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3話 山賊

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 ウルリと龍馬は少し話をすると



「じゃあ、俺の荷台にでも乗って街まで連れていったやるよ。」



 ということになった。5人は荷台に乗って街へと行くこととなった。



「今から行く俺の住んでる街はっていって、ここら辺が領地でそれを治めている領主の公爵のアレクサンドラ様の奥様のカトレア様から取ってつけたんだそうだよ。」

「ほぉ、そうとうな愛妻家なのだろうな。」

「あぁ、それは領民にもそうで、ここザンビーク王国の中でも一二を争う素晴らしい貴族様さ。」



 ウルリの話を聞いていると五つ子がここに転移したのは幸運といえるものだった。



「そういえば、ジジ婆から聞いたんだが龍馬は加護があるんだろう?」

「どうやら、そうみたいだな。」

「それなら、他の4人もあるかもな。血統に加護っていうのは左右されるなんて話も聞いたことがあるからな。」

「なるほど、それは面白い話だね。」



 匠は加護について少し興味を示していた。



「ウルリ、近くにいるのは仲間か?」

「ん?なんの事だ?」

「8人くらいがこの馬車を囲むように追いかけてきてるぞ。」

「盗賊だ……。ここら辺に現れるって……。」



 猛は周囲に8人の男が5人を乗せたウルリの馬車を狙っている事に気がついた。



「匠、左側の3人は頼めるか?残りの5人は俺がやる。」

「任してよ、猛にい。」

「程々にしろよ。なるべく殺さないよに!だが、危険を感じたら手段を選ぶな!」



シュパッ



 動いている馬車から2人は同時に飛び出した。




「うわぁ!!」

「うおぉ……」



ガンッゴンッ



  知らぬ男たちの叫び声と金属音と鈍い音が森の中に響き渡る。



 数分すると2人は盗賊を引きずっていた。



「こいつらは極悪の山賊、快楽殺人集団のキューバリュース山賊だ…………。それをいとも簡単に……お前ら何もんだよ。」

「あ?こいつら弱かったぞ?そんなに大した強さはない。」

「まあ、それは猛にいだけね。さすがに俺は使っちゃったけど。」



 そう言って匠はハンドガンを見せた。



「ほう?使ったと言う割には火薬の匂いも発砲音もしなかったが?」

「よく気づいたね、龍馬。このハンドガンは完全消音機能その名もを搭載して、火薬の匂いは残留しないように工夫したんだ。」

「さすがは我が家の発明家だ。」

「えへへ。」



 明は自分の作ったものを龍馬に褒められ喜んでいた。



「それで、ウルリはこいつらはどうするのが正解だと思う?」

「野放しは出来ねぇ!!そんなことしたら村をジジ婆たちを襲うかもしれねぇからな!」

「それに関しては同意見だ。では、法に準ずるということで、こういう場合はどうするのが正解なんだ?」

「こいつらのやった事を考えれば絞首刑の後に市中引き回しが妥当だ。俺らがこいつらにあった場合も役所に差し出せば生死は問われてないし、やったこっちも罪に問われない。」



 それを聞いて龍馬は真っ先に山賊に近づいた。



スパッ


ブシュゥゥゥ



「リョウマ……お前……。」


 龍馬は刀を振り、山賊のリーダーらしき男の首をはねた。



ゴンッ


ピュンッ


ドンッ


グサッ



 他の4人も龍馬に続き、山賊の命を奪った。



「おい、龍馬。お前は直ぐに自分だけ背負おうとするよな。」

「そうだよ、龍馬にい。みたいな思いはもうさせないからね。」

「手を汚すなら僕らもだよ。」

「龍馬はすぐかっこつけるもんね。」




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 五つ子がまだ9歳の時、彼らは自らの才能を開花させ、世間的にも成果を出していた頃である。



「猛にい!すごいよ!15歳の歳上も倒したんだ!」

「あったりまえだ!!俺は負けない!」


 母は幼い頃に亡くなっており、父は忙しくて家にはほとんどいない状態で、その日も家には五つ子しかいなかった。



ガチャ



「父さんが帰ってきたのかな?」

「久しぶりに遊んでもらおうぜ!」



ダッダッダ


「猛!匠!こっちに来るな!!」

「龍馬、どうしたんだ!」


 リビングから玄関に行こうとした2人に焦ったような声で「来るな」という龍馬を2人は心配していた。


 
ダッダッダ

ゴンッ

ザクッ

ザクッ



ザクッ




 物音がしなくなったのを確認して、猛と匠は玄関を恐る恐る見に行った。


 するとそこには地面に倒れている見知らぬ大人の男との龍馬がいた。


 男はメディアに取り上げられる若き才能をもつ五つ子に嫉妬して、家を特定して皆殺しにしようとしていたと後にわかった。


 刃物や毒物を持っていたことと龍馬の年齢から一切の責任はないとして、事件は幕を閉じた。



 龍馬は2日ほどは落ち込んでいたが、すぐに立ち直った。

 しかし、他の4人は違った。

 「あの時自分がやっていれば、龍馬に心の傷を背負わせなくて済んだのに」

 と思い心に誓った。

「龍馬、いや、次に家族に危険が及んだら自分が助ける」




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「バカだな、本当にお前らは。」


 龍馬は呆れながらもどこか晴れた顔をしていた。

 殺した山賊の所持品とボスと思われる者の首をとり布に包み、役所へ提出することによって、懸賞金が貰えるとのことでそうすることにした。



「それにしても人を殺すってのはこんな感じだったのか。」


 猛は少し人を殺してしまったことを重く受け止めていた。


「確かにいい気はしないよね。でも、龍馬にい勘違いしないで。」

「そうだよ、確かに殺すのはいい気持ちじゃないけど、僕たち誰も後悔してないからね?」

「同意見~。」





 この出来事を機に5人は異世界へ来たという意識をさらに深めたのであった。
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