Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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イエイガー老

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 アーノルドに降ろしてもらって…今更だけど、優雅に……見える……うん、とにかく挨拶した。
 だって、イエイガー老ずぅーーっと笑ってるんだもん。

 しばらくたった頃ようやく笑うのを止めてくれたイエイガー老と話を始めた。イエイガー老は公爵の身分を譲って隠居したといってもイエイガー老の名は効果絶大。公爵は元は王族だしね。……で、情報収集なんてお手のもの。
 そのイエイガー老の集めた情報によると、貴族議会……貴族社会の中の問題や議題を提出して問題解決を計るところね。そこに僕の横暴さを訴える者がいたんだとか。

『ノエル・スサエナは卑しいΩなのに王家という高貴な所に生まれ、その幸運に胡座をかいている。
 生まれの責務を全うせず責務から逃げ、王都近くの街を有する領の領主としてやりたい放題を尽くしている。その結果、領地は疲弊し領民は休む暇なく働かされ困窮している。
 また、Ωを各地より集めΩの体質で優秀なαを籠絡し、籠絡できなかったαを侮辱している。
あまつさえ、αをたぶらかし子を宿した。これはαが多く存在する貴族社会にとって由々しき事態であるため我等は一丸となって制裁にあたりたい。』

 という訴えらしいのだ。

「さて、スサエナ領主のお考えをお聞かせ願いたいのだが…。」

 ……またアイツですか。もうあの人に関わりたくないのに。正直に言ってしまえばこう言いたいがさすがにこのまま言うわけにはいかないじゃない?だからなるべくスフトに…言おうと思ったんだけどね?

「もうあの人、僕に関わってほしくないです。」

 これでも優しく言ったと思うよ。この僕の答えにイエイガー老はまたもや大笑い。「そうじゃろう、そうじゃろう」って言いながら全部言ってしまえと促された……。

「ハァ~……。そもそも僕はれっきとした王族の1人なので呼び方からしておかしいですよ。略して呼ぶにしても“スサエナ領主”であって、ノエル・スサエナはありえません。次の“卑しいΩ”ですが、どこをどうもって卑しいというのでしょうか?個人の思い込みが激しすぎて色々と、どう指摘したら良いのやら…。」

 ハッハッハ!とまたもや大笑い。イエイガー老、本当に楽しそうですね。僕はため息の連続ですよ。

「うん、うん。お前さんの言いたい事は儂等もわかると思うぞ。儂等はαだがな…優秀なαに程“運命”が現れるものでな…大事な番をそう言われて腹を立てない者はいない。そもそもアレは貴族議会に何かを言う資格そのものが無いのじゃ。」

 ……え?“資格が無い”とはどういう?単純に貴族では無いというのか?でも前の処罰では当主交代の……あ!そういうこと?当主交代後、一族から除籍されたと……。まぁ、除籍されても当たり前の事やらかしたから仕方無いね。でも懲りずにまたやらかしたと…。
 「お前さんは本当に話が早くていいのぉ。フッフッフ…。」とやっぱり楽しそう。
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