Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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オロオロするカシス

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 しゅんとしょげた僕を慰める面々がいる。爺にトータの事を持ち出されて怯んだ僕にカシスが不用意な一言を言ったからだ。

「親友だ友達だ仲間だと言っておきながら忘れちゃうんだ。」

 呆れたというように投げかけられた言葉につい涙がボロボロと零れてしまった。
 よく考えれば良かった。一緒にいるときも離れてるときの手紙でもトータは華やかなお城の生活から一歩引いていて(そのかわり一般的な面白いことは積極的)パーティーの話がでないから忘れがちだけど、ローランドの愛人はしてるんだからそういう場にも出ることはあるだろう。

 もし、父様と母様が僕が贈った衣装を身につけていたら?ローランドに送られてないのを知った父様が自分の分の一着を分けたら?トータだけが持ってない事になる。皇太子の愛人という立場を良く思って無い貴族がそれを知ればトータをここぞとばかりに攻撃するだろう。『皇太子の兄に嫌われてる証拠だ』って言って。そんな風にやりそうな貴族は山程いる。だって皇太子に自分の血縁を嫁がせたいのに愛人が邪魔してるって言ってるのを僕は聞いた事があるから。
 
 こんな考えが一瞬のうちに頭をよぎって……大泣きした。

「ウゥゥ………ごめんね、……ごめんね、…ヒック、ヒック
……トータ。……ごべんねぇ~……グッス。トータが嫌いな訳じゃないの~。ズビズビ……ごべん~ヒックヒック」

「ちょ、ちょっと、ノエルなんでいきなり。」

「えっ!ええ、……あ、あの……えええええ。」

 泣き出した僕にカシスが驚いてわたわたとしてるのは目の端で見えたんだけど、僕にはもう気遣う余裕もなくて。

「ヒィイック……ズビズビ……ヒック、ヒック、トータ、いじめ……られヒック……ちゃぅう。」

 もう爺に抱きつくしかない。よしよしと抱えてもらいながら頭を撫でてもらって泣きまくった。

「ああ、もぅしょうのないお人ですねぇ。大丈夫ですよ?誰もトータを苛めてなんていませんよ?大丈夫です。」
 
 出遅れたアーノルドに爺が少し泣き止んだ僕を渡したけど僕は爺に引っ付いたまま。こういうときは爺が良い。アーノルドでもいいけど爺が安心するんだ。

 暫くしてようやく僕が落ち着くとデジレ様が「なぜこうなった」と聞いてきたけどまだ僕はしゃくりあげが収まらないので黙りだ。

「私からご説明しましょう。」と爺は僕が思ってしまった内容をそのまま伝えた。流石、僕を育てただけあって完璧だ。

「なるほど……それでトータが苛められると。ハァ
ノエル様、そうはならない。大丈夫だ。トータの分ならばノエル様のを分けてあげればよいだろう。どうせ1着2着ではなく何着も作っているのだろう?」

 爺に抱きついていた僕がピョコと顔をあげた。
そうか!僕とトータのサイズはほぼ同じ。どちらの服も似た感じだからトータにも似合うはず。
 僕が浮上したのがわかった爺はアーノルドの膝の上に僕を乗せアーノルドが抱えるように腕の位置を調整した。うん、ここまで復活したら爺じゃなくても大丈夫。でもアーノルドの袖はしっかり掴むよ。
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