悪役令嬢になった3時間後に断罪イベントってありですか

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処刑の回避作戦

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 檻の中に入れられ、2週間ほどが経った。私は何不自由のない生活をしていた。
 変わったことといえば、私の父が私を出すように抗議していることと、ギルサンダーに私が地球から来たことと、この状態がゲームの世界であるということを打ち明けたことだ。



「はぁ、それなら納得です。シーナ嬢は地球っていう世界の日本っていう国の人で、その日本で流行っていた娯楽の中の物語が俺たちがいる世界ってことですか……。でも、なんかそれじゃあまるでシーナ嬢は神の1人みたいな感じですね。」

 ギルサンダーは笑いながら言ったが、あながち間違ってはいない解釈だろう。

「確かにそうかもね。でも、もう私が知っている物語では無いわ。こうして、あなたと会えたのだもの。」

 美月はギルサンダーに笑顔でそう言った。

「そ、それで、その悪禁?でしたっけ?その物語ではシーナ嬢はまたリサ嬢に嫌がらせをして、首を飛ばされるわけですけど、今のシーナ嬢はそんな気はないんで、もう安全なんじゃないですか?」

 

 
 ギルサンダーの言う通り、私がヒロインに嫌がらせをするシーナ=イライザではなくなり、処刑イベントには行かないことは確定したが……あの性悪王子のジークのことだから……。


 

「確かにその場合の処刑はないと思うわ。けれど、ジーク=ジルベールという男をギルサンダーは知らないのよ。あの男は一度決めたことは必ず実行する男よ。その結果、身分の高い私ですら、こうやって投獄しているじゃない。」

「確かに、伯爵家が公爵家の令嬢を牢に入れるなんてどうかしてますよね。」

 ギルサンダーは他人事のように笑いながら言った。



「そこで、ギルに手伝って欲しいことがあるのだけれど、手伝ってくれるわよね?」

「はいはい、公爵令嬢様。ここまで秘密を知ったんですから、手伝わなきゃ殺されそうですもんね。」


 私がギルサンダーに手伝いをお願いしたのは彼の性格に惹かれたからである。彼は本当に自由を求め、自分の面白いと思ったものには本気で取り組む姿勢をもっている。ここ2週間でそれがわかったから、私が転生したことも打ち明け、頼っているのだと思う。


「とりあえず、私はあと少しだけ牢の中にいることにするわ。私が出たら恐らく、状況確認などのため、ジルベール家とイライザ家で話し合いが行われるわ。そこで、私は勝負を仕掛ける。」

「そのための作戦を一緒に考えろってことですね。」

「そうよ。それと、あなたの権限で見張りを変わってくれないかしら?」

「なるほど、私以外の騎士も手中におさめようって腹ですね。」

「まあね。」

「それは面白そうです。」



 こうして、私は「ジークからの処刑回避大作戦」を練り上げた。




┈┈┈┈┈2週間後┈┈┈┈┈



「シーナ嬢、これ以上は無理ですよ。あなたのお父様のケルベルト殿が早く娘を出せといって、もうカンカンですよ。」

「確かに私の父は『かなりの過保護な親バカ』だからね。故にこの子も性格が曲がって育っちゃったんだろうね。」

「とりあえず、あと2、3日しかありません。」

「いや、もう大丈夫よ。あなたの部下も何人かはこちら側になってくれそうだし、そろそろこちらから仕掛けますか!!」



 こうして、私はその日牢をでた。




「おお!!シーナよ!何かこいつらに変なことはされなかったか?拷問なんかされなかったか?私の大切なシーナに指一本でも触れようとする馬鹿者がいたのなら、必ず言うのだぞ!そいつらを全員処刑してやる。」

 あぁ、物語通りの親バカだわ、私の父さんは。

「いや、みんな優しくしてくれたわ。それより、私がした事の重大さを反省して、これからは心を入れ替えて頑張ろうと思うの!」

「おぉ、なんて優しい子だ。私の娘は伯爵の三男程度のために反省もできるのか!!私の娘は最高だ。」 

 これは、想像以上ね。

「それより、これからジルベール家と話し合いをするのでしょう?」

「あぁ、そうだ。3日後に奴らとこの事の始末をどうつけるか話し合う。シーナ、悪いがお前もそこに出席してもらうことななってる。」

「大丈夫よ、任せて!!」

「さすがだ、我が娘!!!!!」
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