Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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最後の手段

 今僕の目の前にはアーノルドがいた。何の知らせも受けてなかったので髪はグチャグチャだし、ついさっきまではエンジュにミルクやりしていたから服も乱れてる。でもそんなことは頭から綺麗にふっとんだ!

「アーノルド!」

 見つけた瞬間、抱きつきに行こうとしたら僕をグイッと止める手が……。

「母様、ここ階段!絶対に途中で転げ落ちるから父様が来るまでじっとしてて!」

 なんとも頼もしい。シモンの行動とお言葉……。思わず心に“じーん”ときてしまい、(こんないい子が手元から去って行こうとしてる)なんて思ってしまい涙が浮かび上がってきた。じんわりと目元に浮かんだ涙を見たシモンは慌てて「ごめんなさい!言葉強すぎた?怒ってないよ?ごめんね?」と謝り倒している。

「大丈夫だよシモン。ノエルはシモンがしっかりした子に育ってくれたのが嬉しいのだよ。」

 ノエルが動いた瞬間やはり同じ事を思ったアーノルドはシモンが正しいと頷きながら近寄ってきた。
階段を上がりシモンからノエルを受け取ると抱きしめて「ただいま」と言ったあとボソボソと内緒話をした。
 周りは仲のよい番で結構な事だと見守っていたが唯一ノエルの側にいたシモンにはしっかりと聞こえてしまった。

「私達に心配をかけるなんて悪い子だ。今日はお仕置きだよ?明日と明後日の分の仕事を誰かにまわしておきなさい。」

 聞こえてからしばらくは意味がわかっていなかったシモンは何気無くノエルを見て……悟った。解ったとたんに羞恥が込み上げてくる。自分の親の“愛の営み”予定を聞かされた挙げ句母親がポーッと可愛らしく父親を見上げてる光景など刺激が強すぎだ。それに側を離れるタイミングを逃がしてしまったせいで顔が赤くなりつつあるのをアーノルドに見つかり笑われた。

「おやおや、シモンも意味が解るようになったのか。良かった良かった。何年か前は同じ事を言った私の前に立ちはだかって“母様を苛めちゃダメ!”と睨んだのに。そうだよ、私はノエルを愛してるがゆえに……ね?」

 堂々と“今夜ノエルを抱き潰す”宣言をし、おまけとばかりにシモンにとってあんまりな事を言った。

「ちょうどここに仕事を回せる人間がいたね。爺、シモンがどこまで出来るか見てみよう。見てやってくれ。二日間ぐらいの代行が勤まらない様子では連れていってもしょうがない。」

 しっかりおやり、と爺の方にシモンを送り出した。送り出した一方ではノエルの腰にちゃっかりと手を回してノエルの腰のラインを楽しんでいる。
 シモンが「そんなぁ…」と情けない声で呟き助けを求めようとついノエルを見てまた後悔することになった。

「やぁだ…、シモンの前で。……もぅ……ダメだってば、アーノルド……」

 なんて、どこが嫌がってるのかと問い詰めてみたくなるほど期待しつつもモジモジしてる様子を目にした。そしてこれが“砂吐きそう”という事なのかと理解し、諦めて素直に爺の所に移動した。

「……爺、アレ……教育に悪いからチビ達連れて来ちゃって。母様の目がもう父様しか見えてないよ。」

 ため息と共に弟達を避難させる事を伝えた。そして二日間ですめばいいけど…と思ってしまいまたため息をついた。
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