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虹のかなたに2
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色んな人に助けられながら、マサキさんと新しい一歩を踏み出すことになった私。
飲み会中に、タカシさんに呼ばれて、マサキさんに対する想いを問われ、託された。
「ユキちゃん、実は謝らないといけないことがあるんだ」
すまなそうに告げるタカシさん。なんだろう。すごーーく嫌な予感がする。
「タカシさん、私になにかしたんですか? 例えば警告文、とか?」
カマをかけてみたら、タカシさん、ハッとした表情で私の顔を凝視する。
その顔に、ああやっぱりかぁと納得した。
「タダの勘ですけどね。警告文、まだ実物見せてなかったのに文面のフレーズ、知ってたなぁ、なんでかなってちょっとだけ引っかかったんですよね」
すると、タカシさんは両手を合わせる。ごめん!って。
「それに、今までだったら取りに行くよってことはあっても、持ってきてなんて言わなかったですよね?危険があるようなことを避けるように対応してくれていたのに。危険がないってわかってるのかなって後からじわじわ違和感を感じてて、正直今のひと言で謎が解けました」
「マサキとは幼馴染だからさ、中途半端な覚悟で近寄って欲しくなかったんだよ。あいつは、ああ見えて繊細で傷つきやすいところあるから」
大切な親友だからこそ、タカシさんはタカシさんなりにマサキさんを守っていたんだな。
男の友情ってやつなんだろうか。
「ユキちゃんって、優柔不断なところがあるじゃない? 今、元カレがいろんなツレにそそのかされてもう一度復縁狙って動いてるって話が聞こえてきたから、ちゃんと突っぱねられるのか心配になったんだよ。マサキは、元カレに戻りたいって言ったら、ユキちゃんが幸せならって黙って身を引くような奴なんだ。自分のことは二の次で、常に大切な人間のこと一番に考えられる奴だから。でもそのあと深く落ち込んでしまうから、どこまで君が本気か確かめたかったんだ」
「タカシさんみたいな友達を持ってるマサキさんってホント幸せ者ですよね」
しみじみ思った。それを口に出してしまったことに気が付かないで、タカシさんが真っ赤になっている。
「そういえば、タカシさんって彼女いないんですか?」
「居るように見えるの?」
唐突な話をしてしまって、タカシさん面食らった顔をしている。
「そんな暇、無さそうかなって。八百屋のお母さんが心配してたんですよ。いい人いないかなぁって」
「まぁ、中途半端な気持ちで付き合ったら、相手に失礼じゃん。この人じゃなきゃって人が現れるまで保留だよ。好みのタイプは強い女なんだ。俺、マサキみたいに腕っぷし強くないから守らなくても自衛できる人がベスト。喧嘩上等みたいなの悪くないと思ってる」
「へえ。ヨーコさんみたいな?」
ヨーコさんの名前を出した途端に、タカシさんがドロドロのコーヒーを飲まされたみたいな顔になる。
「悪いけど俺、そっち系じゃないから」
??????
「あ・れ?まさか…………知らないとか……」
タカシさんは私が不思議そうにしているのを見て、しまったという顔をするけど、私には意味が解っていなかった。
「ええっと、ごめん、忘れて」
「何が?!なになに??」
追求しようとすると、タカシさん私の話を遮るかのように立ち上がり私の手を握る。
「マサキが嫌になったら俺のとこにおいで!!大事にするよ!!」
棒読みだ。明らかに嘘ってわかるのに、そのタカシさんの顔に剛速球でおしぼりが飛んできた。
「ごふっ」
「タカシ~~~!!!」
酔いと怒りで真っ赤になったマサキさんが飛んできた。
「ユキちゃんに手を出すなんて、いくらお前でも許さん!!!表に出ろ!!」
胸ぐらをつかんでいる。
違う違う、と止めに入って結局ヨーコさんの謎は闇に紛れてしまった。
その日の飲み会はしっちゃかめっちゃかな内に幕を閉じた。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
数日後、魚六は臨時休業してマサキさんとロクさん、そして初めてお目にかかりました、マサキさんのお兄さんのマサトさんと一緒に郊外の霊園にお墓参りに連れて行って貰うことになった。
マサキさんのお母さんは、マサキさんが高校卒業位の時に病気で亡くなったのだそうだ。
遺影を見せてもらったら、マサキさんによく似た優しそうなお母さんだった。
マサトさんは、主に外回りと仕入れを担ってるって言ってたから会うの初めてなんだよね。
やっぱり兄弟だなぁ。似てるけど、マサトさんの方がロクさんに似てちょっとゴツい。
港とかで漁師さんたちと渡り合ってるせいか貫禄もある。
「店をマサキに任せたのは失敗だったかなぁ。こんな可愛い彼女連れてくるんだもんなぁ。今度から役割交代するか?」
マサトさんは、冗談なのか本気なのかわからないような笑顔でつぶやいた。
車で1時間くらいの海の見える丘の霊園にはたくさんの木々が植わっている。
桜の頃は花見客もやってくるぐらい一面の桜に、風が吹くと桜吹雪が幻想的なのだそうだ。
今は、すっかり桜の季節は遠くなり青々と一面緑の葉が揺れている。
一番高いところに、マサキさんのお母さんは眠っている。
枯れた花を持ってきた新しいのに差し替えて線香に火をつけると手を合わす。
「かあさん、マサキにやっと嫁が来るよ。かわいい子だから見守ってやってくれ」
