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Ω
しおりを挟むΩは社会の役に立たない。発情期、妊娠、出産、子育て。だが、発情期以外は女性にもいえることだ。
女性の場合、妊娠から子育てまでしていても社会不適合者とは成らない。やはり発情期が問題なのだろうか。
…それとも、この容姿のせいか。
Ωの容姿はほとんどが中性的で整った顔立ち、身長も女性の平均身長とさほど変わらない。
一部の女性からは好かれるが、それ以上に嫌われる率も高い。
もう1つ問題がある。女性Ωはそうでもないらしいが、男性Ωの発情期はとても重く、そのせいで発情期を迎えたΩは妖艶な雰囲気をまとうものもいる。
それが、下品であり、社会の成功者たるαを貶めようとしていると言われることもある。
空の産まれた白河家のようにαが家系に多く存在する家は政治家、起業家などで成功している事が多いため、一族の子供もαである必要がある。
これからも一族を繁栄させ、大きくしてゆくのだから当然ではある。
しかし、その中にΩがいるのは歓迎されない。
…いらない存在だ。でも、もう生きて此処にいる。
では、どうするのが正解か?
……居ないものとして関心を持たないことだ。
それが空の境遇だ。
兄と弟の為に用意されたベビーシッターが居なくなった時、空は自分が生きて行くための事を考えた。
空に与えられた部屋は無いが、屋根裏のロフト部分を勝手に使っていた。
洋服は兄の賢一が捨てるように出した物の中から貰っていた。
…靴下も、下着ですらもだ。当然、裁縫は上手くなる。
そして食事。これはベビーシッターが居たときから子供用の食事作りを手伝っていた為、空の仕事になった。
この頃から、家中の家事は空の仕事になった。
学校にも通っていなかったため、時間だけはあったからなんとかこなすことができた。
それに、家事をすべてこなすことで自分の食事を確保する事もできたので悪いことばかりではないと思っていた。
…それが残飯であったとしてもだ。
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