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檻の中での出会い
しおりを挟む私はパーティが終わって、檻の中へと入れられた。だが、思ったほど悪くは無い場所だった。机もあるし、ベッドもいいとは言えないけど、カプセルホテルくらいの質はあるかな。
さすがに私も令嬢だから、雑に扱う訳にはいかなかったのね。それが、このシーナ=イライザを付け上がらせた原因でもあるのだろうけど。
「シーナ嬢も大変ですね。婚約も破棄され、こんな所に閉じ込められて。」
この話しかけてくるフッ軽そうな金髪は私の監視役。監視役といっても、結構な役職らしくて、割と慕われているそう。
「まあ、しょうがないわよね。今までのシーナのやってきたことからしたら、こうなるのも自業自得だわ。」
「へぇ、まるでシーナ嬢がシーナ嬢本人じゃないみたいな言い方しますね。それに、なんか性格変わりましたか?」
この男、かなりの美形だがデリカシーがない。でも、その方が話しやすくていいわ。それに、口も軽そうだから、情報も得やすい。
「まあね、私も考えを改めようかなって思ったのよ。リサちゃんに手を出したのは私の八つ当たりだったのよね結局は。」
「あぁ、ジーク様の新たな婚約者のリサ嬢ですか。彼女は平民っていうんだから、驚きですよね。伯爵家のジーク様と平民が婚約するって言って、世間は大騒ぎですよ。」
「ジークって伯爵家だったんだ。え、私って子爵?それとも男爵?」
「何を言ってるんですか、シーナ嬢。シーナ嬢は公爵家の令嬢じゃないですか!!」
「あ、そうなんだ。」
えぇ!!そうだったの!ジークよりも爵位上だったんだ!てか、よくジークはそんな状況で婚約破棄したわね。
「私、ショックでちょっと記憶が定かじゃないのよ。だから、色々な事を教えてくれない?」
私はこの監視役こと、ギルサンダーに色々な事を教えてもらった。そして、ギルサンダーは伯爵家の三男だということが分かった。
「えぇ、ギルサンダー、あんたっていいとこのボンボンだったの!!」
「まあ、そうですね。でも、今となっては家との関係はあまりないですけどね。兄さんが爵位も継ぎますし、三男の俺はあんまりすることないんですよ。だから、昔から憧れてた騎士を目指そうかと。」
ギルサンダーは伯爵家の繋がりということでジークのいるジルベール家で騎士をやらせてもらっているそうだ。
「やっぱり、俺は現場とかにいる方がいいですし、貴族っていうのもなんか性にあわないんですよね。」
「へぇ、あんた面白いわね。」
でも、このギルサンダーってのは物語には出てこなかったはず……。
「それにしても、シーナ嬢は噂とは全然、印象が違いました。性悪令嬢って聞いてたんでどんなもんか見たかったんですけど、気さくで面白い方でしたよ。」
「それは、よかったわ。それより、ギルサンダーに聞きたいのだけど、私はここから出られるのかしら?」
「あー、多分出られますよ。というか、俺が出してあげますよ。自分は騎士団長やってるんである程度の権限ありますからねぇ。」
「え、騎士団長なの?そんななんかヘラヘラしてて?」
「ひどいですねぇ、ちゃんと実力はありますから!」
ギルサンダーは騎士を統括する騎士団長なのだそうだ。その権限は国内でも大きく、ある程度のことはギルサンダーに一任されている。
「とりあえず、今は出さなくていいわ。あなたともう少しお話したいし、今の状況を整理したいわ。よかったら、紙とペンを用意してもらえるかしら?」
少しだけ光が見えてきた。ギルサンダーの力を使えば処刑をさけられて、平穏な日常に戻れるかも。
そのためには私が知っている悪禁の情報と現状をしっかり整理して、その後に対策を考える必要がありそうだわ。
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