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僕は猫か鼠かどっちだ?3
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「エル…すごいね?あの人達βなのにボク達の事可哀想だからって乗せてくれた。」
こんな事でも驚くトータは今までどんな扱いを受けてきたのかと思うとやるせない。
「坊や達、このままスサエナに向かうのは遅くなっちゃうから今日は俺達の宿舎に泊まろうな~。なーに、2人増えた所でメシの量は変わんないしちゃんと2人には鍵のかかる部屋をやるから安心していいぞ。領主様からも“旅人が困ってたら助けてあげて”と言われてるからそれ用に用意があるんだ。」
……うん。それ知ってたから助け求めたんだ。ゴメンナサイ。
でも自分の作った制度に助けられてる。過去の自分にこっそりサムズアップをおくっておこう。
「ありがとうございます。僕達はともかく子供達がいるので助かります。」
頭を下げるとトータも真似て頭を下げた。それから宿舎に着くまでおじさんに色々話を振られても返すのは僕だけでトータは頷いたりあいずちをうつだけで喋らなかった。具合が悪くなったかと思ったけど顔色は大丈夫なので人見知り?
宿舎に着いて荷馬車から降ろしてもらうと工事の監督者に僕達の事を言ってくるとおじさんは小屋へ消えた。
「エル、どうしてあんなに難しい話ができるの?ボク殆どわからない事ばっかりだったよ。」
ん?そんなに難しい話はしてないぞ?おじさんにスサエナではこの籠の中のものはいくらくらいで売れるかなって聞いていたけど。……あとは、βの人がΩ擁護のスサエナをどう思っているのかを聞いたくらいだ。だってαは優遇され、Ωは冷遇され貶めるのが当たり前の風潮がまだ残る世の中にいきなり正反対の事をする領主はどう思われてるのか気になるじゃない?
聞いた結果は思わずニヨついてしまうくらい高評価をいただいてる。あまりΩを特別にしているとは思われておらず、王都に近すぎて王都に居られない者が集まる冴えない街を変えた事はすべて良い方向に向かっている。
おじさんは僕達は何も知らなくて当然だからかΩで助けが必要な人はその力がつくまで保護してもらえるとか勉強して少しでも楽な仕事につくと良いとか色々と教えてくれてたんだよね。
「あ~、僕は秘密のΩだから……。」
「あ、そっか。やっぱりお勉強したの?」
……無垢な瞳が……。いっぱいお勉強したよ~ってごまかしたけどそれを本気で信じるトータがこれからちゃんとやっていけるか心配になった。
その日の夕食も次の朝食も、赤ちゃんにあげるミルクの為にいっぱい食べなさいと栄養のあるものを次々と食べさせてもらい工事の人達と同じお弁当までもらってまた荷馬車でスサエナを目指した。
「あと一刻しないでスサエナにつくから……あれ…。なんだ?」
御者のおじさんの言葉に前方を見ると兵士が3人道を塞いでいる。
サッと僕の血の気が引いた。あれはスサエナの兵士じゃない。出で立ちからそれなりに上の兵士だとわかる。
「その馬車止まれ!!」
横柄に手を上げて馬車を止めるとこちらに歩いてきた。隣のトータは怖さで震え、子供をギュッと抱きしめてる。その様子に一瞬、兵士に文句を言おうとしたけど普通のΩはこれが当たり前なんだと思い出してトータを抱き込むように抱きついた。
「お前たち!顔を見せろ!」
恐る恐るというように顔を上げていく。兵士は僕達2人の顔を確認するとフンッと鼻をならした。
「いたか?」
「いえ、違いますね。髪はどちらも金髪ですが肌は荒れ放題で汚れてますし、第一、手が汚い。」
失礼な!と思って見た手はガサガサで荒れ放題だった。
こんな事でも驚くトータは今までどんな扱いを受けてきたのかと思うとやるせない。
「坊や達、このままスサエナに向かうのは遅くなっちゃうから今日は俺達の宿舎に泊まろうな~。なーに、2人増えた所でメシの量は変わんないしちゃんと2人には鍵のかかる部屋をやるから安心していいぞ。領主様からも“旅人が困ってたら助けてあげて”と言われてるからそれ用に用意があるんだ。」
……うん。それ知ってたから助け求めたんだ。ゴメンナサイ。
でも自分の作った制度に助けられてる。過去の自分にこっそりサムズアップをおくっておこう。
「ありがとうございます。僕達はともかく子供達がいるので助かります。」
頭を下げるとトータも真似て頭を下げた。それから宿舎に着くまでおじさんに色々話を振られても返すのは僕だけでトータは頷いたりあいずちをうつだけで喋らなかった。具合が悪くなったかと思ったけど顔色は大丈夫なので人見知り?
宿舎に着いて荷馬車から降ろしてもらうと工事の監督者に僕達の事を言ってくるとおじさんは小屋へ消えた。
「エル、どうしてあんなに難しい話ができるの?ボク殆どわからない事ばっかりだったよ。」
ん?そんなに難しい話はしてないぞ?おじさんにスサエナではこの籠の中のものはいくらくらいで売れるかなって聞いていたけど。……あとは、βの人がΩ擁護のスサエナをどう思っているのかを聞いたくらいだ。だってαは優遇され、Ωは冷遇され貶めるのが当たり前の風潮がまだ残る世の中にいきなり正反対の事をする領主はどう思われてるのか気になるじゃない?
聞いた結果は思わずニヨついてしまうくらい高評価をいただいてる。あまりΩを特別にしているとは思われておらず、王都に近すぎて王都に居られない者が集まる冴えない街を変えた事はすべて良い方向に向かっている。
おじさんは僕達は何も知らなくて当然だからかΩで助けが必要な人はその力がつくまで保護してもらえるとか勉強して少しでも楽な仕事につくと良いとか色々と教えてくれてたんだよね。
「あ~、僕は秘密のΩだから……。」
「あ、そっか。やっぱりお勉強したの?」
……無垢な瞳が……。いっぱいお勉強したよ~ってごまかしたけどそれを本気で信じるトータがこれからちゃんとやっていけるか心配になった。
その日の夕食も次の朝食も、赤ちゃんにあげるミルクの為にいっぱい食べなさいと栄養のあるものを次々と食べさせてもらい工事の人達と同じお弁当までもらってまた荷馬車でスサエナを目指した。
「あと一刻しないでスサエナにつくから……あれ…。なんだ?」
御者のおじさんの言葉に前方を見ると兵士が3人道を塞いでいる。
サッと僕の血の気が引いた。あれはスサエナの兵士じゃない。出で立ちからそれなりに上の兵士だとわかる。
「その馬車止まれ!!」
横柄に手を上げて馬車を止めるとこちらに歩いてきた。隣のトータは怖さで震え、子供をギュッと抱きしめてる。その様子に一瞬、兵士に文句を言おうとしたけど普通のΩはこれが当たり前なんだと思い出してトータを抱き込むように抱きついた。
「お前たち!顔を見せろ!」
恐る恐るというように顔を上げていく。兵士は僕達2人の顔を確認するとフンッと鼻をならした。
「いたか?」
「いえ、違いますね。髪はどちらも金髪ですが肌は荒れ放題で汚れてますし、第一、手が汚い。」
失礼な!と思って見た手はガサガサで荒れ放題だった。
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