Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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街並み

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 艦から降りるときの色々はサクッと割愛して、桟橋に降り立った僕たちの前には母様の伯母さんやら従兄弟やら義兄弟とかが待っていた。……皆さん、王族や貴族ですよね?なんといいますか……自由なんだと感じた。服装もさることながら、伯母さんを差し置いて義兄弟という人が一番に駆けつけて母様をハグ。続いて来たのは学生時代の親友という人。
 こういう時の挨拶ってまず年齢と身分が高い人が代表で何か言うんじゃ無いの?本当に自由だね。

 一通り母様がもみくちゃにされて僕と子供達自慢をするとようやく街へと列が動く。
 ……ここで僕は非常に難しい選択をしなくてはいけなかった。
 何かって?……僕と同じくらいの人にはよくわかるはずだよ。……人垣は僕の目線を遮るんだ。つまり、異国の風景を肌だけじゃなくて目でちゃんとみたい僕は……見えないんだよ?!

「爺、見えない。……何も見えない。」

 好奇心に負けて爺に呟くと爺はクスクス笑いながら「意外と我慢しましたね」と言って僕を縦抱っこしてくれた。爺の頭の上まで僕の顔が来ると視線はグンっと変わる。因みにエンジュはもちろんリリーも抱っこされてる。珍しいのはアンリがリリーを抱っこしてる事だ。

「おばあ様はあの人だかりの中心です。危ないですからね。」

 僕の視線に聞いてもいないのにアンリは照れ隠しにそういうとリリーの頭を撫でる。なんだかんだと文句を言っていた時期もあるけどやっぱり自分の妹弟は可愛いんだねぇ。……特にリリーは唯一の女の子のせいかいっそう可愛がられている。あぁ、おとなしくて憎まれ口も叩かないせいかな?エンジュはちょっとヤンチャでヌイグルミを投げる癖があるからね。……なぜかヌイグルミだけなのよ。積み木とかの硬いオモチャは投げないの。『危なくないの選んで投げてるの?』って聞きたいくらいヌイグルミだけ。


「姫様のお子さんだ!」

 唐突に人だかりからちょっと外れた人から声をかけられた。……王族の癖ってすごいね。思わずニッコリ笑顔で手を振っちゃった。

「キャァア!姫様の?!」

 近くにいたお姉さんが僕に(爺に)突進してきた。思わずビクッてなったら横にいたコウが手で遮ってくれた。

「はーい、皆さーん、落ち着いてー。小さい子が怯えますよー。」

 大きな声よく通るで言ってくれたおかげで遠巻きに声をかけられるくらいでよくなったけど、せっかく抱っこしてもらったのに周りのお店とか服装とか見てる余裕がない!
 あああああ残念。

 コウが制してくれたおかげでその後はにこやかな笑顔と手を振ってくれたり、お花を渡してくれたりとした歓迎を受けて街並みを進んだ。時折漂ってくる凄く美味しそうな焼いたお肉の匂いと僕のお腹が戦うけど。今お腹がなったら絶対に爺に聞こえるから我慢!……クゥ~ゥ………。

 「ノエル様……。」

 ……ごめんなさい。我慢してるんですけどね。横にいたエンジュも涎だらだらだし、この匂いが悪いんだよ。
 なんて言い訳してたら見てしまった!マオ!!
あの子、居ないなと思ったらあんなとこで串に刺した焼き肉みたいなの食べてる!ずるい!
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