Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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十数年ぶりの真実

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 「僕が自分の立場を理解したのはとても幼い頃でした。ですから何よりも自分が助かる為の事をしたんです。」

 髪の毛の色、目の色を変えた事は何よりも効果的だったもんね。

 「そう。まさか私達が貴方を城で見かける様になる前に姿を変える細工をしていたとは今でも信じられない。」

 あの頃を思い出す様にデジレ様も話に加わる。言葉では苦々しいと言いたいのだろうけど、デジレ様の声は面白い事を思い出した時のようで軽い。

 「ええ。そのおかげで私は城を出ても町で悠々自適に過ごしていました。城を出た日から、あちこちにいた兵に止められなかったのはこのお陰です。」

 「ああ、そうだな。あの頃はどの家からも捜索隊が出されていた。実をいえばノエル殿のあの店に行ったのはノエル殿を押す派閥ダッソス伯爵の私兵だったのだ。」

 ……なんと。十数年ぶりの真実ですが。僕を押す派閥?あったのか。

 「伯爵は後に私と手を組んだ。その時に街中心部から郊外にかけて一軒一軒家を回って捜索したと聞いている。伯爵は貴方を見つけてこっそり後宮へ送り込もうと自分の末妹の後宮入りをずっと打診していた。後宮に入ってしまえば王妃がずっと隠していけるからな。」

 なんと。そんな風に動いてくれてる人もいたのか。どうやら伯爵はあまり発言件の無い家だった為、僕を庇う事は出来なかったがとても慈悲深いと言われる人で色々と動いてくれていたらしい。……発言力無さすぎて影響は無かったのが残念だ。ああ、だから妹の後宮入りと見せかけて保護した僕を送り込もうとしたのね。あれ?じゃあ僕が王族復帰した時は?

 「伯爵はその働きと行動を王が認められ王都の管理を担う場についた。領地を与えられるという話もあったのだが伯爵自身が辞退したのだ。」

 そうだったんだね。知らなかった。じゃあそんな人が他にも?

 「……言いにくいが伯爵は希な人だ。大半が貴方を都合よく扱おうと企んだ。」

 じゃあデジレ様も希な人ですねぇ?僕を提督のお嫁さんにしようとしたらしいじゃ無いですか?

 これに驚いたのは陛下だった。

 「んんん?!ノエル殿を!?」

 「ご存知ありませんでしたか?私は父王から聞いたのですが、デジレ様は僕を保護し提督のお嫁さんにする事で守ろうとして下さった様なのです。」

 ……その提督のお嫁さんに今じゃ自分がなってる。なーんて言いませんよ?チラッと見ちゃったけど。目の前の陛下、デジレ様に視線を移したあと大爆笑して『息、苦しい』って言ってるけど。

 粗方話して陛下も大笑いして一息入れた頃にはもう日が落ちかけていた。

 「しばらくここで滞在されよ。今、皆を呼び寄せている。」

 うん、ここまでは僕も予想できた。
仲良くお話しして陛下の人となりも解ると気安い方と知ったから。でもね?『7日後の出港は世も一緒だ!』って……。

 思わず「ヴィ??」って声が出ちゃったのは仕方ないよね?
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