Ωの僕がお偉いさん

社会見学

　さて2日目の今日は社会見学です。予定人数が大幅に増えたので大移動になります。皆さん周りの迷惑にならないよう素早い行動をお願いします。
　……大丈夫だろう。なんせ1生徒につき1αがついてるんだから。
　え？なんか今日のノエル君が荒んですさる様に見えるって？……フン。しょうがないでしょ。目の前でイチャイチャされちゃ。ズルい僕だってアーノルドといちゃラブしたいのに！


　とまぁ……おふざけはここまでとして。今日は本当に素早い行動が必要だ。市場や公園、城の一部等色々と歩いて回る予定。

　「ノエル様そろそろお時間ですね。……本当によろしいのですか？」

　爺の心配そうな声に『やっぱり予定変更』と言いたくなるがそれはダメだ。今まで僕は生徒を悪意からなるべく遠ざける様にしてきたのだけど、それによって弊害？もあった。
　ここに来ている生徒達はみんなスサエナを出る予定の子なのでまだちょっと時間のある今、本当の町中でΩが社会にとってどうなのかを見てほしいんだ。いや、もちろん一応は授業で世間一般のΩの対応は学んでいるし、生徒自身その厳しい現実の中から来た子ばかりなのでわかってはいるんだけどなんせ十年以上スサエナで暮らせば色々と代わってくるからね。


　「……ノエル先生～おトイレが困ります～。」

　早速一つ目の課題にぶち当たった生徒からの声だ。そりゃそうよ？スサエナみたいに公衆トイレが男性αΩ女性αΩと４つ分かれにしてるところなんて無いもの。

　「ハイハイ、とりあえず僕らは男性Ωなんで男性の方へ。番さん中を確認して誰も居なければ生徒達を入れて入り口で見張りを～。」


　「ノエル先生～、あっちにいたお婆さんが『幸せになれるお守り』売ってくれるって！」

　ホイホイ知らない人に近寄らない。もう幸せだからお守り要らないでしょ？……衛兵さーん、あっちに見廻り行って下さい。なに逃げた？あー、やっぱり。世間知らずのカモとして見られたね。見廻り強化お願いします。


　「ノエル先生～、どうしようお釣りくれません～。」

　学の無いΩに見えるのか？僕らの格好で？

　『お釣り渡したよー？そっちの子の思い違いじゃ無いかな？』
　「貰ってません！ほら！お財布の中に何もないじゃない！僕はさっき配られた銀貨でコレ買ったんです。銅貨7枚だから3枚お釣り無いとおかしいじゃない！」

　ああ、ついさっき配られた銀貨ね。なに買ったの？銅貨7ってこんな露店ではまぁまぁの金額よ？
○タバの季節限定フラぺチー　と同じくらいの価値といえば伝わるかな？
　ああ、爺が交渉に……早々に3枚却って来たよ。どうやったの爺。


　とこのように小さな問題が発生する。まぁまぁよくある事なので仕方無い。しかし市場見学だけでここまでおこるか……はぁ。
　ようやく公園で一休みをとった後はあの僕のお店の見学だ。