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あなたが寝てる間に5 (学食のスタ丼)
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エミさんが昏睡状態で目を覚まさない。
長年一緒に暮らしていたという家政婦のヨーコさんを探そうにも情報がなくお手上げだと思いっていたら思いがけないことに家に帰ったら当の元家政婦さんが家をのぞき込んでいた。さっそく情報収取をするべく話を聞くが、心当たりの人物はすでに墓の下で眠ってしまっているという。
目の前が真っ暗になる私だったけど、ヨーコさんが何か考えてる気がする。エミさんを助けたい気持ちは強く感じるから何かもう少し思い当ることがあるのかもしれないけど、なぜか私が質問するとスルーする。
一緒に付き添って帰ってきてくれたマサキさんの質問には真面目に答えるところを見ると、ヨーコさんのマサキさんへの愛情が見え隠れしてなんかモヤモヤする。
「明日、よかったら一緒にお見舞い行きませんか?」
私が提案するが、やっぱりスルー。いい根性してるわ、ヨーコさん。
「今日は遅いですし、泊まっていきますか?」
と提案すると、ふたりして声をそろえてダメという。
「あんたと同じ屋根の下なんてヤダ」
「だめだ。ふたりがたとえ一晩でも一緒にいるのは心配だ」
マサキさんの心配は分かる。この調子じゃぁヨーコさんとまともな人間関係築けるとも思えないし。
考え込んで込んでいると、いつの間にかヨーコさんがマサキさんの腕に自分の腕を絡ませてるし。
「マサキ君といっしょがいいなぁ♪泊めてよ~ね~~いいでしょぅ?」
ヨーコさん小悪魔のように笑う。なんか、そのしぐさにすごくモヤモヤする。
マサキさん、さすがにヨーコさんの提案を断るのかなぁと思っていると、ちょっと考えて仕方ない、と受け入れることにしたらしい。
ええええええええ!!!!!!なんでぇええええええ
頭の中で絶叫する私は思わず固まる。
「おふくろも居ないし、親父と兄貴もヨーコさんとは知り合いだから、大丈夫だろう」
マサキさんの一言の衝撃が強すぎて、あとの言葉が頭に入ってきません。
「きゃぁ♪ウレシイ!!マサトさんも居るのね。久しぶりだわぁ」
なんだこの取り残された感。 一気に疲れが出てきた。
話が一応の区切りを迎えたところで、マサキさんのお腹の音が鳴る。
そういえば今までご飯食べる時間がなかったなぁと思いだした。
朝から出かけて行ったから、ご飯はタイマーで炊けるようにセットしてあったからすでに炊き上がり、保温して4時間くらい経っていた。買い物行ってなかったしなぁと冷蔵庫を見ると、賞味期限が近いもやしと、木綿豆腐、豚小間が少しあったのでこの間エミさんから教えてもらったもやしのスタミナ丼でも作ろうかな。
「今からご飯作りますけど、ヨーコさんはどうします?」
すると、いらないわよ、というかと思ったヨーコさんのお腹の音も聞こえてきた。
「じゃぁ、簡単にすぐできるものでも作りますね」とさっそく調理に取り掛かった。
材料は木綿豆腐に もやしひとパック、ブタコマ少しとマーガリンに塩コショウ、醤油。
さっそくフライパンの準備をする。最近手に馴染んできた気がするエミさんの鉄のフライパン。
チャーハンもこれの方がおいしくできる気がするんだよね。
煙が出るまで温めたフライパンに、マーガリンをたっぷり入れて一口大に切った豚肉をしっかり炒めて、一口大に切りそろえた豆腐を入れ、もやしを洗って根を取ったものを入れる。
しんなりしてきたら醤油を回しかけて蓋をして蒸し焼きにして火が通ったら軽く混ぜ合わせる。
フライパンからいいにおいがあたりに漂ってくる。
いつの間にか台所のテーブルに丼が3つ用意されていてそれぞれのお箸が出してあった。
ヨーコさんがアシストしてくれているようだ。お腹空いてるんだねぇ、ヨーコさん。
ご飯を丼に盛り、出来上がった豆腐ともやしのマーガリン炒めを均等にご飯の上に載せていく。
エミさんのお友達の思い出の味らしい。どっかの学食のメニューなんだそうだ。
出来立ての丼に、エミさん直伝かんたんお澄ましもつける。
汁椀に鰹節をひとつかみ入れてとろろ昆布を投入、味の素をパラリと入れて醤油を回しかけカンカンにわかしたヤカンの熱湯を入れて完成。
丼がマーガリン使ってこってり居る分、あっさりと食べれるものがいいかなと思ったし。
マサキさんはお腹すいたーってがっつりかっ込んで男らしく豪快に食べてくれている。
ヨーコさん、無言で勢いよく食べているのを見て心の中でガッツポーズ。ありがとうエミさん。
私もさっそく食べ始める。 箸が丼にあたる軽やかな音意外静かな食卓。
結局、マサキさんがお腹がいっぱいになったと同時に睡魔に襲われて大変そうだったので応接間のソファで休んでもらうことにした。そりゃ、大量に輸血して、疲れ切っていたんだもの。お腹いっぱいになったら眠くなるよね。
「じゃぁ、マサキ君の傍で寝る♪」
ヨーコさんが満面の笑みで宣言するのでストップをかけさせていただきました。
「だめです!!一緒にだなんて!!そういえばヨーコさんの使ってた部屋、どこなんですか?そこで寝ればいいんじゃないですか?」
その一言にヨーコさんが少し考えると行って部屋が空き部屋になっていたらマサキ君と一緒に寝るからね!とにやりと笑っていた。
実は、この家で私もまだ入ったことのない区域があって、そこはここに帰ってくるかもしれない人がいるから、そのために置いてあるの、とエミさんから聞いていた。掃除もエミさんがやっていて私は立ち入り禁止でもないけど入ったことはない。きっとヨーコさんの為に部屋をそのままに保存していると踏んだのだ。
部屋を見に行くと、その部屋は昨日まで誰かが住んでいたかのように整えてあったのを見て、ヨーコさんが経ち尽くし、号泣。いろんな思い出がよみがえってきたようで、ここで寝るわ、と落ち着いてくれたので私もようやく休むことが出来た。
本当に今日は長い一日だった。
長年一緒に暮らしていたという家政婦のヨーコさんを探そうにも情報がなくお手上げだと思いっていたら思いがけないことに家に帰ったら当の元家政婦さんが家をのぞき込んでいた。さっそく情報収取をするべく話を聞くが、心当たりの人物はすでに墓の下で眠ってしまっているという。
目の前が真っ暗になる私だったけど、ヨーコさんが何か考えてる気がする。エミさんを助けたい気持ちは強く感じるから何かもう少し思い当ることがあるのかもしれないけど、なぜか私が質問するとスルーする。
一緒に付き添って帰ってきてくれたマサキさんの質問には真面目に答えるところを見ると、ヨーコさんのマサキさんへの愛情が見え隠れしてなんかモヤモヤする。
「明日、よかったら一緒にお見舞い行きませんか?」
私が提案するが、やっぱりスルー。いい根性してるわ、ヨーコさん。
「今日は遅いですし、泊まっていきますか?」
と提案すると、ふたりして声をそろえてダメという。
「あんたと同じ屋根の下なんてヤダ」
「だめだ。ふたりがたとえ一晩でも一緒にいるのは心配だ」
マサキさんの心配は分かる。この調子じゃぁヨーコさんとまともな人間関係築けるとも思えないし。
考え込んで込んでいると、いつの間にかヨーコさんがマサキさんの腕に自分の腕を絡ませてるし。
「マサキ君といっしょがいいなぁ♪泊めてよ~ね~~いいでしょぅ?」
ヨーコさん小悪魔のように笑う。なんか、そのしぐさにすごくモヤモヤする。
マサキさん、さすがにヨーコさんの提案を断るのかなぁと思っていると、ちょっと考えて仕方ない、と受け入れることにしたらしい。
ええええええええ!!!!!!なんでぇええええええ
頭の中で絶叫する私は思わず固まる。
「おふくろも居ないし、親父と兄貴もヨーコさんとは知り合いだから、大丈夫だろう」
マサキさんの一言の衝撃が強すぎて、あとの言葉が頭に入ってきません。
「きゃぁ♪ウレシイ!!マサトさんも居るのね。久しぶりだわぁ」
なんだこの取り残された感。 一気に疲れが出てきた。
話が一応の区切りを迎えたところで、マサキさんのお腹の音が鳴る。
そういえば今までご飯食べる時間がなかったなぁと思いだした。
朝から出かけて行ったから、ご飯はタイマーで炊けるようにセットしてあったからすでに炊き上がり、保温して4時間くらい経っていた。買い物行ってなかったしなぁと冷蔵庫を見ると、賞味期限が近いもやしと、木綿豆腐、豚小間が少しあったのでこの間エミさんから教えてもらったもやしのスタミナ丼でも作ろうかな。
「今からご飯作りますけど、ヨーコさんはどうします?」
すると、いらないわよ、というかと思ったヨーコさんのお腹の音も聞こえてきた。
「じゃぁ、簡単にすぐできるものでも作りますね」とさっそく調理に取り掛かった。
材料は木綿豆腐に もやしひとパック、ブタコマ少しとマーガリンに塩コショウ、醤油。
さっそくフライパンの準備をする。最近手に馴染んできた気がするエミさんの鉄のフライパン。
チャーハンもこれの方がおいしくできる気がするんだよね。
煙が出るまで温めたフライパンに、マーガリンをたっぷり入れて一口大に切った豚肉をしっかり炒めて、一口大に切りそろえた豆腐を入れ、もやしを洗って根を取ったものを入れる。
しんなりしてきたら醤油を回しかけて蓋をして蒸し焼きにして火が通ったら軽く混ぜ合わせる。
フライパンからいいにおいがあたりに漂ってくる。
いつの間にか台所のテーブルに丼が3つ用意されていてそれぞれのお箸が出してあった。
ヨーコさんがアシストしてくれているようだ。お腹空いてるんだねぇ、ヨーコさん。
ご飯を丼に盛り、出来上がった豆腐ともやしのマーガリン炒めを均等にご飯の上に載せていく。
エミさんのお友達の思い出の味らしい。どっかの学食のメニューなんだそうだ。
出来立ての丼に、エミさん直伝かんたんお澄ましもつける。
汁椀に鰹節をひとつかみ入れてとろろ昆布を投入、味の素をパラリと入れて醤油を回しかけカンカンにわかしたヤカンの熱湯を入れて完成。
丼がマーガリン使ってこってり居る分、あっさりと食べれるものがいいかなと思ったし。
マサキさんはお腹すいたーってがっつりかっ込んで男らしく豪快に食べてくれている。
ヨーコさん、無言で勢いよく食べているのを見て心の中でガッツポーズ。ありがとうエミさん。
私もさっそく食べ始める。 箸が丼にあたる軽やかな音意外静かな食卓。
結局、マサキさんがお腹がいっぱいになったと同時に睡魔に襲われて大変そうだったので応接間のソファで休んでもらうことにした。そりゃ、大量に輸血して、疲れ切っていたんだもの。お腹いっぱいになったら眠くなるよね。
「じゃぁ、マサキ君の傍で寝る♪」
ヨーコさんが満面の笑みで宣言するのでストップをかけさせていただきました。
「だめです!!一緒にだなんて!!そういえばヨーコさんの使ってた部屋、どこなんですか?そこで寝ればいいんじゃないですか?」
その一言にヨーコさんが少し考えると行って部屋が空き部屋になっていたらマサキ君と一緒に寝るからね!とにやりと笑っていた。
実は、この家で私もまだ入ったことのない区域があって、そこはここに帰ってくるかもしれない人がいるから、そのために置いてあるの、とエミさんから聞いていた。掃除もエミさんがやっていて私は立ち入り禁止でもないけど入ったことはない。きっとヨーコさんの為に部屋をそのままに保存していると踏んだのだ。
部屋を見に行くと、その部屋は昨日まで誰かが住んでいたかのように整えてあったのを見て、ヨーコさんが経ち尽くし、号泣。いろんな思い出がよみがえってきたようで、ここで寝るわ、と落ち着いてくれたので私もようやく休むことが出来た。
本当に今日は長い一日だった。
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