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閑話:海の上のデジレ様
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少し強めの潮風が心地良い。昼間の甲板は船員達がせわしなく動いているので苦手だが、夜の甲板は昼とは打って変わって艦が波をわって走る音しか聞こえない。この静けさは心を落ち着けさせてくれるので好きだ。
夜、私がここによく来ると知った船員が作ってくれたベンチに座り目を瞑る。
……いつだっただろうか、あの男と会ったのは。
確か、嵐が去った次の日だった筈だ。まだ時化の影響がある為どこの船も港に避難している日に悠然とこの国の船団はやってきた。
私はどこの馬鹿がまだこんな海をやってきたのか見てやろうと物見台に上がり、到着を待っていた。
いつもより存在感の強い護衛艦が先頭、それがあの男の乗る艦【オブシディアン】だった。
交易港の為大型艦も横付けできる港に入ったその艦は威風堂々としており今まで来たどの護衛艦よりも格上だとわかる。
なんとなく、この艦の艦長は挨拶に現れる気がして自分も領主館に戻った。
初めて会ったときのあの男に対する感情は〈油断ならない人物、だが…悪い者ではない。〉というのが本音のところだった。
勿論、交易相手の国の王族の1人とわかったため失礼な態度をとった事はない。しかし、交易の度に護衛として現れ会う回数を重ねるうちに〈意外に慎重で用心深い男だが包容力に溢れてる〉と知った。
……今、まさにその包容力を思い知らされているのだが。いや、あの男は…………
この私がグダグダと悩み考えるなど思ってもみなかった。
考えを中断してまた空を見上げた。
心を落ち着かせるにはやはりここが一番だ。
・・・ある船員の目撃談
俺は船乗りになってから20年のベテランだがこの船に乗ったのは今回が初めてだ。この【オブシディアン】は俺達の間では別名【敵なしの黒船】または【死神の黒船】と呼ばれてる。
やってる事は海賊と大して変わらないが相手の船の所属によって対応が変わる。隣の国のエルドゥドの船なんて優先的に保護するしな。
まぁ、艦長の嫁さんがその国出身のせいなんだが嫁さんって感じじゃない。噂には聞いていたが本当にαの男だったんだ。
……今は〈嫁〉って知ってるよ。だってさっきまで俺の目の前でヤってたんだから。
言ってやりたいよ。「船には見張り台ってのがあって、必ず見張り役がいる」ってな。
俺はマストの上の見張り台に居たんだよ。よく見える為の見張り台なんだから見えて当たり前だからな。
「だからここではダメだと言ってるんだ。部屋でならいくらだって…いや、少しなら」
「ここももう私達の部屋の内だろう?」
「ここは部屋の中では無い!バルコニーだっ!」
言い合ってる間にもボタンは外されシャツの裾は引き出されて手が腰を引き寄せている。デジレもダメだと言ってはいるが、足の間に差し込まれた膝を許してしまってる時点で本当にダメだとはとられないだろう。
艦長の口髭が刺激になるのかキスされた後、必ず「髭が…」と呟くのを本人だけは知らない。
夜、私がここによく来ると知った船員が作ってくれたベンチに座り目を瞑る。
……いつだっただろうか、あの男と会ったのは。
確か、嵐が去った次の日だった筈だ。まだ時化の影響がある為どこの船も港に避難している日に悠然とこの国の船団はやってきた。
私はどこの馬鹿がまだこんな海をやってきたのか見てやろうと物見台に上がり、到着を待っていた。
いつもより存在感の強い護衛艦が先頭、それがあの男の乗る艦【オブシディアン】だった。
交易港の為大型艦も横付けできる港に入ったその艦は威風堂々としており今まで来たどの護衛艦よりも格上だとわかる。
なんとなく、この艦の艦長は挨拶に現れる気がして自分も領主館に戻った。
初めて会ったときのあの男に対する感情は〈油断ならない人物、だが…悪い者ではない。〉というのが本音のところだった。
勿論、交易相手の国の王族の1人とわかったため失礼な態度をとった事はない。しかし、交易の度に護衛として現れ会う回数を重ねるうちに〈意外に慎重で用心深い男だが包容力に溢れてる〉と知った。
……今、まさにその包容力を思い知らされているのだが。いや、あの男は…………
この私がグダグダと悩み考えるなど思ってもみなかった。
考えを中断してまた空を見上げた。
心を落ち着かせるにはやはりここが一番だ。
・・・ある船員の目撃談
俺は船乗りになってから20年のベテランだがこの船に乗ったのは今回が初めてだ。この【オブシディアン】は俺達の間では別名【敵なしの黒船】または【死神の黒船】と呼ばれてる。
やってる事は海賊と大して変わらないが相手の船の所属によって対応が変わる。隣の国のエルドゥドの船なんて優先的に保護するしな。
まぁ、艦長の嫁さんがその国出身のせいなんだが嫁さんって感じじゃない。噂には聞いていたが本当にαの男だったんだ。
……今は〈嫁〉って知ってるよ。だってさっきまで俺の目の前でヤってたんだから。
言ってやりたいよ。「船には見張り台ってのがあって、必ず見張り役がいる」ってな。
俺はマストの上の見張り台に居たんだよ。よく見える為の見張り台なんだから見えて当たり前だからな。
「だからここではダメだと言ってるんだ。部屋でならいくらだって…いや、少しなら」
「ここももう私達の部屋の内だろう?」
「ここは部屋の中では無い!バルコニーだっ!」
言い合ってる間にもボタンは外されシャツの裾は引き出されて手が腰を引き寄せている。デジレもダメだと言ってはいるが、足の間に差し込まれた膝を許してしまってる時点で本当にダメだとはとられないだろう。
艦長の口髭が刺激になるのかキスされた後、必ず「髭が…」と呟くのを本人だけは知らない。
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