Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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板スロープは怖い

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「さぁ~いこ~オーッホッホッホッホ!!」

 近いような遠いような所から王妃のご機嫌な笑い声が響いた。

「アーノルド、これ母様だよね?」

 まだ涙が乾きってない目で上目使いに見上げられてアーノルドはドキッとした。なかなかこういう様に儚げな目をしてくれないノエルに目を奪われる。
正直にいえば下半身に直撃だ。

「ああ、王妃様ももう上られてあちらこちら動いてらしたよ。」

 自分の腕の中で安心して落ち着いたノエルを抱き締めて匂いをかぐ。いつ嗅いでもふんわりと甘く良い香りだ。

「母様~、どこ~?」

 このまま押し倒してしまおうかとアーノルドが考えたとき、リリーの声が聞こえてきた。
ゆっくりと深呼吸し腕の中のノエルを見ると少し眠そうだ。

 「リリーが探してるぞ」とウトウトしてるノエルに伝えると首に腕を回してくる。……本格的に眠いらしい。動きたくないから連れていけということだ。
そんなときちょうど軽い足音が近づいてきた。

「リリー、こちらだ。」

「父様ここにいらしたのね。……母様大丈夫?」

 凭れてウトウトするノエルを心配そうに見ると頭を優しく撫でる。

「母様疲れちゃった?爺がね、出港は明日になるから一度船から降りましょうって言ってるのよ。だから父様にお願いしたいって。」

「ああ、わかった。リリーは王妃様と降りて来るか?ノエルを降ろしたら父様が迎えに来ても良いよ?」

「ホント?嬉しい~、……でもおばあ様が拗ねるかも。」

 聞けば王妃様の腕に抱かれて登って来たらしい。そのあとはノエルを探していらっしゃいと船室に入れられて探していたらしい。
 しかし降りるとなればまたあの板スロープを通る事になるのだがどうすれば怖がらせずに済むのだろうか。悩んだ末、アーノルドはいつもの横抱きではなくおんぶをすることにした。密着度が一番高いからだ。でもそれは杞憂だった……なぜならノエルはもうぐっすりと眠っていて桟橋であった提督に頬をつつかれても王妃にため息交じりに頭を撫でられても起きる気配は全くなかった。

 
 ノエルが目を覚ましたのは夜遅くだった。

「やっと起きたねノエル。爺が起きるまで眠らせた方が良いというから起こさなかったけどさすがに寝すぎだよ?」

 寝起きでポワポワしてるところを抱き締められると額を擦り付けて甘えたになる。

「さっき爺がノエルが夜中に起きた時のためにってスープとサンドイッチを持って来たんだ。まだ覚めてないだろうから少し食べようか。」

 しがみつくノエルをソファーに移して自分の膝の上にのせると甲斐甲斐しく世話をする。食べさせてもらってるとだんだんスッキリしてきたのかデザートの果物を与える頃には自分から手を伸ばしていた。

「船に乗るのってあんなに怖いの……。」

 すっかりあの板スロープがトラウマになったようなので可愛そうになり本当は違うと教えてあげる。

「船員だけが使う時はあんなものだけどね、客人や要人を乗せるときは板も硬いものになって揺れを防ぐためにもっとロープを張る。もちろん転落防止で横には目の細かい網が貼られるから全然違うよ。
マオは自分が平気だかだ気にしなかったんだろうね。」
 
 聞いたとたんに「良かった~」と安心したノエルはサンドイッチを全てたいらげた。
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