9 / 16
09.国政
しおりを挟む「ほぉ、これが紙幣ですか。」
「あぁ、そうだ。紙幣を使うことによって、曖昧な金の流れを止めて、金の管理をする。金には番号をつけて、盗難防止や資金洗浄をさせないようにする。」
「ですが、紙で作るのは偽造されるんじゃないですか??」
「だから、そうならないように今真似出来ないような印刷具を作れる技術系技能を持った技術者を探してるんだ。」
蒼馬はこの世界の異能を使えば絶対的な信用を得られるほどの高技術な紙幣が作れると確信していた。
その予想は当たり、二週間ほどで人材が集まった。
「こちらが印刷具を作る方々です。」
「俺は大工のマルタです。異能は見たものの構造を瞬時に見破る「構造理解」です。今回は印刷具の本体を製作させていただきます。」
「私は付与師です。異能は物から物に特性を付与することが出来る「特性付与」です。」
「王よ、私はキリコと申します。異能は新たな言語を創造することが出来る「言語創造」です。私のような無能な異能者をお使いくださりありがとうございます。」
「わしは農夫をやっております、ドドです。わしは物に単純な動きを命令させて動かすことができる「稼働」をもってます。」
左からちっちゃい大工、つんつんメガネっ娘、おてんば娘、猫背のおじいさんと異様なメンバーだった。
「よし、では早速始めよう。作りはこうだ。絶対に偽造出来ない紙を量産したい。そして、それを機械に行わせたい。紙には規則性のある新たな言語を数十桁印刷し、こちらで本物かどうか確かめられるようにする。」
四人に蒼馬は説明した。
作成順序は……
1、キリコが新たな言語を創造する
2、創造した言語を規則性のあるように又同一の物ができないように印刷されるようにする
3、それを自動でやる機構を作る
4、そしてそれらを壊れない箱におさめる
「と、まあ、ざっくりはこれだ。キリコには言語の創造、じいさんと付与師には機構、マルタはそれをまとめあげて物を完成させろ。」
こうして、紙幣を作るための印刷具を作ることとなった。
見た目に反して能力が高かったおかげで4日ほどで完成した。
「おぉ、ソウマ様。これがおっしゃっていた印刷具ですか。」
「そうだ、これが世界を変えるぞ。ご苦労だったなお前ら。」
「いやいや、わしも久しぶりにわくわくしましたぞ。まさか あんな考え方があったとは。」
ドドに作ってもらったものは4つの板である。
四つのいたにはそれぞれ命令がされており、ある板が触れたら動き、もう一度特定のいたに触れた場合に静止する という単純なものだった。
簡単に印刷具の仕組みを説明すると、四つの板が円形の枠に設置されており、どれか一つの板を外さない限り、永遠に動き続ける永久機関が完成していた。
板がある特定の場所にいくと、印刷が行われる仕様になっており、板を外すと印刷をやめる。そして、またはめ直すと作動するというものだ。言わばエネルギー不要の電源のようなものだった。
「それぞれの役割を果たしてくれてありがとう。報酬の金貨十枚だ。そして、これを作ったみなに新紙幣の五十万ソウを渡す。これは金貨5枚分の価値になる。普及した際は使うといい。」
国に新紙幣が出来たため、蒼馬は次の作戦へと出た。
それは「紙幣の普及活動」である。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる