Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 朝市から戻って朝食を食べていると昨日のザサという人がやってきた。
 昨日は目的地がこの街だったからと断られたが、自分は腕っぷしだけじゃないと売り込んできた。

「力業でなければ他は何が得意なの?」

「お!聞いてくれるか?俺は情報集めが得意なんだよね。どちらかといえばそっちの方が得意なんだけど普通は必要ないでしょ?」

…普通は必要ないでしょ…‥ね。もう一度来て売り込みしてきたという事は、僕達がそれを必要とする者だという情報を掴んだから?

…ふ~ん。どういう形で、どこら辺まで掴めてるのかな~。

「じゃぁ…得意技見せてもらっても良いですか?」

爺が 何をする気ですか と僕を見る。

 大丈夫だよ。特に隠さないといけない理由は無いけど面倒が嫌だったし、普段の街を知りたいから領主と名乗って無いだけだし。
 調べようとすれば僕が誰かくらいはわかるだろう。それを一晩でどのくらいの正確さがあるのかを知りたかった。
 
「はい、こちらで披露してもよろしいですか?」

「いえ、食事が終わったのに此処にいるのは邪魔でしょうから部屋に行きましょう。」

 部屋への移動中もザサはアピールを忘れない。そのアピールの中で凄く気になったのが【大工】だった。
……そっちを本職にするべきじゃない?

 部屋に入れて爺と僕の正面に立ってもらう。
爺と僕を交互に見て話し出した。

「俺は昨日門の所からお2人が来るのを見てました。毛並みが良くて躾の行き届いたポニーを3頭。
 旅人っぽいけど荷物が少なすぎた。
旅慣れた人ならあのくらいの荷物の人もいるけど、品の良い爺さんとどこかの坊ちゃんにしか見えないから違和感があった。
 でも連れてるのポニーだし、この街で旅支度を揃える事も有り得るから声をかけてみたんだ。

 話をしたら目的地がこの街っていうじゃないか。じゃぁ家の用心棒でも考えてみてくれって聞いてもダメだったから諦めようと思ったんだけど、思い出したんだ。新しい領主が来るっていう話を。」

 話をしながら僕達の変化を探ろうとしているようだ。ザサの視線が纏わりつく。僕はともかく爺にはムダだよ。
 やろうと思えば爺は表情どころか気配すら変わらずいられるから。それにこんな視線では探ってますよとバレバレだ。

 ザサが探れないのは爺のフォローを受けながら僕も演技しているからだ。
 爺は僕を主人にしているという雰囲気を出しても爺が主という行動をしている。僕は僕で実は主ですよという言動だがそっと爺の袖を握ったり視線を爺に向けたりして爺の意思を確認する行動も見せている。
 ぶっちゃけ、僕を気遣う爺と何処まで勝手を許してくれるか確認する僕といういつもの様子なんだけどね。

「新しい領主様はΩの12才。王族という身分から品は良いけど成長後の事情の為、普通の王族とは違う育てられ方をした。昨日、婚約者のグリフウッド領主様が街に来られてる。任命式があったという離宮からこの街までの距離と時間を考えれば……。
 貴方が領主様で…まちがい……な‥い?」









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