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フールフーガのお出迎え
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今日にもフールフーガが見えてくると爺から聞いた。ちょっと飽きてきたから嬉しいお知らせだ。こんなに船が暇だと思ってなかったから裁縫道具持ってこなかったんだよね。こんなことなら持ってくればよかった。フールフーガで買おう。
「何を言ってるんですか。あちこち動いて回ってはコウに迎えに来られてるのに。」
あれはマオが誘いに来るからよ~。僕のせいじゃないよ~。
「魚釣りしたいと言って困らせたのは誰です?」
いや、あれはフールフーガの港にイルカが居ると聞いてエサをあげたくなって……ゴニョゴニョ。
「読んでない本もまだいっぱいありますし、針は危ないので……編み物くらいにしてください。」
あ、爺が何を思ったのかわかった。“編み物させとけばおとなしい”って思ったんでしょ。絶対そうだ。爺、ニッコリ笑ってないで認めなさい。
「よしっ!爺、上陸後の予定は?」
「今回は王妃様とローランド様がいますので挨拶等は全てお二人のお仕事ですね。」
そうだろうとも。いきなりついてきたんだから面倒事は全て引き受けてくれなきゃ。僕は一保護者としているんだから。
「……一保護者、ですか?」(もう一度ノエル様という存在について考えてみていただきたいものですが……。)
爺、僕をじっと見つめてないで。言いたいことだいたいわかるから。……普通の親のつもりしてごめんなさい。
さぁ、気を取り直して次を聞こうか。
「……はい。ノエル様の主なお仕事は」
ちょっと待って!お仕事はって何?お仕事あるの?
「ありますよ何を言ってるんですか。王族がお他所に来たんですよ?それなりに挨拶と外交をして下さいね。ああ、ノエル様が規格外のΩだということはこの国では有名ですから。」
爺に反論しようとしたとき、ものすごい音が聞こえた。それと同時にこちらの船からもワァワァと人の声がうるさい。
「ちょ、ちょっと!なに?!なんなの!?」
何であれ子供達!
急いで隣の部屋の子供を抱え込む。……エンジュは寝てたけど。なんて図太い。リリーはじっとして動かないけど怯えてるっぽい。
「ノエル様、大丈夫ですよ。お出迎えのようです。」
いつの間にか確認に行ってた爺が教えてくれた。
「……派手なお出迎えだね?」
「ええ、おそらくは儀式用と思われるバイキング時代の船が8艘も来てますよ。見に行きませんか?」
甲板にあがると見えたのはなんとも派手な船の一団だった。昔の船らしく大きなマストが船の中央にあり、その帆がとても大きい。船体の色は赤で統一され、金色の模様替え美しい。船首の像は美しい女戦士が飾られて美しくも勇ましい船だ。
帆にはフールフーガの国旗も掲げてるから間違いなくお出迎えだね。
大きなドラにラッパ、鈴とか見えてないけど木琴みたいな音もする。近付くにつれてその大きな音はちゃんと曲として成り立っているものだと気づいた。その頃になると母様も甲板に出てきて……踊ってる。何気に昔から居るという侍女さんも一緒に踊ってるのを見るとフールフーガではよく使われる曲なのかな?
「爺は知ってる?」
母様を見ながら聞くと爺はフールフーガの伝統音楽で祭りでは必ず演奏されると聞いているらしい。そしてこの曲は身分の高い人が最初に踊るという決まりがあるとか。……ということは?
「何を言ってるんですか。あちこち動いて回ってはコウに迎えに来られてるのに。」
あれはマオが誘いに来るからよ~。僕のせいじゃないよ~。
「魚釣りしたいと言って困らせたのは誰です?」
いや、あれはフールフーガの港にイルカが居ると聞いてエサをあげたくなって……ゴニョゴニョ。
「読んでない本もまだいっぱいありますし、針は危ないので……編み物くらいにしてください。」
あ、爺が何を思ったのかわかった。“編み物させとけばおとなしい”って思ったんでしょ。絶対そうだ。爺、ニッコリ笑ってないで認めなさい。
「よしっ!爺、上陸後の予定は?」
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そうだろうとも。いきなりついてきたんだから面倒事は全て引き受けてくれなきゃ。僕は一保護者としているんだから。
「……一保護者、ですか?」(もう一度ノエル様という存在について考えてみていただきたいものですが……。)
爺、僕をじっと見つめてないで。言いたいことだいたいわかるから。……普通の親のつもりしてごめんなさい。
さぁ、気を取り直して次を聞こうか。
「……はい。ノエル様の主なお仕事は」
ちょっと待って!お仕事はって何?お仕事あるの?
「ありますよ何を言ってるんですか。王族がお他所に来たんですよ?それなりに挨拶と外交をして下さいね。ああ、ノエル様が規格外のΩだということはこの国では有名ですから。」
爺に反論しようとしたとき、ものすごい音が聞こえた。それと同時にこちらの船からもワァワァと人の声がうるさい。
「ちょ、ちょっと!なに?!なんなの!?」
何であれ子供達!
急いで隣の部屋の子供を抱え込む。……エンジュは寝てたけど。なんて図太い。リリーはじっとして動かないけど怯えてるっぽい。
「ノエル様、大丈夫ですよ。お出迎えのようです。」
いつの間にか確認に行ってた爺が教えてくれた。
「……派手なお出迎えだね?」
「ええ、おそらくは儀式用と思われるバイキング時代の船が8艘も来てますよ。見に行きませんか?」
甲板にあがると見えたのはなんとも派手な船の一団だった。昔の船らしく大きなマストが船の中央にあり、その帆がとても大きい。船体の色は赤で統一され、金色の模様替え美しい。船首の像は美しい女戦士が飾られて美しくも勇ましい船だ。
帆にはフールフーガの国旗も掲げてるから間違いなくお出迎えだね。
大きなドラにラッパ、鈴とか見えてないけど木琴みたいな音もする。近付くにつれてその大きな音はちゃんと曲として成り立っているものだと気づいた。その頃になると母様も甲板に出てきて……踊ってる。何気に昔から居るという侍女さんも一緒に踊ってるのを見るとフールフーガではよく使われる曲なのかな?
「爺は知ってる?」
母様を見ながら聞くと爺はフールフーガの伝統音楽で祭りでは必ず演奏されると聞いているらしい。そしてこの曲は身分の高い人が最初に踊るという決まりがあるとか。……ということは?
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