Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
634 / 708

王ですから!

しおりを挟む
 
●初めての王様頼れるパパ視点です。


 不穏な噂というものは常にあると言ってもいい。人は人に嫉妬し羨む生き物だからだ。それが貴族という特殊な立場の者なら尚更強くもなるし止める人間も限られてくる。
 誰伯爵は最近金遣いが荒いのは脱税しているから だとか 誰子爵が本家筋の伯爵家を乗っ取ろうと画策しているだとかは珍しくも無い。
 だがしかし、だからといって調査をしないわけではない。火の気の無いところに煙は立たぬ というように、何かしらがあるから噂が立つのだ。

 「例の侯爵はどうなっている?」

 仕事の補佐に付いてくれている王妃に尋ねると調査中だと返ってくる。王妃は表側からの調査を担当している。

 「領内の聞き込みに入った処ですわ。シグルーン女公爵が観光と称して派手に動いていますから、そのうち本人から接触があるかと思いますわ。」
 
 立ってるものは親でも使えという言葉が有るが、まさしく今それだ。王妃は観光地に観光客が行くのは当然、それが外国から来た貴族なら尚更だと言って話を持ちかけた。協力が得られるというので詳細を話すと自分がいい餌になり得ると知り勇んで出かけていった。

 「フールフーガの重鎮でありα性、古い家柄とあっては……寄って来るであろうな。」

 これで表側からの調査は目処が立ちそうだが、問題はより細かく深い調査となる裏側だ。そちらはいつも通り爺を筆頭とした影の者達が担当している。

 朝方、爺が馬で駆け込んできた。駆け込んできたというのは揶揄ではなく本当に来たのだ。普通の来客は城門で下馬を求められ、貴族は中の馬車付き場まで。急を通す場合は専用の中庭になるのだが爺は自分のその顔と地位、腕をふる活動させて何故か二階のバルコニーから来た。……馬ごと。
 確かに私的な庭からバルコニーまでは階段があり広さも充分だがびっくりした。

 そんな爺はノエルからの依頼で来たのだが、ノエルはノエルで厄介な考え方をしたようだ。自分が王として一番簡単で実行に移そうとしていた事は『ある程度の証拠が出たら力で潰そう』だったのだがノエルにとってはそれは悪手らしい。
 爺からの話ではノエルは私が力で潰すか、ローランドが即位してから理詰めで潰すか、どちらのほうが良いか悩んでいるらしい。そう聞いた時に考えてみると確かにローランドが即位した時にというのも有りか?皇太子時代から証拠を集めにかかっていたという能力を示す事もできるし、優しいだけの王では無いというアピールもできる。

 「だがなぁ爺、それは時間がかかり過ぎる。今すぐに準備を始めても交代までに4年はかかる。」

 「ですがアチラもすぐに行動には出ないでしょう。なにせ慎重に慎重を重ねる性質の一族です。」

 「慎重に慎重をとは奇麗な言葉を使ったな。ただの小心者で無能の集まりだ。」

 だがノエルの考えも一理……。ノエルは弟に甘いからなぁウムゥ困った。
しおりを挟む
感想 199

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

処理中です...