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船が来たぞ~
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隼ではなく影の者からの知らせだったため留守番役の3人はとても嫌な予感がした。昔からの幼なじみである4人のうち1人は今はスサエナで過ごし、3人は留守がちなアーノルドを助けるために力を貸していた。
そんなところに話にだけは聞かされていた王家の影と名乗るのがいきなり現れアーノルドからの急ぎの手紙を受け取ったのだ。内容はもちろんフールフーガから結納品を乗せた艦隊が到着するという知らせだ。率いるのは先代海軍提督、女公爵であり決して失礼の無いようにとあったがあまりの情報量の多さに3人揃って頭を抱えた。
続いて第二情報としてノエルから隼が届きそこには『アーノルドを急いで返す。僕も行く。王妃も来る予定。』と短すぎて単体では意味がわからない手紙だったが来たタイミングが良すぎて知らせを持ってきた影の者が懐から隼を出したのでは?なんてバカな事を考えるほど困惑していた。
そんな場の空気がちょっと治まったころに港の鐘が鳴らされた。『困ったから上の立場の人来て』の合図だ。3人は顔を見合わせて誰が行くのか擦り付けあったがらちが明けず3人で行った。
「やっと来たーーー!」
着岸の受付をしている係りの者が港と港町の境目の門で待ち構えていた。
現在の状況は提督の旗艦オブシディアンが港に停泊中、その縦の並びにコウの艦であるシルフィ-ドが。大型の船が停泊できる水深がある桟橋は3つだが既に1つは使ってるし他の交易船のためにも2つは空けておきたいが沖に大型軍艦が5隻もいては港に入り辛い。しかも停泊許可を求めてきた小船の人間の話ではなにやら国が関係してくる。もうこれは自分達の判断でやっちゃいけないだろうと鐘を鳴らしたらしい。
「ああ…うん。ありがとう。私たちも今知らせを承けたところでね混乱してる。」
「えーと、停泊許可を求めてきたのは何隻?」
「オブシディアン級1隻と一回り小さいもの1隻です。オブシディアン級は長期になり他は船を入れ換えながら荷を降ろして4隻終わったら出港すると。」
「小さいって言っても普通にこっちに止まる必要有るんだろ?充分大型船だよね。」
「……ねぇ、小舟の人呼んでくれる?」
3人中ただ1人、貴族籍をもつサミュエルが何かを思い付いたようだ。どう決めるにせよ最終的には今は唯一の貴族であるサミュエルが責任者になるのでイサムとイザクは黙って見守った。
「1つの桟橋に左右別れて停泊ですか?水深は?桟橋と桟橋の間隔は?」
桟橋と桟橋の間隔はオブシディアン級2隻を並べるならほぼ無いが他の船なら人間の身長1人分くらいが開く。水深は大丈夫だと思うが今オブシディアンのいる桟橋の反対側は使ったことがない。そう告げると小舟の人はじゃあ水深は見てくるよ…と海に飛び込んで確認してくれた。
「水深は充分だし漂着物もねぇ。」
結果、2つの桟橋をフールフーガに使わせるようにした。今オブシディアンが停泊している反対側に女公爵の艦、その縦並びに1隻。オブシディアンと並ぶように2つ目の桟橋に左右に別れて3隻をつける。そうすればどうにか3つ目の桟橋は普通に使えるし、荷を早めに下ろし終えれば4隻は出港するので2つ目の桟橋も使えるようになる。
……ただ、桟橋は片側だけを使うと想定していたので桟橋の幅は狭いだろうが。
3人は大きなため息をついてアーノルドの早い到着を心から願った。
そんなところに話にだけは聞かされていた王家の影と名乗るのがいきなり現れアーノルドからの急ぎの手紙を受け取ったのだ。内容はもちろんフールフーガから結納品を乗せた艦隊が到着するという知らせだ。率いるのは先代海軍提督、女公爵であり決して失礼の無いようにとあったがあまりの情報量の多さに3人揃って頭を抱えた。
続いて第二情報としてノエルから隼が届きそこには『アーノルドを急いで返す。僕も行く。王妃も来る予定。』と短すぎて単体では意味がわからない手紙だったが来たタイミングが良すぎて知らせを持ってきた影の者が懐から隼を出したのでは?なんてバカな事を考えるほど困惑していた。
そんな場の空気がちょっと治まったころに港の鐘が鳴らされた。『困ったから上の立場の人来て』の合図だ。3人は顔を見合わせて誰が行くのか擦り付けあったがらちが明けず3人で行った。
「やっと来たーーー!」
着岸の受付をしている係りの者が港と港町の境目の門で待ち構えていた。
現在の状況は提督の旗艦オブシディアンが港に停泊中、その縦の並びにコウの艦であるシルフィ-ドが。大型の船が停泊できる水深がある桟橋は3つだが既に1つは使ってるし他の交易船のためにも2つは空けておきたいが沖に大型軍艦が5隻もいては港に入り辛い。しかも停泊許可を求めてきた小船の人間の話ではなにやら国が関係してくる。もうこれは自分達の判断でやっちゃいけないだろうと鐘を鳴らしたらしい。
「ああ…うん。ありがとう。私たちも今知らせを承けたところでね混乱してる。」
「えーと、停泊許可を求めてきたのは何隻?」
「オブシディアン級1隻と一回り小さいもの1隻です。オブシディアン級は長期になり他は船を入れ換えながら荷を降ろして4隻終わったら出港すると。」
「小さいって言っても普通にこっちに止まる必要有るんだろ?充分大型船だよね。」
「……ねぇ、小舟の人呼んでくれる?」
3人中ただ1人、貴族籍をもつサミュエルが何かを思い付いたようだ。どう決めるにせよ最終的には今は唯一の貴族であるサミュエルが責任者になるのでイサムとイザクは黙って見守った。
「1つの桟橋に左右別れて停泊ですか?水深は?桟橋と桟橋の間隔は?」
桟橋と桟橋の間隔はオブシディアン級2隻を並べるならほぼ無いが他の船なら人間の身長1人分くらいが開く。水深は大丈夫だと思うが今オブシディアンのいる桟橋の反対側は使ったことがない。そう告げると小舟の人はじゃあ水深は見てくるよ…と海に飛び込んで確認してくれた。
「水深は充分だし漂着物もねぇ。」
結果、2つの桟橋をフールフーガに使わせるようにした。今オブシディアンが停泊している反対側に女公爵の艦、その縦並びに1隻。オブシディアンと並ぶように2つ目の桟橋に左右に別れて3隻をつける。そうすればどうにか3つ目の桟橋は普通に使えるし、荷を早めに下ろし終えれば4隻は出港するので2つ目の桟橋も使えるようになる。
……ただ、桟橋は片側だけを使うと想定していたので桟橋の幅は狭いだろうが。
3人は大きなため息をついてアーノルドの早い到着を心から願った。
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