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2話 精霊と加護

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「というわけで、明日は皆で村に行くことにする。」

「それじゃあ、この家はどうするの。」


タッタッタッ



「その事なら大丈夫たくみ。敵を見つけたら迎撃するための大砲を付けといたから。」



 そう言ってダイニングに現れたのは銀髪がボサボサの身長165cmの白衣を来た天才発明家の明だった。



「大砲って何やってんのさ明にい。」

「だって、ここ地球じゃないんでしょ?じゃあ、大砲付けても捕まらないじゃん。あと皆の武器も作っといた。」


ジャラジャラ


「この刀は龍馬でナックルガードが猛で学はポーチに入ってる爆弾で匠はハンドガンね。」


 そう言って机の上に明は武器を置いた。



「おう、明はわかってるな。男は拳だな!!!」

「ハンドガンって……こんな物騒なもの持ちたくないんだけど。」

「爆弾ってすごーい!しかも小さい!どうなってんのこれ……。」

「この右の爆弾は煙幕弾で…………。」



 こうして、五つ子はこの家から出て街へと向かう準備を始めたのであった。




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「おぉ、来たのかのぉ。」

「少しの間世話になります。」

「いいんじゃよ、困ったらお互い様ですぞ。それより、行商人が来るまでは時間があるから、少し話を聞かせてほしいのじゃ。」



 こうして、村についた5人はおばあさんの家で茶を飲みながら行商人がくるまでの間、話すことにしたのである。



「ほぅ、それはとても楽しそうな世界ですな。」

「そうなんだよ、特にこのエジプトってとこはすごいとこでね!!」


 どうやらおばあさんと学はとても話が合うようでおばあさんと孫のような光景だった。



「龍馬、そういえばさっき外にいた男たち強そうだったな。」

「あぁ、彼らはギルさんとギロさんといってこの村を守っているらしい。」

「なあ、ばあさん。その2人と少し稽古してちゃダメかな?」

「いいと思いますぞ。あやつらも皆さんの事を気になるみたいなので話しかけてやってくださいな。」

「じゃあ、龍馬行ってくる。」

「ああ。」



  学も好奇心で猛についていき、村を回ってくるといいおばあさんの家を出ていった。



「それで、少し話を聞かせて欲しいんですが。」

「そんな丁寧な言葉で喋らなくていいですぞ。それと名乗るのを遅れてしまった、私の名前はジジといいますじゃ。皆さんも気軽にジジ婆と呼んでくだされ。」

「すまないな。では、ジジ婆に質問なんだが、この世界に来てから何かがおかしいんだ。わからないが、体調がいつもよりいい気がしたり、身体能力が上がっている気がするんだ。」



 龍馬は昨日から少しだけ自分が異世界に来てから何か調子がいいことを感じていた。



「それは恐らく龍馬しゃんにがついてるんじゃよ。加護は才ある者に神様がくださる力。自覚をすれば効果が発揮されるが、たまに龍馬しゃんみたいに敏感な方は加護があるとは知らずに加護の恩恵に気づけるものがいるんですぞ。」

「なるほど、加護っていうのは才ある者に対する先行投資ってやつなんだな。」



 ジジ婆の言う通り、龍馬、いや五つ子全員に加護が与えられていた。

 しかしそれを知るのはあと少ししてたからのことである。



「なるほど、加護ってやつのおかげなんだな。」

「それにしても神様愛されるとは本当に魂が澄んでおるんじゃのぉ。」

「 にも っていうのはどういうことなんだ??」

「いや、主らの周りにはがついているのじゃよ。」

「精霊?」

「精霊っていうのは自然の力を具現化したものと言われているんですぞ。大地や海、山や空なんていう自然の力が発生して出来た存在とされていて、精霊と契約したものはその自然の力の一部を借りることが出来るのじゃ。」



 そして、その精霊は清い心を持ったものを好み、逆に汚い心を持つものには災いを起こすと呼ばれているのだそうだ。



「精霊と契約することによってが使えるようになるんじゃ。」

「魔法?」

「えぇ、魔法ですぞ。火や水、土や風なんかを自由自在に扱えるようになるのですぞ。」

「精霊と契約はどうやってするんだ???」



 龍馬はジジ婆に質問が止まらなかった。



「契約は精霊の方から一方的にしかすることが出来ぬのじゃ。そして、契約すると契約した精霊の姿が見れるようになるのじゃな。」

「それだとおかしい。何故、ジジ婆は俺らの周りに精霊がいることがわかるんだ?」

「それは、私の眼が特別製じゃからですぞ。」


 そう言ってジジ婆は龍馬に赤く光る眼を見せた。


「精霊眼といって、精霊を見ることができるようになるんですじゃ。」

「なるほど。」

「そろそろ行商人が来るはずじゃから、外に出てみるといいですぞ。」


 そうジジ婆がいうと外から車輪が回る音が聞こえた。



ガラガラガラガラ



「ほれ、来ましたな。」

「じゃあ、匠行くか。」

「うん。明にい、起きて。」


トントン


 龍馬の後ろに座っていた匠は膝で寝ていた明を起こした。

 
 ジジ婆と3人が外に出ると馬に乗っていた金髪な細身の青年がいた。


「ジジ婆、来ましたよ。」

「ウリ坊かい。あんたに話を聞きたいって旅人しゃんがいるから、聞いてやんな。」

「あぁ、わかったよジジ婆。」



 ウリ坊と呼ばれる青年は村につくやいなやジジ婆に言われ、少し困惑している様子だった。



「おう、あんたらが旅人たちかい。この辺じゃ見ない顔だからわかったよ。俺はウルリっていうんだ、行商人してるんだが、これでも16歳だぜ!!」

「ほう、かなり若いのに1人で商売するとは中々見込みがありそうだな。」


 龍馬はウルリに同年代、しかも歳下で商売をしているということから興味を抱いていた。



「俺はまだまだだよ。街にいる師匠の下で働いていて、やっと半年前にこの村へ商売するのを許されたんだよ。」

「なるほど。それで聞きたいことなんだが、その街についてだ。」
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