「どうされたんですか?」
「あ、ユキさん? あの、エミさんは?」
ちょっと切迫したような顔をしていた。何かあったんだろうか。
たしか娘さんは離婚して実家に帰ってきていて、子供さんがふたり居たようだけど。
「エミさんは、出かけてて夕方に帰ってくることになってますけど」
すると、すごく困った顔をしている。
「そうなの……。困ったわ、母が具合が悪くて病院に行かないといけないんだけど、
子供を少しの間見てもらおうと思ったんだけど……」
ええ、トメさん、なんかあったの?
いつも元気に表を掃除してる姿しか思い出せない。でも、困ってるよね。
「良かったらうちでちょっとだけ預かりましょうか?」
すると、娘さん、安堵した様子になって表で待たせていた子供ふたりを呼んだ。
おずおずと入ってきた7歳くらいの女の子と5歳くらいの男の子が入ってきた。
お母さんの後ろに隠れる。
「リカ、サトル、お母さん、おばあちゃんを病院に連れて行くから
ここでいい子で待っててくれる?」
ふたりとも、両手をあげて良い返事を返す。
「ここで待ってるねーー」
「じゃぁユキさん、お願いします。助かります」
「行ってらっしゃい。お大事にしてくださいね」
その時は、子供を育てた経験のない人が子供を預かる大変さがわかっていなかった。
後悔先に立たず……。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
子供が喜ぶ遊びってなんだる?と考えて、ふたりに提案してみる。
「お絵かきする?」 ふたりをみると、なんか冷めた目で見られた。
「つまんなぁい」サトル君だ。
「わたしたちのこと、こどもっておもってるでしょ?」リカちゃんが言う。
ええ?いや、子供でしょうよ。と、突っ込んでしまった。
私は大人なんだからこのぐらいちゃんと対応しないと。
「おねえちゃん、お留守番なんだよね、遊んでほしいなぁ~~」
ふたりは、顔を見あってにっこり笑う。
「おねえちゃん、ヒマなんだね、じゃぁ遊んであげるよ!!」
サトル君が宣言した。
…………ムカッ。いかんいかん。子供相手に怒るな自分!!
そう、自分をたしなめながら、大人の対応を試みた。
公園に遊びに連れてった方がいいのかなぁ、と思ったりもしたけど
エミさんから頼まれた荷物を待ってなきゃならないし。
下手に外に出れないわ。
仕方なく、スマホを出して子供に何が流行ってるか検索しようとすると、
「それ何?!」
と、ふたりが食いついた。
「これ? スマホ。ええっと、好きな動物って何?」
そうだ、動画サイトで好きそうな動画を見せてたら時間稼ぎになるかも!!
「えっとねー、うさぎー」リカちゃんが大きな声を出す。
ウサギを検索して動画を出してみる。ほのぼの動画がいっぱい上がってる。
はい、と見せると、リカちゃんが釘付けになる。
「かわいいいい!!!」
「あああ!!リカばっかずるい!!おれもおれも!!!」
サトル君が私の手からスマホを奪おうとする。
ぎゃあああ。買ったばっかなのよ~~~取扱注意でお願いします(涙目)
この時点でもだいぶ疲れたけど、しばらくするとスマホを巡って
兄弟げんかが勃発。
「さっきはサトルの好きなの見たじゃん、次はリカの番!!」
「リカは生意気なんだよ!俺のいう事聞けよー」
「サトルなんか生意気のぷりぷりプーだよ!!リカの方がお姉ちゃんなんだからいう事聞かないとダメなのよ!」
その時、玄関からインターフォンの音がした。
「はーい、すぐ出ます」
喧嘩しているふたりの対応に経験した事のない疲れが襲ってくる。
ユキはにげだした……。
玄関には宅配便のお兄さんが待っててくれた。
ご苦労様、と荷物を受け取った時、奥でふたりの泣き叫ぶ声がした。
頭が真っ白になって、荷物を持って慌てて戻る。
すると、画面が真っ黒になったスマホと、泣き叫んでるふたりがいた。
「どうしたの?」
するとふたりがごめんなさい、と謝るばかり。
スマホを手に取ると、本体がすごく熱い。
ああ、ずっと動画ばっか見てたから電池切れかかも。
自分の部屋の充電器に差してみた。軽快な充電開始音が鳴る。
少ししてからもう一度触ってみよう。
「なおる?」
心配そうに部屋をのぞき込むふたり。
壊したかと思って心配してるのかな。
その時、台所の時計が12時を知らせる音がした。
落ち込んで小さくなってるふたりに聞く。
「お腹すかない?なんか食べよっか」
声をかけるとふたりは、大きくうなづいた。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
台所で冷蔵庫をのぞくと、キャベツと玉ねぎ、豚肉、ニンジンと、ツナ缶と卵がある。
「なんか食べれないものある?」
「お母さんが、卵は食べちゃダメって。ぶつぶつが出るから」
玉子禁止!!子供だからオムライスでいいやと思ってたけどダメだなぁ。
ううーーん。
野菜炒めでもいいかな。
1人暮らしの時に友達から教わった簡単料理。
豚肉を一口大に切り、玉ねぎも薄くスライスする。
ニンジンも少し短冊に刻む。
温めたフライパンに、油を少し入れて、豚肉を投入。
豚肉に十分火が通ったところに野菜を入れる。
野菜がしんなりしてきたらポン酢をひと回し。
で、完成。
ついでに、子供用の茶碗がなかったから、小さめのおにぎりを作る。
そしてふたりに出した。
「遠慮しないで食べて食べて!」にっこり笑うと、ふたりは
勢いよく食べ始める。
「わぁ、キャベツが甘いねーー」
「野菜のくせにおいしいぞーーおにぎりもうまいぞお」
リカちゃんもサトル君も喜んでくれて何よりだ。
お腹いっぱいになったふたりはすごく眠そうにしていたので、
座敷に布団を敷き、お昼寝してもらった。
布団で横になったとたん、ふたりは寝息を立てて寝始める。
寝入ったのを確認して、部屋にスマホの様子を見に行くと
やっぱりただの電池切れだったみたいで順調に充電ができてきている。
電源を入れると普通に使えるみたいだった。ほっとした。
それからすぐにトメさんの娘さんが帰ってきたらしく、ふたりを迎えに来てくれた。
「助かりました、本当にありがとうございました」
トメさんは、季節の変わり目で風邪を引いただけだったとのことで安心した。
ふたりは、眠い目をこすりつつ、また遊んであげるね!!と憎まれ口を言っていた。
「おれが大きくなった時にお嫁さんにしてやってもいいぞ!ごはんおいしかったからな」
サトル君からはプロポーズの予告をいただいた。
気の長い約束だな、と笑ってしまった。
そんなエミさんが、久々に友達のところへお出かけするという。
「夕方には帰ってくるから、留守番お願いね。荷物が届くことになってるのよ」
そういって、うきうきと出かけて行った。
久々に誰もいない空間にポツンと取り残された感のある時間だった。
庭の雑草取りでもしようかな、と用意していた時玄関が慌ただしくなった。
「エミさーーん、ちょっといいですか?」
誰だろう、と玄関に向かうと、お向かいのトメさんところの娘さんだった。
「どうされたんですか?」
「あ、ユキさん? あの、エミさんは?」
ちょっと切迫したような顔をしていた。何かあったんだろうか。
たしか娘さんは離婚して実家に帰ってきていて、子供さんがふたり居たようだけど。
「エミさんは、出かけてて夕方に帰ってくることになってますけど」
すると、すごく困った顔をしている。
「そうなの……。困ったわ、母が具合が悪くて病院に行かないといけないんだけど、
子供を少しの間見てもらおうと思ったんだけど……」
ええ、トメさん、なんかあったの?
いつも元気に表を掃除してる姿しか思い出せない。でも、困ってるよね。
「良かったらうちでちょっとだけ預かりましょうか?」
すると、娘さん、安堵した様子になって表で待たせていた子供ふたりを呼んだ。
おずおずと入ってきた7歳くらいの女の子と5歳くらいの男の子が入ってきた。
お母さんの後ろに隠れる。
「リカ、サトル、お母さん、おばあちゃんを病院に連れて行くから
ここでいい子で待っててくれる?」
ふたりとも、両手をあげて良い返事を返す。
「ここで待ってるねーー」
「じゃぁユキさん、お願いします。助かります」
「行ってらっしゃい。お大事にしてくださいね」
その時は、子供を育てた経験のない人が子供を預かる大変さがわかっていなかった。
後悔先に立たず……。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
子供が喜ぶ遊びってなんだる?と考えて、ふたりに提案してみる。
「お絵かきする?」 ふたりをみると、なんか冷めた目で見られた。
「つまんなぁい」サトル君だ。
「わたしたちのこと、こどもっておもってるでしょ?」リカちゃんが言う。
ええ?いや、子供でしょうよ。と、突っ込んでしまった。
私は大人なんだからこのぐらいちゃんと対応しないと。
「おねえちゃん、お留守番なんだよね、遊んでほしいなぁ~~」
ふたりは、顔を見あってにっこり笑う。
「おねえちゃん、ヒマなんだね、じゃぁ遊んであげるよ!!」
サトル君が宣言した。
…………ムカッ。いかんいかん。子供相手に怒るな自分!!
そう、自分をたしなめながら、大人の対応を試みた。
公園に遊びに連れてった方がいいのかなぁ、と思ったりもしたけど
エミさんから頼まれた荷物を待ってなきゃならないし。
下手に外に出れないわ。
仕方なく、スマホを出して子供に何が流行ってるか検索しようとすると、
「それ何?!」
と、ふたりが食いついた。
「これ? スマホ。ええっと、好きな動物って何?」
そうだ、動画サイトで好きそうな動画を見せてたら時間稼ぎになるかも!!
「えっとねー、うさぎー」リカちゃんが大きな声を出す。
ウサギを検索して動画を出してみる。ほのぼの動画がいっぱい上がってる。
はい、と見せると、リカちゃんが釘付けになる。
「かわいいいい!!!」
「あああ!!リカばっかずるい!!おれもおれも!!!」
サトル君が私の手からスマホを奪おうとする。
ぎゃあああ。買ったばっかなのよ~~~取扱注意でお願いします(涙目)
この時点でもだいぶ疲れたけど、しばらくするとスマホを巡って
兄弟げんかが勃発。
「さっきはサトルの好きなの見たじゃん、次はリカの番!!」
「リカは生意気なんだよ!俺のいう事聞けよー」
「サトルなんか生意気のぷりぷりプーだよ!!リカの方がお姉ちゃんなんだからいう事聞かないとダメなのよ!」
その時、玄関からインターフォンの音がした。
「はーい、すぐ出ます」
喧嘩しているふたりの対応に経験した事のない疲れが襲ってくる。
ユキはにげだした……。
玄関には宅配便のお兄さんが待っててくれた。
ご苦労様、と荷物を受け取った時、奥でふたりの泣き叫ぶ声がした。
頭が真っ白になって、荷物を持って慌てて戻る。
すると、画面が真っ黒になったスマホと、泣き叫んでるふたりがいた。
「どうしたの?」
するとふたりがごめんなさい、と謝るばかり。
スマホを手に取ると、本体がすごく熱い。
ああ、ずっと動画ばっか見てたから電池切れかかも。
自分の部屋の充電器に差してみた。軽快な充電開始音が鳴る。
少ししてからもう一度触ってみよう。
「なおる?」
心配そうに部屋をのぞき込むふたり。
壊したかと思って心配してるのかな。
その時、台所の時計が12時を知らせる音がした。
落ち込んで小さくなってるふたりに聞く。
「お腹すかない?なんか食べよっか」
声をかけるとふたりは、大きくうなづいた。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
台所で冷蔵庫をのぞくと、キャベツと玉ねぎ、豚肉、ニンジンと、ツナ缶と卵がある。
「なんか食べれないものある?」
「お母さんが、卵は食べちゃダメって。ぶつぶつが出るから」
玉子禁止!!子供だからオムライスでいいやと思ってたけどダメだなぁ。
ううーーん。
野菜炒めでもいいかな。
1人暮らしの時に友達から教わった簡単料理。
豚肉を一口大に切り、玉ねぎも薄くスライスする。
ニンジンも少し短冊に刻む。
温めたフライパンに、油を少し入れて、豚肉を投入。
豚肉に十分火が通ったところに野菜を入れる。
野菜がしんなりしてきたらポン酢をひと回し。
で、完成。
ついでに、子供用の茶碗がなかったから、小さめのおにぎりを作る。
そしてふたりに出した。
「遠慮しないで食べて食べて!」にっこり笑うと、ふたりは
勢いよく食べ始める。
「わぁ、キャベツが甘いねーー」
「野菜のくせにおいしいぞーーおにぎりもうまいぞお」
リカちゃんもサトル君も喜んでくれて何よりだ。
お腹いっぱいになったふたりはすごく眠そうにしていたので、
座敷に布団を敷き、お昼寝してもらった。
布団で横になったとたん、ふたりは寝息を立てて寝始める。
寝入ったのを確認して、部屋にスマホの様子を見に行くと
やっぱりただの電池切れだったみたいで順調に充電ができてきている。
電源を入れると普通に使えるみたいだった。ほっとした。
それからすぐにトメさんの娘さんが帰ってきたらしく、ふたりを迎えに来てくれた。
「助かりました、本当にありがとうございました」
トメさんは、季節の変わり目で風邪を引いただけだったとのことで安心した。
ふたりは、眠い目をこすりつつ、また遊んであげるね!!と憎まれ口を言っていた。
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