感慨深くロクさんつぶやいた。マサトさんもマサキさんも順番に手を合わす。
私も挨拶させてもらうことにした。
手を合わせ、心の中でマサキさんを大切にしますねと宣言した。
飲み会中に、タカシさんに呼ばれて、マサキさんに対する想いを問われ、託された。
「ユキちゃん、実は謝らないといけないことがあるんだ」
すまなそうに告げるタカシさん。なんだろう。すごーーく嫌な予感がする。
「タカシさん、私になにかしたんですか? 例えば警告文、とか?」
カマをかけてみたら、タカシさん、ハッとした表情で私の顔を凝視する。
その顔に、ああやっぱりかぁと納得した。
「タダの勘ですけどね。警告文、まだ実物見せてなかったのに文面のフレーズ、知ってたなぁ、なんでかなってちょっとだけ引っかかったんですよね」
すると、タカシさんは両手を合わせる。ごめん!って。
「それに、今までだったら取りに行くよってことはあっても、持ってきてなんて言わなかったですよね?危険があるようなことを避けるように対応してくれていたのに。危険がないってわかってるのかなって後からじわじわ違和感を感じてて、正直今のひと言で謎が解けました」
「マサキとは幼馴染だからさ、中途半端な覚悟で近寄って欲しくなかったんだよ。あいつは、ああ見えて繊細で傷つきやすいところあるから」
大切な親友だからこそ、タカシさんはタカシさんなりにマサキさんを守っていたんだな。
男の友情ってやつなんだろうか。
「ユキちゃんって、優柔不断なところがあるじゃない? 今、元カレがいろんなツレにそそのかされてもう一度復縁狙って動いてるって話が聞こえてきたから、ちゃんと突っぱねられるのか心配になったんだよ。マサキは、元カレに戻りたいって言ったら、ユキちゃんが幸せならって黙って身を引くような奴なんだ。自分のことは二の次で、常に大切な人間のこと一番に考えられる奴だから。でもそのあと深く落ち込んでしまうから、どこまで君が本気か確かめたかったんだ」
「タカシさんみたいな友達を持ってるマサキさんってホント幸せ者ですよね」
しみじみ思った。それを口に出してしまったことに気が付かないで、タカシさんが真っ赤になっている。
「そういえば、タカシさんって彼女いないんですか?」
「居るように見えるの?」
唐突な話をしてしまって、タカシさん面食らった顔をしている。
「そんな暇、無さそうかなって。八百屋のお母さんが心配してたんですよ。いい人いないかなぁって」
「まぁ、中途半端な気持ちで付き合ったら、相手に失礼じゃん。この人じゃなきゃって人が現れるまで保留だよ。好みのタイプは強い女なんだ。俺、マサキみたいに腕っぷし強くないから守らなくても自衛できる人がベスト。喧嘩上等みたいなの悪くないと思ってる」
「へえ。ヨーコさんみたいな?」
ヨーコさんの名前を出した途端に、タカシさんがドロドロのコーヒーを飲まされたみたいな顔になる。
「悪いけど俺、そっち系じゃないから」
??????
「あ・れ?まさか…………知らないとか……」
タカシさんは私が不思議そうにしているのを見て、しまったという顔をするけど、私には意味が解っていなかった。
「ええっと、ごめん、忘れて」
「何が?!なになに??」
追求しようとすると、タカシさん私の話を遮るかのように立ち上がり私の手を握る。
「マサキが嫌になったら俺のとこにおいで!!大事にするよ!!」
棒読みだ。明らかに嘘ってわかるのに、そのタカシさんの顔に剛速球でおしぼりが飛んできた。
「ごふっ」
「タカシ~~~!!!」
酔いと怒りで真っ赤になったマサキさんが飛んできた。
「ユキちゃんに手を出すなんて、いくらお前でも許さん!!!表に出ろ!!」
胸ぐらをつかんでいる。
違う違う、と止めに入って結局ヨーコさんの謎は闇に紛れてしまった。
その日の飲み会はしっちゃかめっちゃかな内に幕を閉じた。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
数日後、魚六は臨時休業してマサキさんとロクさん、そして初めてお目にかかりました、マサキさんのお兄さんのマサトさんと一緒に郊外の霊園にお墓参りに連れて行って貰うことになった。
マサキさんのお母さんは、マサキさんが高校卒業位の時に病気で亡くなったのだそうだ。
遺影を見せてもらったら、マサキさんによく似た優しそうなお母さんだった。
マサトさんは、主に外回りと仕入れを担ってるって言ってたから会うの初めてなんだよね。
やっぱり兄弟だなぁ。似てるけど、マサトさんの方がロクさんに似てちょっとゴツい。
港とかで漁師さんたちと渡り合ってるせいか貫禄もある。
「店をマサキに任せたのは失敗だったかなぁ。こんな可愛い彼女連れてくるんだもんなぁ。今度から役割交代するか?」
マサトさんは、冗談なのか本気なのかわからないような笑顔でつぶやいた。
車で1時間くらいの海の見える丘の霊園にはたくさんの木々が植わっている。
桜の頃は花見客もやってくるぐらい一面の桜に、風が吹くと桜吹雪が幻想的なのだそうだ。
今は、すっかり桜の季節は遠くなり青々と一面緑の葉が揺れている。
一番高いところに、マサキさんのお母さんは眠っている。
枯れた花を持ってきた新しいのに差し替えて線香に火をつけると手を合わす。
「かあさん、マサキにやっと嫁が来るよ。かわいい子だから見守ってやってくれ」
感慨深くロクさんつぶやいた。マサトさんもマサキさんも順番に手を合わす。
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