悪役令嬢になった3時間後に断罪イベントってありですか

ss

文字の大きさ
2 / 5

檻の中での出会い

しおりを挟む


 私はパーティが終わって、檻の中へと入れられた。だが、思ったほど悪くは無い場所だった。机もあるし、ベッドもいいとは言えないけど、カプセルホテルくらいの質はあるかな。
 さすがに私も令嬢だから、雑に扱う訳にはいかなかったのね。それが、このシーナ=イライザを付け上がらせた原因でもあるのだろうけど。


「シーナ嬢も大変ですね。婚約も破棄され、こんな所に閉じ込められて。」


 この話しかけてくるフッ軽そうな金髪は私の監視役。監視役といっても、結構な役職らしくて、割と慕われているそう。


「まあ、しょうがないわよね。今までのシーナのやってきたことからしたら、こうなるのも自業自得だわ。」

「へぇ、まるでシーナ嬢がシーナ嬢本人じゃないみたいな言い方しますね。それに、なんか性格変わりましたか?」


 この男、かなりの美形だがデリカシーがない。でも、その方が話しやすくていいわ。それに、口も軽そうだから、情報も得やすい。


「まあね、私も考えを改めようかなって思ったのよ。リサちゃんに手を出したのは私の八つ当たりだったのよね結局は。」

「あぁ、ジーク様の新たな婚約者のリサ嬢ですか。彼女は平民っていうんだから、驚きですよね。伯爵家のジーク様と平民が婚約するって言って、世間は大騒ぎですよ。」

「ジークって伯爵家だったんだ。え、私って子爵?それとも男爵?」

「何を言ってるんですか、シーナ嬢。シーナ嬢は公爵家の令嬢じゃないですか!!」

「あ、そうなんだ。」


 えぇ!!そうだったの!ジークよりも爵位上だったんだ!てか、よくジークはそんな状況で婚約破棄したわね。


「私、ショックでちょっと記憶が定かじゃないのよ。だから、色々な事を教えてくれない?」

 私はこの監視役こと、ギルサンダーに色々な事を教えてもらった。そして、ギルサンダーは伯爵家の三男だということが分かった。


「えぇ、ギルサンダー、あんたっていいとこのボンボンだったの!!」

「まあ、そうですね。でも、今となっては家との関係はあまりないですけどね。兄さんが爵位も継ぎますし、三男の俺はあんまりすることないんですよ。だから、昔から憧れてた騎士を目指そうかと。」


 ギルサンダーは伯爵家の繋がりということでジークのいるジルベール家で騎士をやらせてもらっているそうだ。


「やっぱり、俺は現場とかにいる方がいいですし、貴族っていうのもなんか性にあわないんですよね。」

「へぇ、あんた面白いわね。」


 でも、このギルサンダーってのは物語には出てこなかったはず……。


「それにしても、シーナ嬢は噂とは全然、印象が違いました。性悪令嬢って聞いてたんでどんなもんか見たかったんですけど、気さくで面白い方でしたよ。」

「それは、よかったわ。それより、ギルサンダーに聞きたいのだけど、私はここから出られるのかしら?」

「あー、多分出られますよ。というか、俺が出してあげますよ。自分は騎士団長やってるんである程度の権限ありますからねぇ。」

「え、騎士団長なの?そんななんかヘラヘラしてて?」

「ひどいですねぇ、ちゃんと実力はありますから!」

 ギルサンダーは騎士を統括する騎士団長なのだそうだ。その権限は国内でも大きく、ある程度のことはギルサンダーに一任されている。


「とりあえず、今は出さなくていいわ。あなたともう少しお話したいし、今の状況を整理したいわ。よかったら、紙とペンを用意してもらえるかしら?」


 少しだけ光が見えてきた。ギルサンダーの力を使えば処刑をさけられて、平穏な日常に戻れるかも。
 そのためには私が知っている悪禁の情報と現状をしっかり整理して、その後に対策を考える必要がありそうだわ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

嘘からこうして婚約破棄は成された

桜梅花 空木
恋愛
自分だったらこうするなぁと。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

処理中です...