459 / 708
灯台
しおりを挟む
拓かれた港から東に小さな湾があり、遠浅に見えるそこはとても旗艦クラスの艦を製造、修理できる場所だとは思えない。だがほんの一部分だけ沖にある海溝から繋がる深い部分がある。
フールフーガでも選りすぐりの操船技術を持つ者がいる船だけがこの港のドッグを利用できた。
そこはカドラが先代の棟梁から受け継いだドッグだ。
このドッグを見下ろす位置に古い大灯台があり、そこをサミュエルとの合瀬場所として指定していた。
「で、なんでここを指定したのか聞いてるかなノエル?」
理由は聞いてないので首を横に振ったけど、僕が思っていた灯台とは全然違うものなので何か特別な場所なのではとは思っている。
サミュエル様を連れて来るとカドラさんが出迎えてくれた。後少し時間がたてば僕らはお暇する予定だ。
灯台は海に灯りを届ける役割だからその為の装置があれば良いのだろうと思っていたのだけど、ここはなんというか……家?家にキャンプファイヤーする場所がついてる?って感じなんだ。
「ええ、変わっているでしょう?ここは高台の上にありますから平地の灯台のように高い搭を建てる必要が無いんですよ。わざわざ重い燃料を上げたり整備の為に危険な作業をする必要が無いんです。」
僕らのコソコソ話を変わった灯台という話題だと勘違いしたのか、お茶を持ってきてくれたカドラさんが説明してくれた。そのカドラさんの後ろからお茶菓子を持ったサミュエル様が来て「私もお茶を淹れてる間に聞いたんです。本当に灯台なんですって。」とニコニコしている。
サミュエル様はここに着くまで僕にカドラさんがここでどうして待っているのかとずーーーっと気にして聞いてきた。本当の事を言うわけにもいかず、カドラさんが出発するときに言っていた「いつかサミュエル様を連れて行きたいと思っていたんです。とても大事な場所に一緒にいてほしくて。」という言葉を思い出して答えていた。
「カドラさんは大事な場所で一緒に過ごしてほしいみたいですよ。」
そう言うとサミュエル様は背景に花を出現させるように、とびっきりの笑顔&モジモジ ハワハワ ソワソワ と分かりやすい期待の仕方をした。よく『表情がコロコロ変わって見ていて飽きない』って言うけどこういう事を指すんだとわかった。
……僕もアーノルドや父様に言われる時はこういう感じなんだ~ってつい客観的に思っちゃった。
「ここはあのドッグを受け継いだときにここの管理も受け継いだのです。普段は灯台守りが居て灯を入れて一晩中見張るのですが、時折こうやって歴代の棟梁が見張るんです。」
「“時折”なのですか?灯台守りだけではいけない理由でも?」
「そうですね……私が先代から継いだ時は『船を造る者はその船の行く先も見極めろ』と言われました。まぁ灯台に灯を入れている事が“見極め”では無いことはわかりますし、行く先等も船大工が決める事ではないのですが所謂……棟梁としての責任と覚悟。の様なものを忘れるなという戒めだと思っているんです。」
フールフーガでも選りすぐりの操船技術を持つ者がいる船だけがこの港のドッグを利用できた。
そこはカドラが先代の棟梁から受け継いだドッグだ。
このドッグを見下ろす位置に古い大灯台があり、そこをサミュエルとの合瀬場所として指定していた。
「で、なんでここを指定したのか聞いてるかなノエル?」
理由は聞いてないので首を横に振ったけど、僕が思っていた灯台とは全然違うものなので何か特別な場所なのではとは思っている。
サミュエル様を連れて来るとカドラさんが出迎えてくれた。後少し時間がたてば僕らはお暇する予定だ。
灯台は海に灯りを届ける役割だからその為の装置があれば良いのだろうと思っていたのだけど、ここはなんというか……家?家にキャンプファイヤーする場所がついてる?って感じなんだ。
「ええ、変わっているでしょう?ここは高台の上にありますから平地の灯台のように高い搭を建てる必要が無いんですよ。わざわざ重い燃料を上げたり整備の為に危険な作業をする必要が無いんです。」
僕らのコソコソ話を変わった灯台という話題だと勘違いしたのか、お茶を持ってきてくれたカドラさんが説明してくれた。そのカドラさんの後ろからお茶菓子を持ったサミュエル様が来て「私もお茶を淹れてる間に聞いたんです。本当に灯台なんですって。」とニコニコしている。
サミュエル様はここに着くまで僕にカドラさんがここでどうして待っているのかとずーーーっと気にして聞いてきた。本当の事を言うわけにもいかず、カドラさんが出発するときに言っていた「いつかサミュエル様を連れて行きたいと思っていたんです。とても大事な場所に一緒にいてほしくて。」という言葉を思い出して答えていた。
「カドラさんは大事な場所で一緒に過ごしてほしいみたいですよ。」
そう言うとサミュエル様は背景に花を出現させるように、とびっきりの笑顔&モジモジ ハワハワ ソワソワ と分かりやすい期待の仕方をした。よく『表情がコロコロ変わって見ていて飽きない』って言うけどこういう事を指すんだとわかった。
……僕もアーノルドや父様に言われる時はこういう感じなんだ~ってつい客観的に思っちゃった。
「ここはあのドッグを受け継いだときにここの管理も受け継いだのです。普段は灯台守りが居て灯を入れて一晩中見張るのですが、時折こうやって歴代の棟梁が見張るんです。」
「“時折”なのですか?灯台守りだけではいけない理由でも?」
「そうですね……私が先代から継いだ時は『船を造る者はその船の行く先も見極めろ』と言われました。まぁ灯台に灯を入れている事が“見極め”では無いことはわかりますし、行く先等も船大工が決める事ではないのですが所謂……棟梁としての責任と覚悟。の様なものを忘れるなという戒めだと思っているんです。」
55
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる