Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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忙しい忙しい

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 本当に大変なのはここからだった。犯罪の証拠はこんなに出るものなのだろうかと考えるくらい出た。それはもうザックザックと。いや、宝を掘り当てた訳じゃないんだからというくらいあったのだ。

 「バアちゃん、この下こういう紙いっぱいだよ!」

 一通り被害者を保護したあとラクから協力の申し出があり証拠品押収を手伝って貰ったのだが枯れ井戸に隠されていたのを発見したのだ。

 「ラク、良くやった!」

 すっかりお祖母様に懐いたラクは体の小ささを利用して井戸の中から帳簿の束を見つけた。報告を受けたお祖母様はその場所へすっ飛んで行きラクの頭を乱暴に撫でくりまわして褒めていた。



 その夜私達はこの仮の捜索本部内で出てきた証拠品を調べつつ話し合った。

 「まさかこんな馬鹿な計画だったとわねぇ。こんなので成功すると思っていたのかしら?」

 部屋の一室にあった侯爵夫人の日記には妄想でしかありえない内容が書かれていた。
 内容から狙いは私に当てられており国家転覆罪となると考えられる。

『皇太子殿下はΩがお好きな様子。お気に入りをいつも連れて周っている。そういえば殿下の兄君もΩ。以前はあの地でお勉強されたというし……そう、あのΩもそこに居たと報告を受けた。お気に召すΩを見つければ操るのも容易そうに思う。』

 なんて書いてあった。正直私のメンタルは思いっきり凹んだ。下がった。私は容易く操れるような者だと思われていたらしい。

 「なんですかローランド、この程度の事で気を落としてる時間は有りませんよ。第一、誤った考えしか出来ない者達が考えることは過ちでしか無いでしょう。つまりそういう事ですよ。」

 厳しい言葉のように思えたお祖母様の言葉は実はとても優しい言葉で私を元気付けて下さった。

 「そんな事よりもほら、そちらの計算はどうですか?」

 ……いや厳しかった。
 この計算というのは爺が指揮した捜索隊が見つけ出してきた隠し財産、宝石類だ。おおよそでもどれくらいの価値の物があったかを記録するべくお祖母様と鑑定している。

 「ローランド様、このような指示書を。」

 さらにその捜索隊は手紙の山から問題の物を探し出してきた。

 「……これは。   随分と不穏な物のようですね。」

 お祖母様に渡してみてもらうがお祖母様も眉をしかめて黙ってしまった。それもそのはずだろう。これは王都のタウンハウスの執事宛であり、そのタウンハウスにほど近い一般市民の居住区域に私兵の待機所を用意するというとんでもないものだった。
 これを見た私達は先ず一番身軽な爺を単体で王都へ返しそれを追う様に主犯の侯爵夫妻を連れて一度私も王都へ帰ることにした。お祖母様はこの地の後始末を引き受けて下さるというのでさらなる調査もお願いした。
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