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4話 第三王子の実力
しおりを挟む「よーし、みんな集まったな。」
ベガスに言われ、特待生12人は体育館の4倍ほどの広い訓練場に集まった。
「まっ、言わなくても分かると思うが、お前ら、ここで戦え。とりあえず、最初はリュカとリザだ。」
リュカと戦うのは身長が150cmほどの白髪の低身長の女の子だった。
「とりあえず、ルールは簡単だ。俺がやめと言うまでか降参って相手が言うまでだ。わかったか?」
「わかったわ。」
コクッ
リュカは元気よく返事をしたが、それとは対極的にリザは頷くだけだった。
2人は訓練場の真ん中に立ち、他の生徒は少し離れたところから見学している。
「まっ、俺がいる限り死ぬことは無いから頑張れよ。」
そういって、ベガスは始まりの合図を出した。
「特待生なんだから、焼けないように止めて見せなさい!!」
そう言ってリュカは半径5mほどの大きな炎の渦を手からリザに向けて放った。
瞬く間にその炎はリザの元へと近づいていった。
「へぇ、あれが【炎帝】か。凄まじい熱さだね。こんなに離れていても燃えそうだよ。ね、彼氏くん?」
「…………え?俺ですか?」
「そうだよ。君は彼女と一緒に学校に来てただろ?だから、彼氏なのかなって……違ったかい?」
レオに話しかけてきたのは身長は165cmと少し低めの黒髪イケメンだ。
服装からしてかなりの位の高い人なのだということはレオが見てもわかった。
「あ、違います。たまたま住んでいるところが近くて馬車が一緒だっただけです。」
「そうなんだ。あ、ごめんごめん。名乗るのを忘れてたね。僕はこの国の第三王子のマルコだよ、よろしく。」
レオが話していた黒髪イケメンはこの国、『シュバイン』の第三王子のシュバイン・ミシュ・マルコなのであった。
「王子様だったのですね。」
「…………君、さては僕のこと知らないでしょ?」
「あ、すみません。田舎出身なものでそういうのには疎くて。ちなみに俺はレオって言います。」
「面白いね、君。友達になろう!」
ガッ
マルコはレオに握手を求め、それにレオは応じた。
「それにしても、リザって子は大丈夫なんですかね。リュカの炎を浴びて本当に……。」
「あー、それなら大丈夫だと思うよ。彼女のスキルは一度凍らせたら溶けることの無いほどの冷たい氷を操る【氷姫】の持ち主だからね。」
マルコのその言葉通り、リュカの炎がリザの元に近づくにつれ、炎の威力は弱くなり、大量の水蒸気が発生していた。
「今日もなんだか寒いわね…………。」
水蒸気が消えるとそこには平然としていたリザの姿があった。
「そうこなくちゃ。」
こうして、リュカが炎を放ち、リザがそれを氷で壁を作り守り続けるという状態が10分ほど続いた。
「はい、やめ。」
すると、それを見たベガスが2人の戦いを止めた。
「え、なんで止めたんだろう……。」
レオは2人の戦いが急に止まったことに理解が出来なかった。
そんなレオにマルコは声をかけた。
「あの2人の相性は互いに良くないんだよ。熱さに強い分寒さに弱く、寒さに強い分熱さに弱いんだよ。だから、この均衡は当分崩れることも無く、しばらく続く。実力がみたい先生からしたら、2人の力は互角という判断をくだし、次々と生徒たちの戦いを見たいんだろうね。」
「なるほど。」
マルコの説明を受けてレオは納得した。
そして、2人の試合が終わり、すかさず次の試合へと移行した。
その対戦カードはなんと、3mほどの巨人とマルコとの試合だった。
「レオ、僕の戦い方を見ていてくれ。」
「わかった、ちゃんと見ておくよ。」
3mほどの巨人の男の子の名前はゴンダダといって、巨人族なのだそうだ。
巨人族の平均身長は約4m半のため、ゴンダダは巨人族の中で見たらかなりの低身長なのである。
「じゃ、始め。」
ベガスの合図があるとゴンダダはマルコの方へと距離を縮めに来た。
『止まれ』
ビタッ
マルコの一言でゴンダダは時が止まったかのように静止した。
『跪け』
ドンッ
ゴンダダはマルコの前で跪いた。
「先生、これで充分じゃないですか?」
「そうだな……。そこまで!!」
一瞬にして、マルコは勝って帰ってきた。
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